| いかに高価であろうともその価格以上の価値を感じさせるのがシンガー・ポルシェ911 |
とくに金属パーツの加工技術は超一級
さて、ポルシ911のレストモッドにおいては右に出るものがないほどにその名を高めたシンガー・ヴィークル・デザイン。
先日は突如「もうこれ以上964ベースの911のレストモッドの受注は行わない」とし、現在注文を受けている台数のみを今後生産してゆくことになります(ただ、新シリーズとして930ベースのレストモッドを開始する)。
そして今回公開されたのが、その964ベースのレストモッドにおいてもとびきりハイパフォーマンスな「シンガーDLS」シリーズの最新作、「レーサーX」コミッション。
ちなみに「レーサーX」と聞いて思い出すのはマッハGoGoGoの覆面レーサーX、もしくはMr.BIGのポール・ギルバートが結成したヘヴィメタルバンドですが、このレーサーXがこれらのいずれかをイメージしているのか、それとも別の何かをイメージしているのかは不明です。
シンガー・ヴィークル・デザイン「レーサーXコミッション」はこんなクルマ
そこでこのシンガー・ヴィークル・デザイン「レーサーXコミッション」を見てみたいと思いますが、そのシリーズとしては車両価格が最低でも2億円からに設定される「シンガーDLS」。
このDLSとは「ダイナミクス&ライトウエイティング・スタディ」の略であり、964世代の911をベースにしながらもモノコックの多くを切り取ってカーボン化し、エンジンはもちろんサスペンションなどもすべて入れ替えたというクルマです。
そのため車体重量は990kgに収まっていますが、最大のトピックはその重量(軽量性)よりも、車体リアに搭載される「エンジン(空冷4リッター・フラットシックス)」で、これはウィリアムズ、そしてポルシェの元エンジニアであるハンス・メツガー氏との共同開発となり、その出力は500馬力を(9000回転にて)マークするという超高性能版。
軽量化のためにカーボンファイバーはもちろんマグネシウム、チタンが大量に使用され、エキゾーストシステムはF1マシンにも採用されるインコネル製、そして吸気はリアサイドウインドウから行うというアグレッシブな仕様を持っています(ラムエア効果も得られる)。
なお、シンガー・ヴィークル・デザインは米国カリフォルニアに拠点を抱え、基本的には自社にてレストモッド車両の制作を行うものの、このシンガーDLSについては英国ウィリアムズにて行われ、開発パートナーはこのウィリアムズのほか、ブレンボ、ボッシュ、ミシュラン、BBS、ヒューランドが名を連ねます。
このレーサーXにつき、ボディカラーはメタリック感の強いシルバー、そしてサイドにはホワイトのストライプ、サイドとリアにはレッドにて「PORSCHE」レター。
ボディパネルはもちろんフルカーボン、そしてヘッドライトやテールランプも専用品となります。
シンガー・ヴィークル・デザイン「レーサーXコミッション」のインテリアはこうなっている
そしてこちらはシンガー・ヴィークル・デザイン「レーサーXコミッション」のインテリア。
エクステリア同様に完全に作り変えられており、ネイキッドカーボンを使用した近代的(もしくは未来的)なデザインを持っており、ある意味ではスパルタンな印象も受けますね。
トランスミッションは6速マニュアル。
一部リンケージが露出するレーシーなスタイルで、シフトノブ中央は(軽量化のためか)肉抜きが施され、その部分にはウッドが使用されているようですね。
シート形状はシンガーオリジナルのレーシングバケット、そして前後スライドのためのプルタブはレザー製、そして座面とシートバックにはグロメット(表面が平坦な形状を持っている)。
ちなみにレザーのカラーは「トマト」だと紹介されています。
後部座席に該当する部分には一応クッションのようなものもありますが、後部座席用のシートベルトはないので「2人乗り」だと考えて良さそう。
シュロス製のレーシングハーネスがコンパクトに収納されていて、パッチやストラップともどもレザーが使用され、スパルタンなモデルでありながらも上品さを意識しているようですね。
ロールバー含むカーボンファイバー部分はマット仕上げ、そして金属部はハーフマットにサンドブラスト仕上げが採用されており、このあたり「腕時計好き」のシンガー・ヴィークル・デザイン創業者、ロブ・ディッキンソン氏の嗜好が反映されているのかもしれません。
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