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メルセデス・ベンツ「新型SクラスにもV12エンジンを搭載する」。なぜ余命数年と思われるV12エンジンにこだわるのか?

2019/12/19

| メルセデス・ベンツはV12エンジン搭載モデルを次々生産終了とし、エンジンの開発自体も終了させている |

メルセデス・ベンツが次期Sクラスには「V12エンジンを用意する」と正式にコメント。
これは広州モーターショー開催中、GT Spiritのインタビューに対してメルセデス・ベンツの重役、オーラ・クレニウス氏が語ったもので、「朗報」とも言えるべき知らせです。

なお、すでに現行Sクラス・セダンについてはAMG含めてV12エンジンの生産終了がアナウンスされており、すでにSLについてもV12エンジン搭載モデルは生産終了。
残るV12エンジン搭載車種は「Sクラスクーペ(S65)」と「Sクラスカブリオレ(S65)」「Sクラス(S600ロング)の3車種、メルセデス・マイバッハS650」の4モデルとなりますが、メルセデス・ベンツは新型Gクラス、GLSについてもV12をラインアップしておらず、「今後登場するメルセデス・ベンツには、もうV12は搭載されないのでは」という推測が大勢を占めていたわけですね。

メルセデスAMG S65もついに生産終了、「ファイナルエディション」が130台のみ限定販売。続々V12エンジンが廃止となり、残るAMG V12は2モデルのみ

やはり高級車には「V12」

そういった「メルセデス・ベンツの上位モデルはV12を捨ててV8エンジン搭載になる」という風潮の中、モデルチェンジ版となる新型メルセデス・ベンツSクラスもその流れに従うと見られていたものの、ここへきて「SクラスにはV12」発言。
ただしどのモデルにV12が積まれるかは今のところ明らかにされておらず、これは登場してのお楽しみ、ということになりそうですね。

なお、V12エンジンは排ガスや騒音の観点から生き残ることが難しく、「いずれは消滅する運命」。
現在V12エンジンを製造しているのはメルセデス・ベンツ(AMG)のほかBMW、ロールスロイス、アストンマーティン、フェラーリ、ランボルギーニといったところ。※ベントレーはW12、ブガッティはW16
このうちV12死守を表明しているのはフェラーリとランボルギーニで、BMWは頃合いを見てV12を廃止し、ロールスロイスはタイミングを見てエレクトリックへと移行する考えを示しています。

BMW「新型7シリーズ、とくにV12モデルは大人気だ。V12エンジンは廃止せずに2023年まで継続する」。なお巨大キドニーグリルも好評とのこと

フェラーリが新型V12エンジンの特許を出願。フェラーリはなんとしても「自然吸気V12エンジン」を諦めない

ランボルギーニ「数字としてのパワーは重要ではない。V12エンジン存続のためにターボ化するのではなく、NAを貫く」。エレクトリック化について語るも方向性はまだ決まらず?

なぜメルセデス・ベンツはV12にこだわるのか?

そこで気になるのが、なぜメルセデス・ベンツはV12エンジンを新型Sクラスに積むのか、ということ。
すでにメルセデス・ベンツはガソリンエンジンに見切りをつけ、ガソリンエンジンの開発終了を宣言しています。
つまりガソリンエンジンに未来はないということで、すでにあるV12エンジンについても、規制を考えると、そして改良を行わなければ「余命数年」。
よって余命あと僅かのエンジンを搭載するため、わざわざ新型Sクラスを「V12エンジンが搭載できるよう」設計しているということになりますが、これはある意味ではメルセデス・ベンツの好む「合理性」を欠く行動だとも言えそうです。

それでもV12エンジンを積むのには、おそらくではありますが、ロールスロイスやベントレーへの対抗があると思われ、「ヨソがV12エンジン搭載のサルーンを作り続ける中で、我社がそこから撤退するわけにはゆかない」という矜持の現れなのかもしれませんね。

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