| この工場は数世代前のポルシェCEOが「ポルシェはドイツ生産であるべきだ」というこだわりのもと建設した工場である |
現在までに複数回の拡張を経ており、今後もさらに規模を拡大することになるだろう
さて、ポルシェはつい2週間ほど前に新型パナメーラを発表したところですが、今回はそのパナメーラを製造するザクセン州ライプツィヒ工場にて「200万台生産を達成した」とのニュース。
そして200万台目は当のパナメーラであり(ライプツィヒ工場ではマカンなど他のポルシェも作っている)、この個体はエレガントなマデイラゴールドメタリックで仕上げられた”パナメーラ ターボ E ハイブリッド”。
ドバイの新しいオーナーの元へ向かうと説明されているので、この記念すべき200万台目を(ポルシェ自身が)保管するわけではなさそうですね。
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パナメーラは「初代」からライプツィヒ工場にて生産が行われている
なお、このライプツィヒ工場は1999年9月に着工がなされ、2002年8月20日から生産が開始されています。
もともとはカイエンを製造するための工場として建設されており、その際にはスロバキアにあるVWの工場で(カイエンを)生産するという話もあったものの、当時のポルシェCEO、ヴィンデリン・ヴィーデキング氏が「ポルシェはメイド・イン・ジャーマニーでなくてはならない」と声高らかに宣言し、この工場が建設された、というのがその起源です。
もちろん、スロバキアよりもドイツで生産を行うほうが(人件費含め)コストが高くなるのですが、ヴィンデリン・ヴィーデキングCEOは「ドイツ生産という付加価値がそのコストを上回る利益を生む」と判断し、そして(その後にVWの買収失敗の責任を負わされてその座を負われるも)この英断がのちのポルシェを助けたと考えていいのかもしれません。
ライプツィヒ工場の経営委員会会長であるゲルト・ルップ氏は、「ライプツィヒ拠点のサクセスストーリーは、パナメーラと密接に結びついています。ライプツィヒという場所自体がそうであるように、このモデルも成長と変化を象徴しています」とコメントしていますが、実際にライプツィヒ工場はカイエンの成功に対応するため、早くも2004年に一回目の拡張工事が行われ、現在に至るまで都合5回にわたる拡張がなされています(2009年からはパナメーラの生産、2013年からはマカンの生産が開始されている)。
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なお、2013年11月にはボディの生産と塗装を行うようになり(それまでは完成・塗装済みのボディにアッセンブリーを組み込む”組立工場”であった)、これによって「フルファクトリー」化。
今では4,400人以上の従業員を抱える一大拠点へと成長しており、同地域の重要な経済牽引役としても機能していますが、前出のゲルト・ルップ氏によれば「"従業員こそが最大の成功要因です。チームの献身がなければ、克服できなかった課題もたくさんありました」。
さらに直近ではエレクトロモビリティの専門センターへと一部改装がなされており、将来的には、ガソリンエンジン、ピュアエレクトリック、ハイブリッドの3種類のパワートレインを1つのラインでフレキシブルに製造することが可能になると言われています。
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ポルシェのライプツィヒ工場は「スマート化」がなされている
このライプツィヒ工場は、「スマートファクトリー」の取り組みを含む複数の賞を受賞しており、実際にライプツィヒ工場の直近の目的そのものが「工場とそのプロセスをインテリジェント化、デジタル化、コネクテッド化し、可能な限り最善の方法で未来に備えること」。
加えて持続可能性もまたライプツィヒ工場における戦略の中心的な側面であるといい、これには、ゼロ・インパクト・ファクトリー、つまりエコロジカル・フットプリントを残さない生産工程というビジョンも含まれます。
このほか、ドイツ持続可能建築協会(DGNB)のプラチナ賞やリーン&グリーン経営賞2021などの受賞歴、2023年度のファクトリー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞についてもアナウンスされていますが、工場の「空き地」で養蜂を行っていること、動物園を運営し地域経済の発展に様々な角度から貢献しているということも報じられていますね。
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参照:Porsche