| メルセデス・ベンツSLRマクラーレン”スターリング・モス”の細部を現代風にアップデート |
さる2020年4月12日、惜しまれつつも亡くなったモータースポーツ界の伝説、スターリング・モス。
メルセデス・ベンツとの関係性が深い人物であり、そのために2009年には同氏の名を冠したメルセデス・ベンツSLRマクラーレン”スターリング・モス”が発売されています。
メルセデス・ベンツSLRマクラーレンは文字通りメルセデス・ベンツとマクラーレンとのコラボによって誕生したという経緯を持ち、専用設計となるカーボン製バスタブシャシーを持つことがメカニズム上の特徴。
そして”スターリング・モス”はメルセデス・ベンツSLRマクラーレンシリーズに追加された限定モデルで、そのスタイルは1955年の300SLR(下の画像)をイメージしたスピードスターボディが与えられることに。
その結果として(下の画像の)見ての通り、フロントウインドウのない、クラシカルかつ非常に美しいスタイルを持つに至っています。
通常版メルセデスSLRマクラーレンに搭載されるエンジンはAMG製の専用機(5.4L/V8スーパーチャージャー)で626馬力を発生しますが、このスターリング・モスについてはチューンが施された650馬力のハイパワー版が搭載され、0−100キロ加速はわずか3.5秒というパフォーマンスを誇ります(トランスミッションは5AT)。
この”スターリング・モス”は世界限定75台のみの販売となり、SLRマクラーレンをすでに所有している人でないと購入権がなかったり、フロントウインドウが無い代わりに専用キャップとゴーグルが付属していたり、ドアが「ちょっとだけ」しか開かないガルウイング(正確にはディヘドラルドア)採用だったりと”実用性を無視した”究極のコレクターズアイテムでもありますね。
【動画】スーパーカーブロンディ、世界限定75台のメルセデスSLRスターリングモスに乗る。ウインドウがないためキャップとゴーグル必須
その名は「シルバーエコー」
そして今回公開されたのが、そのメルセデス・ベンツSLRマクラーレン”スターリング・モス”の現代版、「シルバーエコー」。
スタイルとしては2009年のメルセデス・ベンツSLRマクラーレン・スターリング・モスとよく似ていますが、ベースとなるのは現行モデルであるメルセデスAMG GTという設定です(現代ではメルセデス・ベンツとマクラーレンとのコラボレーションは”ありえない”からか)。
現代のエアロダイナミクス技術を反映させたであろう車体デザイン、これも現代のLEDライティングを用いたヘッドライトとデイタイムランニングランプ、ミラーの代わりに装着されたカメラなどが「今風」。
インテリアはたしかにAMG GTをベースとしているということがわかる意匠を持っていますね。
リアエンドはメルセデス・ベンツSLRマクラーレン・スターリング・モスと大きく変わり、LEDライトバーに加え、上方まで巻き上げられたディフューザーを装着。
スターリング・モスはこんな人
スターリング・モス(存命)は英国のレーシングドライバーで、主にF1で活躍。
メルセデスやロータスはじめいくつかのチームで走っていますが、イギリスのチームにこだわったこと、そして(メルセデス・ベンツを除くと)トップレベルのメジャーチームを選ばなかったこと(フェラーリに乗るチャンスもあったが、”エンツォ・フェラーリのために走りたくない”として断っている)からチャンピオンを獲得することは一度もなく、しかしその優れた運転技術から「無冠の帝王」と呼ばれることも。
メルセデス・ベンツ(ダイムラー)とのつながりは1955年にファン・マヌエル・ファンジオに続くナンバー2ドライバーとして採用されたことにはじまりますが、その後ミッレ・ミリアにて300SLRを駆って勝利を飾り、この際の平均速度にして大会記録である155.7km/hはレースが廃止されるまで破られることはなかった、と言われます。
英国人であったために可能な限り「英国製マシン」にこだわり、戦闘力に劣るマシンで上位チームを打ち負かすという姿勢に熱狂するファンも多く、1990年にはモータースポーツ殿堂入り、2000年にはナイトの称号が贈られることに。
1963年に一度引退するもその後復帰し、その後もヒストリックカーレース等に参戦し続けるも2011年に正式に引退を表明し、2018年には公の場からも引退することが報じられており、つい先日の2020年4月12日、自宅にて眠るように息を引き取ったと報じられています。
VIA:Behance