| かつて、ポルシェはガソリン版718 ボクスター / ケイマンとピュアエレクトリック版718とを「併売」するとコメントしていたが |
さまざまなビジネス上の観点によって変更が決定されたものと思われる
さて、ポルシェは公式に「2025年に電動版の718ケイマン / ボクスターを発売する」とコメントしていますが、ちょっと前の予定だと、電動版718ボクスター / ケイマン発売後も(現行の)ガソリン版718ボクスター / ケイマンを併売するとしています。
つまりはマカンと同じスタイルを採用するということで、これはポルシェの研究開発責任者であるマイケル・シュタイナー博士が明確に「我々の意図は両モデルを重複させること」と述べたことからも明らかになっており、しかし同博士は「内燃エンジン搭載モデルとエレクトリックパワートレーン搭載モデルを同時に販売するかどうかは、市場状況が影響するが、それが唯一の決定要因ではない」とも補足していたわけですね。
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どうやら現行(982)ボクスターとケイマンは2025年10月に販売終了
そして今回浮上しているのが「現行718ケイマンとボクスターが2025年10月に販売終了となる可能性」で、これはXに投稿された(ポルシェのオンラインディーラーポータルからのものと思われる)1枚のキャプチャの中にある「982モデルすべての生産終了は、現在2025年10月に予定されている」という文字によって示唆されています。
上述の通り、バッテリー駆動による718モデル(983と仮称されている)は来年デビューする予定ではありますが、ポルシェは982モデルとこれを併売することなく「完全に切り替える」予定を持っていることは注目に値するところ。
From the dealer portal https://t.co/8TGjZ07GhA pic.twitter.com/S2XZafRGRs
— Zerin Dube (@SpeedSportLife) June 12, 2024
なお、昨年ポルシェはツッフェンハウゼンの生産施設を電動化車両の生産に向けてアップグレードしたと発表し、この「Flexiline(フレックスライン)」と呼ばれる生産施設によって「ガソリン版718とエレクトリック版718とを同じラインで生産できる」とコメントしており、ここからしても(ガソリン版の廃止は)やや違和感のある決定であるようにも思えます。
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もともと「ガソリンモデルとエレクトリックモデルを併売する」というのは、「エレクトリックモデルが売れなかったときの保険としてガソリンモデルを残す」という意味合いがあったものと思われ、そして上述のフレックスラインはまさにそのための対応(ガソリン / エレクトリックどちらにでも、需要の高い方の生産をフレキシブルに行える)であるとも解釈していますが、今回のスクリーンショットが事実であれば、ポルシェはガソリン版718ケイマン / ボクスターを切り捨てるという事実を意味し、「危険な賭け」に出るということに。
「危険」だと考えられる最大の理由としてはもちろん「EVがさほど売れていないこと」で、これは新型タイカンが早くも価格訴求型プロモーションを開始したこと、中古市場でのタイカンの価格がポルシェらしからぬ状況に陥っていることからもわかります。
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さらには現在、世界的にEVに対する需要が減退していると報じられるうえ、様々な要因が加わって「ガソリン車延命」の風潮が高まっており、とくにスポーツカーにおいてはその傾向が顕著です。
よってこの段階で、ポルシェがケイマンとボクスターを「ピュアエレクトリック」に無理に切り替える必要性はなんら感じられず、しかしポルシェはこれを明確な意思とともに行うこととなるはずで、これにはマイケル・シュタイナー博士のいう「一つだけではない決定要因」が働いたということになりそうです(マカンでは「併売」の道が選択されているので、718ではまた別の決定要因があったのだと思われる)
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参考までに、718ボクスターとケイマンはすでにヨーロッパで淘汰されており、これは排出ガスではなく欧州連合にて導入された最新のサイバーセキュリティ法に起因するもの(これはガソリンエンジン搭載のマカンも同様である)。
つまり欧州ではすでに982世代の718ケイマンとボクスターの販売ができなくなっており、そして現行718モデルはマカンのように「他地域での需要がそれほど強くないため」総合的に考えるとガソリンエンジン搭載モデルを廃止しても「ポルシェ全体に与える影響が大きくないだろう」と判断したのかもしれません。
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