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新型ポルシェ パナメーラ ターボS Eハイブリッドには「ガソリン車には搭載できない」HVならではのサスペンションが設定されている。今後911HVにも拡大か

2023/12/17

新型ポルシェ パナメーラ ターボS Eハイブリッドには「ガソリン車には搭載できない」HVならではのサスペンションが設定されている。今後911HVにも拡大か

| 今後、こういった「ハイブリッドありき」な新世代のコンポーネントが多数登場するものと思われる |

パナメーラはいつの時代も「最新」のテクノロジーをまとって登場するのが常であった

さて、ポルシェは新型パナメーラを発表したところですが、このクルマはある意味でポルシェの集大成と言えるもの。

ポルシェというと究極のスポーツ性能を誇るクルマを作ることでも知られ、だからこそいかにSUVそしてサルーンであってもスポーツ性能を損なうクルマを作ることは許されず、しかしこの新型パナメーラは「レーシングカーとツーリングサルーン」「ダイナミクスとコンフォート」という相反する要素を高い次元でまとめ上げた意欲作です。

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新型パナメーラの開発には6年を要する

なお、ポルシェはもともとスポーツカーメーカーとして誕生しているものの、様々なものを犠牲にしてまでスポーツ性能を追い求めようとしているわけではなく、4人乗りというパッケージングを持つ911を発売したこと、そしてその究極のモデルとして圧倒的な速さを持ちつつも「豪華で快適な」911ターボを発売したことからもその方向性を伺えるかと思います。

加えて、初代レクサスLS(日本ではトヨタ・セルシオ)が登場した際、それに試乗したポルシェのエンジニアたちが「これこそがポルシェの作りたかったクルマである」と絶賛したという話もあるほどで、つまりポルシェは実用性や快適性を重視している、ということに。

さらにはあるポルシェのエンジニアが「スポーツカーとは何か?」と問われて「ポルシェにとってのスポーツカーとは日常性である」と答えたことがあり、その意味においてもパナメーラとは「ポルシェが目指したかったクルマ」のひとつの形なのかもしれません。

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そこで今回ポルシェが「新型パナメーラの開発には6年かかった」こと、そしてその多くは”どんな状況であってもパナメーラらしく走ることができるよう”に考えられたサスペンションシステムの開発に割かれたことについて言及しています。

新型パナメーラのサスペンションは「堂々とした安定性」と「サーキット走行性能」を両立

そこでこの新型パナメーラに採用される「ポルシェアクティブライドサスペンション(オプション)」について見てみると、これは新機能として「ピッチとロールを自動的に抑制する機能」が加わったといい、ボディをつねにフラットに保つほか、グリップレベルにあわせて各輪の荷重配分が調整されるのだそう。

加えて乗降の際にはボディを自動で「上げ下げ」するほか、スポーツ・プラス・モードでは車高を(自動的に)低く設定するそうですが、このサスペンションは「車輪単位でも」細かい動作を制御することが可能となっています。

たとえば従来のサスペンションだと、ロールを抑えるにはスタビライザーを固くすることになり、これは(左右リンクしているので)車軸左右に対して影響を及ぼすものの、ポルシェアクティブライドサスペンションであれば、完全に4輪の制御が切り離されており、たとえば左フロントの衝撃を吸収する際であっても「左サスペンションだけ」が動くことで衝撃を和らげ、これがボディやストラット、さらにはスタビライザーを通じて反対側の車輪に影響を及ぼすようなことはないと説明されています。

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この制御によってエンジニアは自由を得ることになり、「車輪を路面に押し付ける」「逆に車輪を引っ張り上げる」ことも可能だそうですが、このアクティブサスペンションはメルセデス・ベンツやBMWのように「カメラベースで」動作するのではなくセンサーを用いて制御するため「視界や路面状況に関わらず」実際のグリップを判断しながら調整ができるようですね。※BYD U9も同様のコンセプトを持っているのかもしれない

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なお制御サイクルは13ヘルツ(1秒間に最大13回)にて行われるといい、そしてもちろんこの制御には大量の電力を要することになるものの、新型パナメーラターボ E ハイブリッドは400Vの高電圧バッテリーを採用しており、ポルシェのエンジニアによれば「全く問題はない」。

しかも標準サスペンション(デュアルチャンバーエアサスペンション)よりも軽量だというので、文字通り夢のようなシステムだと言えるかも。

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そしてこのポルシェアクティブライドサスペンションは「そもそもスプリングやスタビライザーバーを用いない」という、従来のサスペンションシステムの常識にとらわれない考え方をベースに構築されており、さらにはハイブリッドを前提に設計された新世代の技術だと考えてよく(逆にガソリン車ではこの技術を使用できない)、今後はサスペンションにかかわらず「新しい技術をベースに、ゼロから新しい考え方で」設計されたコンポーネントが多数登場することになりそうです(LEDヘッドライトやテールランプはその最たる例であり、登場初期は「電球をLEDに置き換えただけ」であったが、今ではLEDにしかできないことを中心とした設計がなされている)。

最後にポルシェは「この技術は、将来のポルシェの古エレクトリックモデルに加え、電動化されたスポーツカーにも採用されることになります」と述べており、エレクトリック版の718ケイマンやボクスター、ハイブリッド化された911にも同様のサスペンションが設定されるものと思われます。

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参照:Christophorus

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