| ほんの数年でここまで大きく世の中の状況が変わってしまうとは |
そう考えると来年や再来年はどうなっているのか誰にもわからない
さて、ポルシェは鳴り物入りにて新規株式公開(IPO)を行っていますが、その株価は今年に入って1/3も下落しており、そして先週末に開催された年次株主総会では一部株主からポルシェの現在の戦略に対する姿勢を疑問視する声があがったもよう。
ポルシェはこれまで「非常に高い水準での」成長を続けてきたものの、2023年にはその成長ペースが鈍くなってしまい、2024年にはマイナス成長に陥るのではないかと見られていて、この状況を受けて”現在の方向でいいのか”という指摘があったようですね。
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ポルシェは2025年の新車販売のうち、半分をPHEVとする意向をもっているが
なお、ポルシェCEOはオリバー・ブルーメ氏が努めていますが、同氏はフォルクスワーゲンCEOも兼任しており、よってポルシェをフォスクスワーゲングループの意向へと沿うように調整するという戦略を採用しています。
そしてその戦略とはズバリ「電動化」であり、よってポルシェはかなり強い姿勢をもって電動化を進めているというのが今の状況でもあるわけですね。
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ポルシェはすでにピュアエレクトリックカー「タイカン」を発表しており、その後には「マカンEV」の発表を行っていて、その次は「カイエンEV」そして間髪おかず「718ボクスター/ケイマンのEVバージョンを発表すると言われています(さらにその後にはカイエンの上に位置するフラッグシップ電動SUVを発売する計画が報じられている)。
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ただ、ポルシェのEVが売れているかというとそうではなく、北米では低迷する販売のテコ入れ策として(フェイスリフトを行ったばかりの)タイカンの値引きをオファーしているという報道もあり、現実のEV販売はなかなかに(他の自動車メーカー同様に)苦しいのかもしれません。
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ポルシェの株主は「内燃機関搭載車の販売強化」を希望
そして今回の株主総会において、ポルシェの現行路線に意義を唱えたのがユニオン・インベストメントのモーリッツ・クロネンベルガー氏。
同氏は「ポルシェがEV展開を積極的に進める理由、2025年にPEHVの販売を50%に引き上げるという理由」を尋ね、「EV需要が再び高まるまで、ポルシェは内燃エンジン搭載モデルの販売を増やして利益率とフリーキャッシュフローの強化を目指すべきだ」とも。
さらにはデカ・インベストメントのインゴ・シュピーヒ氏もポルシェのEVへの取り組みに疑問を呈し、同氏は「ポルシェは販売台数の減少を受け入れ、価格引き下げを求める市場圧力に屈すべきではない(つまり販売台数が減ったとしても高い利益率を維持すべきである)」と主張したと報じられています。
なお、今回の年次株主総会において、ポルシェのオリバー・ブルーメ最高経営責任者は、今年6車種のうち5車種を刷新する計画を再度示し、これらによって将来的には利益が出るだろうと述べたといい、現時点では「方針の転換」はないと考えていいのかもしれません。
ちなみにですが、ほんの2年ほど前までは、自動車メーカーが「内燃機関を重視する」という発言をしようものならば株主から袋叩きにあったものですが、今では「EVよりも内燃機関を重視すべきである」という発言が株主の方からなされるようになり、ほんのわずかな間に風向きが180度変わってしまったのは興味深い事実だと考えています。
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