| アバルトは今後に向けてブランド再構築? |
おそらくはステランティスの中では「もっともスパルタンな」ブランド
さて、アバルトがアルファロメオ4Cをベースに、1960年代の名車、「1000SP」へのオマージュモデルを製作したと発表。
スペックとしてはベースとなるアルファロメオ4Cと変わらず、カーボンファイバー製のシャシータブにマクファーソンストラット式のリアサスペンション、ミッドマウントされた1742ccのターボチャージャー付き4気筒エンジン(最高出力237hp/240ps)という内容です。
アバルトとはなんぞや
なお、アバルトは現在ステランティス傘下のいちブランドですが、もとはというと独立したカルロ・アバルトによって設立されたファクトリー。
主にフィアットやアルファロメオのクルマをベースとしてチューニングを施してレースに参戦し、数々の輝かしい記録を残した名門です。
1960年代に入るとアバルトは最盛期を迎えますが、1970年代になると勝利や知名度の向上に反比例して資金が枯渇するようになり、やむなくフィアットとの経営統合を行なうこととなっています。
そのスタイリングはまさに1000SP
そしてアバルトにとってもっとも成功したレーシングカーのひとつが1000SP(左)。
1965年にマリオ・コルッチの設計によって誕生した、アバルト初の鋼管スペースフレームを持つ自社製レーシングカーです。
ボディ形状はオープン2シーター(イタリアでは”バルケッタ”ということになる)、そしてエンジンはミッドマウント。
ボディパネルはグラスファイバー製で、クラッシュの際に容易に交換でき、整備も楽に行えるように考慮された構造を持っています。
ボディサイズはわずか全長3445ミリ×全幅1625ミリ×全高930ミリ、そして重量は信じられないことに480kg(ポルシェ・ベルクスパイダーの”384kg”には負ける。
エンジンは105馬力を発生するDOHC4気筒982cc、トランスミッションは5速MT、サスペンションはダブルウィッシュボーン、ホイールはカンパニョーロによるマグネシウム製。
最終的な生産台数は50台だと言われます。
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そして「新」アバルト1000SPを見ると、オリジナルの1000SPの特徴でもある「大きく盛り上がった前後フェンダー」にはじまり、ランプ形状やボンネット状のスリット、大きなフロントスクリーン(これは当時のFIAの定めた基準によるもので、このサイズにならざるをえなかった)と独特な形状のサイドウインドウもしっかり再現されています。
リアだとロールバー、テールランプ、グリルといった部分も共通していますね。
アルファロメオ4Cからはこう変わった
なお、こちらがベースとなったアルファロメオ4C。
そしてこちらがアバルト1000SP。
言われなければアルファロメオ4Cがベースだとはわからないほどですね。
なお、ステランティスによると、このアバルト1000SPは1台のみが生産され、様々なイベントにて使用されることになるそうですが、今後量産の計画はない、とのこと。
しかしステランティスは傘下にあるすべてのブランドに対し、「ブランド再構築のために必要な資金、そして10年の猶予を与える」ともコメントしており、もしかするとアバルトも再生のためにもなんらかの計画を持っているのかもしれません。
そしてアバルトは「歴史」「実績」という点においては申し分なく、独自のポジションを構築できる可能性が高い、とも考えています。
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参照:ABARTH