>ポルシェ(Porsche)

ポルシェがさらに方針を転換。パナメーラのEV版を投入し、タイカン、そしてガソリン版のパナメーラと「共存」させるもよう。電動版パナメーラはさらに上級移行か

ポルシェがさらに方針を転換。パナメーラのEV版を投入し、タイカン、そしてガソリン版のパナメーラと「共存」させるもよう。電動版パナメーラはさらに上級移行か

Image:Porsche

| ポルシェは現在「暗いトンネルの直前」におり、そのための方針変更はやむを得ない |

ここ最近、ポルシェにとって不幸な、あるいは不利な出来事が相次いでいる

さて、ポルシェは「完全電動化」への歩調をやや緩め、現行の(ガソリンエンジン搭載版)カイエンを(これから発売がなされる)ピュアエレクトリックバージョンと「併売」するとコメントしていますが、今回パナメーラにおいても同様の戦略を取ることが明らかに。

これはポルシェの研究開発責任者、マイケル・シュタイナー氏が語ったもので、カーメディアに対して「新しいカイエンは完全電気自動車だが、その寿命全体にわたって内燃機関版も並行して販売する。パナメーラも同様だ」と述べています。

ただしカイエンと(パナメーラが)異なるのは、パナメーラでは最近新型へとスイッチしたばかりということで、つまりこれからしばらく販売を継続したとしても「さほど老朽化しないであろう」ことが考えられます。

ポルシェCEO自ら「2030年まで、あるいはそれ以降もV8エンジンを用意する」と宣言。現行カイエンは新型の第四世代(EV版)に加え2030年まで併売されることにも言及
ポルシェCEO自ら「2030年まで、あるいはそれ以降もV8エンジンを用意する」と宣言。現行カイエンは新型の第四世代(EV版)に加え2030年まで併売されることにも言及

| ポルシェはEV偏重戦略を転換し、マルチパワートレーン戦略を展開するようだ | V8ツインターボエンジンは環境規制に対応すべく今後も進化してゆくことに さて、ポルシェは先に行った決算発表にて「ガソリ ...

続きを見る

ただし新型(電動版)パナメーラがいつ登場するのかは明らかではない

なお、この「電動版パナメーラ」というのは初耳で、実際のところポルシェはこれまでにも「718ケイマン / ボクスターのEV版」「カイエンのEV版」の投入、そしてコードネーム「J1」で知られるフラッグシップSUV(もちろんEV)の投入に言及していたものの、「パナメーラのEV版」について具体的な計画は示されず。

しかし以前にポルシェCEO、オリバー・ブルーメCEOは「タイカンとパナメーラとは共存できるでしょうか?」というメディアの質問に対して「異なるセグメントで展開しているので、両方をEVにて展開したとしてもうまくいくと思います。パナメーラはタイカンより一つ上です」とも答えているので、パナメーラのEV版については「全く考えていなかった」わけではないのかもしれません。

上述の通りポルシェは電動化シフトについてやや姿勢を変化させているものの、2030年までにEVが売上の80%を占めるという目標を達成したいという”希望”は依然として変わらず、しかしそのは以前の「達成すべき目標」から「できれば達成したい」というレベルへとトーンダウン。

もちろんこの背景には「消費者がそれほどEVを望んでいない」という背景があるわけですが、既存車種を完全にEVへと切り替えることはそのぶん販売を失ってしまうというリスクを含んでいて、ただでさえ中国にて販売を失っているポルシェとしては「ガソリン版のパナメーラの販売を終わらせ、その分の販売を失うわけにはゆかない」ということなのかもしれません。

ポルシェ
ついにポルシェがEV転換が急激すぎたことを認めて目標の撤回を宣言。「2030年までに販売の80%をEVにするという計画は野心的すぎました。EVの普及は顧客が決めることです」

| さらにポルシェは「ガソリンエンジンとエレクトリックパワートレーンという二重戦略」の重要性についても強調 | これはほか多くの自動車メーカーに倣う流れでもある さて、現在GM、フォード、ベントレー、 ...

続きを見る

参考までに、718ケイマン / ボクスター、マカンはすでに生産中止が決まっており、これは欧州で施行されたサイバーセキュリティ法に対応できないため。

もちろんそれ以外の地域のほとんどではこの法規は関係ないものの、「地元の欧州で販売できない以上」生産を継続する意味は薄く、よって”やむなく”販売が終了しています。

さよなら718ケイマン / ボクスター・・・。ポルシェが2025年10月に現行(982)モデルの生産を終了させ、以降は完全電動モデルに置き換えるもよう
さよなら718ケイマン / ボクスター・・・。ポルシェが2025年10月に現行(982)モデルの生産を終了させ、以降は完全電動モデルに置き換えるもよう

| かつて、ポルシェはガソリン版718 ボクスター / ケイマンとピュアエレクトリック版718とを「併売」するとコメントしていたが | さまざまなビジネス上の観点によって変更が決定されたものと思われる ...

続きを見る

そしてポルシェはこういった状況、さらに今後減少するであろう販売台数を「織り込み済み」として捉え、販売台数が減少したとしても利益を確保できるように高価格帯へとシフト(高価なニューモデルの投入と値上げの二本立て)し、さらには限定モデルの追加にて1台あたりの利益を向上させるという計画を持っていますが、ここからさらにいくつかの「路線変更」「方針転換」が見られるのかもしれませんね。

あわせて読みたい、ポルシェ関連投稿

ポルシェ
ポルシェが中国にて苦境に立たされる。「ポルシェのEVが売れないので正規ディーラーにて値引きを行わざるを得ず、その分の損失を本社に要求」との報道

| 一時ポルシェとディーラーとの間で緊張が高まったようだが、両者は解決策を模索すると声明を発表 | そしてこの問題は今後ほかの自動車メーカーにも波及するであろう さて、中国ではいまだ160もの振興EV ...

続きを見る

ポルシェの「ガソリン版のマカン、ケイマン/ボクスター廃止、後継モデルはEVへ」という戦略は危険な賭け?販売台数の1/3を占めるこれらをEVに切り替えるリスクとは
ポルシェの「ガソリン版のマカン、ケイマン/ボクスター廃止、後継モデルはEVへ」という戦略は危険な賭け?販売台数の1/3を占めるこれらをEVに切り替えるリスクとは

| いかにグループ全体の目標があり電動化を推進するにしても、この判断はあまりにリスクが大きい | 現時点ではポルシェはこの計画の見直しを考えていない ポルシェは内燃エンジン搭載のスポーツカーを製造する ...

続きを見る

ポルシェ
ポルシェの株主がついにEV不振に物申す。「ポルシェは再びEV需要が回復するまで内燃機関に集中するべきである」。わずか2年前にはこういった発言が許されなかったことは興味深い

| ほんの数年でここまで大きく世の中の状況が変わってしまうとは | そう考えると来年や再来年はどうなっているのか誰にもわからない さて、ポルシェは鳴り物入りにて新規株式公開(IPO)を行っていますが、 ...

続きを見る

参照:Autocar

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ポルシェ(Porsche)
-, , , , , , ,