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ポルシェが1968-1976年までの911に対応するマグネシウム製クランクケースを復刻!ナナサンカレラもこのパーツを使用しているためカレラRS 2.7のエンジンを「新しく」作れるかも

2023/03/10

ポルシェが1968-1976年までの911に対応するマグネシウム製クランクケースを復刻!ナナサンカレラもこのパーツを使用しているためカレラRS 2.7のエンジンを「新しく」作れるかも

| ポルシェは「過去のクルマの性能を維持向上させるため」ポルシェクラシック部門を通じてパーツの供給を行なっている |

さらにポルシェクラシックでは「パフォーマンスパーツ」にも参入

さて、ポルシェは「これまでに生産した70%以上のクルマが、今も現役で路上を走っている」とコメントしていますが、それは生来の頑丈さに加えてクラシックモデル向けのパーツ供給体制が整っているからでもあり、これまでにも多数のパーツ拡充をアナウンスしています。

そして今回新たに追加されたのが「1968年から1976年までのポルシェ911に対応するマグネシウム製クランクケース」。

Fシリーズ、Gシリーズの2.0、2.2、2.4、2.7リットルエンジン搭載車が対象となり、昨年50歳を迎えた伝説の911カレラRS 2.7もこの対象に含まれています。

そしてこのクランクケースはポルシェの純正パーツとして、ポルシェクラシックパートナーや世界中のポルシェ正規販売店から取り寄せることが可能になったといい、つまりナナサンカレラのクランクケースを購入できるということを意味します(ただ、車検証がなければ購入できないなどの制限が設けられる可能性もある)。

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今回のパーツ販売によって「新しいエンジン」を作ることが可能に

なお、このクランクケースが発売される前の状況だと、このパーツを修理するには(交換用の新品パーツが無いので)クラックを溶接するか、古いエンジンから中古のパーツを再利用する必要があり、しかしポルシェクラシック社のディレクター、ウルリケ・ルッツ氏によると「この復刻版は、スペアパーツのラインナップにおける新たなギャップを埋めるもので、ほとんどのクラシック911モデルに対して完全に新しいエンジンを作ることを可能にします。このようなオリジナルに忠実なエンジン部品に対するお客様からの要望は非常に多いのです。ポルシェクラシックは、すでに他の世代の911のクランクケースの復刻も開始しています」。

なお、こういった「復刻」とくに数十年前のものを再現することは容易ではなく、というのも当時の設計者がすでに退職していたり、設計図が失われていたり、工作機械が失われている場合も多いから。

よって「復刻」といえども実際にはイチから設計しなおすことも少なくはなく、ポルシェは今回のクランクケースを再販するに際し、まずポルシェ962用のグループCレーシングエンジンから(その一部の設計を)入手した、とのこと。

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なお、市販車向けの生産関連データが記載された古いエンジン図面の一部が残ってはいたものの、完全に解読できるものではなく、そこでポルシェクラシックの専門家は、ポルシェのアーカイブにあるパーツリストや技術情報を調べ、元スタッフや現スタッフに設計の詳細について助言を求めることになり、そこでようやく(962のエンジンから得たデータと合わせて)「復刻」が可能となったわけですが、こういったパーツ復刻の場合、ポルシェ クラシックは、当時のシリーズ生産部品の最新かつ最も成熟したバージョン(つまり最終の世代)に基づき作業を行うといい、すべてのクランクケースには、このデザインバージョンを示すブランクナンバーが記されている、とのこと。

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このマグネシウム製クランクケースの製造はハンドメイドにて行われ、まずはCADデータをもとにサプライヤーが砂型鋳造法でクランクケースを鋳造するそうですが、工場で適切な型を作り、砂を樹脂で接着した中子を作り鋳造した後、この中子を破壊して鋳造部品を取り出します。

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その後、このケースは5軸CNCマシンにて加工され、50種類以上の切削工具やフライス工具が使用され、しかし削られる材料はごくわずかだといい、例えば、フライス加工では100分の3〜4ミリ程度しか削らない、とのこと。

実際に加工された製品は徹底した品質チェックを受けることになり、3D計測プローブを用いて個別に測定され、加工データとの比較は3次元座標測定機でも行われるそうですが、測定には1,300以上の管理寸法項目が含まれるようですね。

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プロトタイプではベンチテストも実施

もちろん「形状だけ」を再現したのでは意味はなく、その強度や耐久性も担保する必要があり、ポルシェクラシックの厳格な品質仕様に従ったコンポーネントの承認のため、プロトタイプのエンジンは数週間にわたる大規模なテストベンチが実施されることになり、このベンチテストにては「当時最もパワフルなモデルであった911カレラRS 2.7の2.7リッターエンジン」を再現し、複数の計測センサーを装着した上で行われています。

テストプログラムには、正確に定義された負荷条件と異なるエンジン回転数での耐久走行も含まれ、このほかにもさまざまなテストが行われており、たとえば材料の専門家がオイルサンプルを採取し、浮遊物や異物がないかどうかを分析したり、といった例も紹介されています。

さらにテスト走行の後、プロトタイプエンジンは、ポルシェ・クラシックの専門家とヴァイザッハの専門家によって、最後のボルトまで分解されてすべての部品が検査され、あらゆる検査を経て「GO」となった後にはじめて製品化される、とのこと。

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ポルシェクラシックとは?

ポルシェ クラシックとは、「ポルシェの過去のクルマの性能を維持向上させるため、可能な限り包括的なスペアパーツを供給できるようにすること」を目的に活動しており、現在ラインアップされる80,000種類以上のスペアパーツとアクセサリーは世界中のポルシェ正規販売店から注文することが可能です。

さらには技術資料も販売していて、1,000冊以上の取扱説明書、修理ガイド、「タイプ、寸法、公差」(TyMaTo)パンフレットといった、ここでしか手に入らない貴重なガイドも。

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さらにポルシェ クラシックは、最近だと「パフォーマンスパーツ」の分野にも参入を果たし、これらパーツの装着によって車両の性能やパフォーマンスを向上させるほか、サーキットで使用に耐えうるようにアップデートさせることも可能です。

ここにはパフォーマンスステアリングホイールやフックスホイールなどの人気パーツが含まれ、パーツによってはポルシェ911(996世代)のような新しい車両でも利用できるようになっているといい、さらに新しい発売予定製品の一例として、996世代の911とポルシェ959のためのパフォーマンスサスペンションが紹介されていて、これらは(現在、ポルシェの子会社となっている)マンタイレーシングとの緊密な協力のもとで開発されている、とのこと。

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参照:Porsche

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