>ポルシェ(Porsche)

「正当なゲンバラ」によるポルシェ911カスタム「マーシャンGT」登場、RUF製830馬力V6とポルシェ959風のリアを持つ”伝説の再来”

マルク・フィリップ・ゲンバラ「マーシャン」のエクステリア(シャンパンゴールド)〜フロント

Image:Marc Philipp Gemballa

| マルク・フィリップ・ゲンバラ「マーシャンGT」の凄み |

あの「マーシャン」がオフロードからオンロードへ

伝説的なポルシェチューナー「ゲンバラ(Gemballa)」の名を記憶しているカーマニアも多いかと思いますが、その創業者である故ウーヴェ・ゲンバラ氏の息子、マルク・フィリップ・ゲンバラ氏が設立した「Marc Philipp Gemballa(MPG)GmbH」より、最新のスーパーカー「マーシャンGT(Marsien GT)」が世界初公開されることに。

2021年に発表されたダカールラリーに着想のオフロードスーパーカー「マーシャン」の基本骨格を引き継ぎつつ、サーキットや公道走行における圧倒的なパフォーマンスを追求したオンロード特化型GTとして覚醒を果たしたこのモデル。

ここでは圧巻のスペックと魅力について紹介してみたいと思います。

マーク・フィリップ・ゲンバラが40台限定、ポルシェ911のオフローダー「マーシャン」発表
マーク・フィリップ・ゲンバラが40台限定、ポルシェ911のオフローダー「マーシャン」発表!外装はポルシェ959、内装はカレラGTへのオマージュ

| ポルシェファンはコンプリートカーを嫌う傾向にあるが、これはさすがに「別」かもしれない | マーク・フィリップ・ゲンバラのニューモデル・マーシャンの「すでに半数」が売れているという さて、先日より話 ...

続きを見る

この記事の要約

  • 伝説のチューナーの息子が手がけるオンロード専用ハイパーカー:伝説のチューナー「ウーヴェ・ゲンバラ」の息子、マルク・フィリップ・ゲンバラが「マーシャンGT(Marsien GT)」を世界初公開。
  • 伝説の名車「ポルシェ 959」オマージュのフルカーボンボディ:現行ポルシェ911(992型)ターボSをベースに100点超のカーボンパーツで徹底軽量化し、さらには959を思わせるリアデザインを採用。
  • RUFチューンの830馬力超エンジンと空気圧式アクティブエアロ:ポルシェチューニングの名門RUF(ルーフ)が手掛けた水平対向6気筒ツインターボを搭載し、0-60mph加速2.4秒を発揮。
マルク・フィリップ・ゲンバラ「マーシャン」のエクステリア(シャンパンゴールド)〜フロント正面

Image:Marc Philipp Gemballa

マーシャンGTの詳細:伝統のデザインと最先端エアロダイナミクスの融合

このマーシャンGTのベースとなっているのはポルシェ911の最高峰モデル「992型 ターボ S」で、しかし見ての通り”原型をとどめないほど”手が加えられており、実際のところ専用設計のボディコンポーネントは100点以上のカーボンファイバー製パーツで構成されています。

デザインの最大の見どころは、伝説のグループBホモロゲーションモデル「ポルシェ 959」に強いリスペクトを払った美しくワイドなリアエンドとウイング造形だと思いますが、さらにフロントマスクには911 GT1ロードカーの要素を取り入れ、ルーフにはエンジン冷却用のエアスクープを配置するなど、ポルシェのモータースポーツ史に燦然と輝く名車たちのモチーフが見事に融合しているのがこのマーシャンGTというわけですね。

マルク・フィリップ・ゲンバラ「マーシャン」のエクステリア(シャンパンゴールド)〜リア

Image:Marc Philipp Gemballa

これはポルシェも予想できなかっただろう・・・。あの911 GT1 Evoがランザンテによって洗練された「現代的なクルマ」として生まれ変わる
これはポルシェも予想できなかっただろう・・・。あの911 GT1 Evoがランザンテによって洗練された「現代的なロードカー」として生まれ変わる

| 公道を走るレーシングカー、「911 GT1 Evo」が再び蘇る | さすがはレーシングカービルダーの「ランザンテ」 1990年代から2000年代初頭にかけ、GT1カテゴリーのレースに参戦するために ...

続きを見る

驚異の軽量化と空気圧式アクティブエアロ

加えてアンダーカバーまでフルカーボン化することによってベースのターボSから約75kgもの軽量化を達成し、足回りやエアロダイナミクスにもレーシングカー直系の技術が盛り込まれています。

  • アクティブ・フェンダー・ルーバー:フロントホイールハウス内の不要な空気圧を逃がし、フロントの持ち上がり(リフト)を抑制
  • 可変リアウイング:速度に応じて自動調整され、急ブレーキ時にはエアブレーキとしても機能
  • ニューマチック(空気圧)駆動:アクティブエアロの可動部に一般的な電動モーターではなく、わずか20ミリ秒で超高速反応する「空気圧アクチュエーター」を採用

マーシャンGT:車種概要

マーシャンGTの心臓部には、ポルシェ公認のコンストラクターとして知られる名門「RUF Automobile(ルーフ)」が手掛けた3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンが収まっており、排気系にはアクラポヴィッチ(Akrapovič)製のフルチタンエキゾーストが組み合わされ、官能的なポルシェのフラットシックスならではのサウンドを奏でます。

マルク・フィリップ・ゲンバラ「マーシャン」のエクステリア(シャンパンゴールド)〜フロントフェンダー

Image:Marc Philipp Gemballa

ポルシェ911GT3のフロント
ポルシェとスバルの2社のみが守り続ける「ボクサーエンジン」は何が優れるのか?直列エンジンに対するアドバンテージ、他社が採用しない理由とは

Life in the FAST LANE. | なぜ世界で2社だけが「水平対向」を守り続けるのか? | いまや水平対向エンジンは「絶滅危惧種」に 大量生産と規模の経済(スケールメリット)はこだわりの ...

続きを見る

マーシャンGT 主要スペック一覧

項目詳細スペック・パフォーマンスデータ
ベース車両ポルシェ 911(992型)ターボ S
パワートレインRUFチューン 3.8L 水平対向6気筒 ツインターボ
最高出力830 hp(約841 PS) ※900hp超のステージ2キットも準備中
最大トルク930 Nm
トランスミッション8速 PDK(デュアルクラッチ) / 全輪駆動(AWD)
0-60 mph(約0-96 km/h)2.4秒
最高速度330 km/h(205 mph)
サスペンションKW Automotive製 電子制御アダプティブダンパー(リフト機構付き)
エキゾーストAkrapovič(アクラポヴィッチ)製 フルチタンマフラー
ホイール / タイヤフロント20インチ・リア21インチ センターロック鍛造アルミ / Michelin Pilot Sport Cup 2
車両本体価格車両変換費用 770,000ユーロ(約1億2,500万円)〜 ※ベース車両代除く
限定生産台数世界限定 30台

競合比較と市場での位置付け

ハイエンドなポルシェのレストモッドやコンプリートカー市場において、マルク・フィリップ・ゲンバラの位置付けは極めてユニークで・・・。

  • シンガー ヴィークル デザイン(Singer Vehicle Design)との違い:シンガーが964型などの「空冷ポルシェ」をクラシックな美学でレストア&カスタムするのに対し、マルク・フィリップ・ゲンバラは「現行992型」の最新ハイパフォーマンス機構をベースとし、ハイパーカー領域の空力とパワーを注入するアプローチを採用している
  • RUF本体やテックアート(TechArt)との違い:単なるアフターパーツチューニングにとどまらず、100点以上の専用カーボンボディや独自の空気圧エアロシステムを新規開発し、独自のコーチビルド(受注生産ボディ)ハイパーカーとして車体を昇華させている

父ウーヴェ・ゲンバラ氏の生誕70周年を記念し、マーシャン・シリーズ全体で通算70台(通常版マーシャン40台+マーシャンGT30台)のみしか限定生産されないため、世界中のコレクターにとって究極のステータスシンボルとなる可能性を秘めていますが、ルーフほか様々なブランドが「ゲンバラの名のもとに」惜しまず協力しているという点もまた、このマーシャンの価値を押し上げているひとつの理由なのかもしれませんね。

マルク・フィリップ・ゲンバラ「マーシャン」のインテリア

Image:Marc Philipp Gemballa

関連情報:偉大な父「ウーヴェ・ゲンバラ」と「RUF」の絆

このマーシャンを理解する上で知っておきたいのがブランドの背後にある歴史と人間ドラマであり・・・。

1. 父ウーヴェ・ゲンバラの功績と息子の独立

80年代〜90年代に「Gemballa Avalanche(ゲンバラ アバランシェ)」などの過激なコンプリートカーで世界を席巻したウーヴェ・ゲンバラ氏。

ただしその後様々なトラブルに巻き込まれ、ウーヴェ・ゲンバラ氏が死体となってアフリカで発見されるなど衝撃のニュースが報じられていますが、息子のマルク・フィリップ氏は法廷闘争の後「ゲンバラ」のブランド名を使用できなくなってしまい、しかし父の名声に甘えることなく、自身の名を冠した「Marc Philipp Gemballa GmbH」を自ら起業することに。

旧ゲンバラ社とは資本関係を持たない独立したメーカーとして、現代の技術で新たな伝説に挑んでいます。

ゲンバラ・アヴァランチ
「ゲンバラ」と「創業者の息子であるマーク・フィリップ・ゲンバラ」との法定対決に決着。今後息子はゲンバラとの関係を主張できず、ゲンバラの名を名乗れない可能性も

| あまりにウーヴェ・ゲンバラの息子にとっては厳しい判決内容に | ただし先に実車を発表したのは息子のマーク・フィリップ・ゲンバラのほうだった さて、とにかく血なまぐさい闘争から抜け出すことが出来ない ...

続きを見る

2. 半世紀近く続く「RUF」との協業関係

今回エンジンチューニングを担当したRUFは、1980年代に父ウーヴェ氏のカスタムモデルにもパワートレインを提供していたことで知られており、(マルク・フィリップ・ゲンバラ氏が”ゲンバラ”のブランド名を使用できなくなったのにもかかわらず)世代を超えて父子2代にわたり「RUF×Gemballa」の黄金タッグが復活したことは、古くからのポルシェファンにとって胸が熱くなるストーリーと言えそうです(少なくとも、ぼくはちょっと胸熱である)。

結論:新時代に刻まれるポルシェカスタムの至高の一冊

モントレー・カー・ウィーク(ペブルビーチ・コンクール・デレガンス)にてお披露目される「マーシャンGT」は、ポルシェ911が持つ潜在能力を極限まで引き出した芸術的ハイパーカー。

価格はベース車両(911ターボS)を含めると1億円を軽く超える超高額モデルとなりますが、世界限定30台という希少性、そして959のDNAにRUFのパワー、さらに最新のエアロ技術が高度に融合したこの1台は、自動車史に残る傑作として語り継がれてゆくこととなりそうです。

合わせて読みたい、関連投稿

【限定100台】シンガーの最新ポルシェレストモッドは“1980年代のワイドボディ911”へのラブレター。エンジンはコスワース、足回りはなんとレッドブル製
【限定100台】シンガーの最新ポルシェレストモッドは“1980年代のワイドボディ911”へのラブレター。エンジンはコスワース、足回りはなんとレッドブル製

| 今回の最新レストモッドでは「ホワイトのホイール」「新型ミラー」「ポップアップランプ」など新しい要素が満載 | コスワース×レッドブルも参加! 伝説の911を現代に蘇らせた究極の一台 ポルシェ911 ...

続きを見る

ギュンターワークスによるポルシェ911のレストモッド「ステルスファイターエディション」正面
まんまステルス戦闘機。ギュンター・ワークスがポルシェ911「フラットノーズ」レストモッド、ブラックステルスファイターエディションを公開

| まさにその姿はステルス戦闘機、「黒い怪鳥」である | 「Gunther Werks」の正式な読みは「ギュンター ワークス」で決定? さて、シンガー・ヴィークル・デザインと並ぶポルシェ911レストモ ...

続きを見る

「アイアンマン」モチーフのポルシェ911レストモッド(ギュンターワークス / GWX エンドゲーム)~サイド
アイアンマンをイメージしたポルシェ911のレストモッド「エンドゲーム」登場。あのアークリアクターにインフィニティ・ストーンも

Image:Gunther Werks | ギュンターワークスが放つ究極の空冷911レストモッド「Project Endgame」がスゴかった | ポルシェ911「エンドゲーム」に潜む超絶スペックと遊 ...

続きを見る

参照:Marc Philipp Gemballa

->ポルシェ(Porsche)
-, , , , , , ,