| やはり特定の環境で走るレーシングカーの始動は今も昔も変わらずデリケート |
まれにレーシングカーをフツウに乗る人もいるが、感心せざるを得ない
さて、ポルシェ917Kは15億円を超える価値を誇るレーシングカーですが、今回「どうやってエンジンを始動させるか」という動画が公開に。
ポルシェ917Kは917のショートテール版(Kはドイツ語のクルツ=短いを表す)で、搭載されるエンジン水平対向4.9リッター空冷12気筒(600馬力-630馬力)、トランスミッションは4速AT、車体重量は600キロ程度。
これまでにはいくつか実際に走行する動画が公開されたり、公道仕様へとコンバートして乗るオーナーなどが紹介されていますが、まさかここまで始動に手間を要するとは、と驚かされます。
ポルシェ917Kのエンジン始動にはこれくらい手間がかかる
今回、ポルシェ917Kのエンジン始動を見せてくれるのはポール・ランザンテ氏。
そしてこのポルシェ917Kは同氏が所有する個体とのこと。
まずは手にしたケーブル。
これはオイルを温めるためのヒーターに接続するためのもので、これをコンセントに挿し、オイルパンの下にあるヒーターに接続することでオイルを温めます。
そしてオイルが温まったら、マスタースイッチ「1」をオン。
その後は室内のマスタースイッチ「2」をオン。
さらに別のケーブルにて補助バッテリーへと電源を供給。
そして室内の(なにかの)スイッチをON。
https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/51310520613/in/dateposted-public/その後にキーを回すと燃料ポンプが作動しますが、ここではまだエンジンは始動せず。
ちなみにキーは「軽量タイプ」で、ポルシェが苦労して探してきたサプライヤーによるものが装着されています。
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その後はエンジンフードを開け放ち、ファンやキャブレターのカバーを外します。
そして12個のスロットルにブレーキクリーナーもしくはガソリン(要は揮発性のもの?)を噴射。
ちなみにポルシェ917のエンジン周りに採用されるボルト1本に至るまで「こだわり抜いている」と言われていますね。
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その後ようやくエンジンを始動させることができます(爆音注意)。
ただしそれだけでは終わらず・・・。
スロットルリンケージを引っ張って意図的に回転数を2000回転に維持し、すべての油脂類が温まった後にようやく走行が可能になる、とのこと。
ポルシェ917Kのエンジンをスタートさせる手順を説明する動画はこちら
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参照:RM Sotheby's