| メルセデス・ベンツ、そしてFRがニュルブルクリンク王座に就いたのは思い返しても記憶にない |
さて、先日ウワサされたとおり、メルセデスAMG GTブラックシリーズがニュルブルクリンクにて6:43.616というタイムを叩き出し「ニュルブルクリンク市販車最速」の座へ就くことに。
これは2018年6月にランボルギーニ・アヴェンタドールSVJが記録した6:44.97を1秒以上短縮するという驚異のタイムです。
そしてさらに驚くべきは、このメルセデスAMG GT ブラックシリーズが「FR(フロントエンジン、リアドライブ)」だということ。
ニュルブルクリンクでは伝統的にFRが強みを発揮できない
これまでニュルブルクリンクの上位ランカーはミドシップもしくはリアエンジン(つまりポルシェ911)、さらにミドシップ4WDにて占められており、このメルセデスAMG GTブラックシリーズが頂点に立つまでは「トップ10には一台もFRがない」という状態です。
さらにこれまでFRがニュルブルクリンクの頂点に立ったこと、メルセデス・ベンツがトップタイムをマークしたのは記憶になく、今回の記録更新は歴史的快挙と言えるのかもしれません。
メルセデスAMG GTブラックシリーズは「無改造」でニュル最速記録を達成
メルセデス・ベンツは今回のアタックに際して当然ながら「無改造」で挑戦。
サスペンションやエアロパーツにはもともと調整機構がついているため、それらについては可能な範囲で調整を行っているものの、市販車の範囲を超えるモディファイは一切行っていない、と主張しています。
なお、今回メルセデスAMG GTブラックシリーズをドライブしたのはメルセデスAMGのファクトリードライバー、そしてGT3でもレースを走るマロ・エンゲル選手。
ニュルブルクリンクには2つのタイム計測方法がある
参考までに、ニュルブルクリンクのタイム計測には2つの方法があり、ひとつは2019年まで用いられていた「グランドスタンドT13の終わりからタイムを計測しはじめ、T13の始点でタイム計測を終える」というもの。
ただ、ニュルブルクリンクは2019年から「タイムを計測し始めたT13の同じポイントでタイムを計測し終える」ことを公式タイムの条件として決定しており、この方法だと232メートルほど長くなり、タイムとしては速いクルマで4秒ほどプラスされることに。
今回メルセデスAMG GTブラックシリーズが記録した6:43.616は「2018年までの方法(でないと圧倒的に不利になる)」で、2019年からの新方式にて計測すると6:48.047というタイムなのだそう。
ニュルブルクリンクでの記録達成にはこんなセッテイングが実施されている
メルセデス・ベンツによると、今回ニュルブルクリンクにて市販車最速への挑戦を行うにあたり、カーボン製のフロントスプリッターは「レース」ポジションに、そしてアッパーウイングとリアウイングは「ミドル」ポジションに。
車高はフロントで標準より0.2インチダウン、リアで0.1インチダウン。
ネガティブキャンバーについてはフロント3.8度にリア3度、アンチロールバーはもっとも硬い設定に、そしてトラクションコントロールは9段階のうち6と7をセクションによって使い分けている、とのこと。
なお、タイヤは標準装着のミシュラン・パイロットスポーツ カップ2 R MOが使用されています。
-
新型メルセデスAMG GTブラックシリーズ発表!AMG史上最強の720HPを発生しカーボンパーツで武装したスパルタンモデル
| このクルマを乗りこなすのは並大抵の技術では及ばない | さて、数々のティーザーキャンペーンを経て、ついに新型メルセデスAMG GTブラックシリーズが正式発表に。メルセデス・ベンツいわく「ブランドの ...
続きを見る
このあとランボルギーニ、ポルシェが黙ってはいない
2013年にポルシェが918スパイダーにてニュルブルクリンク最速記録を塗り替えて以来、2017年にはランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテが記録を書き換え、その直後にポルシェが911GT2RSにて記録を更新。
その後ランボルギーニがまたアヴェンタドールSVJにて2018年に王座を奪還しており、ここしばらくは「ポルシェとランボルギーニとの争い」だったわけですね。
そこへ割って入ったのがメルセデスAMGということになりますが、ポルシェそしてランボルギーニともこの状態を看過できるわけはなく、おそらくランボルギーニはウラカンSTOにて、そしてポルシェは新型911GT3RSにて記録に挑戦してくるものと思われます。
メルセデスAMG GTブラックシリーズがニュルブルクリンクにて記録を達成する動画はこちら
参照:Mercedes-AMG