| プラットフォームは次期メルセデスAMG GTと共通 |
メルセデス・ベンツは新型SLを開発中と伝えられ、実際にいくつかのプロトタイプが目撃されていますが、今回は同社のデザインを管理するゴードン・ワグナー氏が「新型SLは、SL史上もっとも300SLに近いモデルになるだろう」と発言してちょっとした話題に。
もちろん300SLとは、1954−1963年の間に製造された「世界初のスーパーカー」、そして世界ではじめてガルウィングと直噴エンジンを採用したことで知られる、メルセデス・ベンツの最高傑作とも言われたあのクルマですね。
ガルウイングドアは「構造上の解決策」だった
なお、メルセデス・ベンツ300SL最大の特徴でもある「ガルウイングドア」につき、これを採用した理由は「構造上やむなく」。
というのも、もともとはレーシングカーとして開発されたために鋼管スペースフレームがボディサイドを貫通していて、よって「サイドシルが太く高い」構造となってしまったわけですね。
この状態では通常の横開きドアを採用することはできず、これを解決するための手段としてガルウイングドアを採用した、と言われています。
その「ガルウイング」が期せずしてこのクルマのアイコン、そしてメルセデス・ベンツのヘリテージの一つとして認識されることになり、その後のメルセデス・ベンツのマーケティングに大きく影響することなったのは「運命のいたずら」と言えるかもしれません。
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実際に1955年に発売された「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン」は(ガルウイングではありませんが)ディヘドラルドアを採用し、300SLを想起される雰囲気を持っています(実際のモチーフはレーシングカーの300SLR)。
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その後2009年に発売されたメルセデス・ベンツSLS AMGはダイレクトに300SLをイメージしたクルマで、こちらは完全なるガルウイングドアを再現していますね。
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どうなる新型メルセデス・ベンツSL?
そして新型メルセデス・ベンツSLについては「次期メルセデスAMG GTとプラットフォームを共有する」ことがすでに明かされており、開発の大部分をAMGが担当することになりそう。
さらに「300SLに近くなる」のはそのスタイリングだけではなく性格も同様で、つまりは「これまでのSLが持っていた、GT的なキャラクターから、ピュアスポーツへ」。
そうなると気になるのが次期メルセデスAMG GTとの競合ですが、ここは「AMG GT 4ドアクーペ」と「メルセデス・ベンツCLS」のようにきっちり分けて来るのかも。
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そして新型SLはオープン構造を持つことも明らかになっていて、となると残念ながらガルウイングドアの採用は不可能。
ルーフについては、先代SLのようにメタルトップではなくソフトトップを採用すると言われ、これによって軽量化はもちろん、格納スペースを小さくすることで室内空間、ラゲッジスペースを最大化できるとも言われています。
新型SLについて重要なのは「73」という数字が復活することで、新型SL73には4リッターV8ツインターボ+ハイブリッドにて800馬力を発生するパワーユニットが搭載される、というウワサもあるようですね(AMG GT 4ドアクーペにも搭載されるかもしれない)。
そのほか、まだまだ謎の多い新型メルセデス・ベンツSLですが、おそらくは2021年には公開されるだろうと言われており、楽しみに待ちたいところです。
VIA: Autocar