ポルシェ「中国の落ち込みを、911や限定モデルなどの高利益車種の好調な販売がカバーしている」。今後も限定モデルを多数展開する路線に変更はないもよう

｜　フォルクスワーゲングループにとって、ポルシェは「最大の希望」であり稼ぎ頭である　｜

現在、フォルクスワーゲンブランドで「好調」なのはプレミアムブランドばかりというのは興味深い

さて、中国市場の落ち込み（約12％減少）が報じられるポルシェですが、ポルシェによれば「911を筆頭に、利益率の高い商品の好調な販売が中国の販売をカバーした」。

現在ポルシェはフォルクスワーゲンブランドに属しますが、その中ではベントレー、ランボルギーニとともに「非常に高い利益率を誇るブランド」だと報じられています。

しかしながらベントレー、そしてランボルギーニともに販売台数に関してはポルシェほども多くはなく、よってなんだかんだでフォルクスワーゲングループにおける稼ぎ頭はポルシェということになるのかもしれません。

ポルシェは親会社の移行によって「高価格戦略」へ

実際のところ、ポルシェはフォルクスワーゲンブランド全体の利益率を20％に引き上げるという計画「ロード・トゥ・20」において大きな役割を担っており、この達成のために大幅な値上げを行い、そしてより利益を得ることができる限定モデルの投入に注力するというコメントを出しています。

実際のところ、昨今のポルシェの発売する限定モデルの種類は非常に多く、かつ価格が非常に高いという現実があるわけですが、もともと911シリーズは非常に利益率が高いと言われていて、価格が高くなればなるほどその利益率は向上することに（911カレラで利益率が45％くらいだと試算されているが、もちろん公式に利益率が公開されているわけではない）。

加えてポルシェは「オプション装着率」が高く、顧客は平均して車両の30％ほどのオプションを選択する傾向があると言われていて、このオプションもポルシェにとっては「儲けネタ」であり、こにれよって一台あたりの利益率がさらに増加することになるわけですね。

そして現時点では、「落ち込んだ中国の販売」を911、そして911の限定モデルがカバーしているということになりますが、今後中国の販売がすぐに回復するとは思えず、よって今後しばらくの間、ポルシェは限定モデルをリリースし続けるのかもしれません（ポルシェの販売台数のうち、中国は1/3を占めている）。

ポルシェはEUの「中国に対する制裁」を警戒

つまり今後のポルシェの状況は「中国市場に左右される」といっても過言ではないかと思われ、これに関連しポルシェは昨今報じられている「EUが中国製EVに関税をかける」という件について強い懸念を表明していて、ポルシェの財務担当責任者であるルッツ・メシュケ氏によれば「ポルシェは自由貿易を制限するいかなる動きにも断固反対する」。

この理由は非常に明白であり、というのもポルシェは欧州市場において中国製EVの脅威にはさらされておらず（価格帯が異なるので、中国製EVに販売を侵食されない）、しかしEUが中国製EVに関税を課した場合、中国がなんらかの報復措置を取る可能性が非常に高く、「欧州製のEV含む自動車に高額な関税を課す」ことも予想されます。

そうなるとポルシェのクルマは中国での販売価格が今よりも高くなってしまい、ますます「売れなく」なり、他地域での販売増加や限定モデルの販売では（そのぶんお落ち込みを）カバーできなくなる可能性も出てくるわけですね。

よって、「欧州の自動車メーカー」とひとくちに言っても事情はそれぞれ異なっており、ポルシェとしては「EUが中国製EVに関税を課すと困る」立場にあるということになりそうです。

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参照：Bloomberg