| 水族館に沈めるのが一番いいのかもしれない |
さて、先日偶然にもオランダの川底から見つかった「26年前に盗まれた」フェラーリ・モンディアル。
現在のところこのモンディアルを「販売」することは法規的に難しく、スクラップヤードで鉄くずにされるのを待つばかりの状況となっています。
唯一このフェラーリ・モンディアルをスクラップにせずに済む方法があるとすれば、それは「非営利団体への寄贈」だそうですが、今のところ引き取り手として名乗りをあげる団体もなく、まさにモンディアルにとっては危機的状況。
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フェラーリを愛する男は黙ってはいなかった
そこで立ち上がったのが、「放置されたフェラーリ」を探し出しては修復して再び路上へと戻すことに情熱を傾ける男、「ラッタロッサ」。
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そして今回のフェラーリ・モンディアルについて、これは盗難された後に26年間も水中に没しており、現地消防署による潜水訓練の際に偶然発見されたもの。
26年も水の中にあったにしては驚くほど「原型をとどめている」状態ではあるものの、各部は錆びついていて修復はどうやっても不可能です。
さらにはラッタロッサ氏がこれを買い取ることも法的には難しく、そこでラッタロッサ氏が提案する「このフェラーリ・モンディアルを救う」方法が「水族館への展示」もしくは「博物館への展示」。
前者については、水槽の中にこれを沈めて展示することをイメージしており、後者は文字通りこれを芸樹と作品として展示するというもの。
ただし残念ながら同氏は直接これらに対してコネクションを持っているわけではなく、しかし自身の影響力をもって広く世の中に「フェラーリ・モンディアルをスクラップにしてはならぬ」と語りかけることでこれを救おうとしているわけですね。
水槽の中に沈めるのはなかなかに面白い案だとは思いますが、有害物質が溶け出たり、崩壊してきたときの清掃が困難といった問題もありそうです。
実際のところ、引き取り手が現れなければスクラップにする以外の道ははなく、このフェラーリ・モンディアルはこの世から消滅してしまう、ということになるのかもしれません。
なお、水族館での展示という点においては思い出すのは「ロンドン水族館」。
ぼくが訪問した際には「テムズ川の川底」という展示があり、自転車はじめ様々なご廃棄物が積もり積もった様を再現した水槽が公開されていましたが、なんとも英国らしいウィットとアイロニーに富んだ展示であったことを記憶しています。
参照:Ratarossa
フェラーリ・モンディアルはこんなクルマ
今回川底で発見されたモンディアルは、1985年に発売された「モンディアル3.2」。
モンディアル自体は208/308GT4の後継として登場した4座クーペの「モンディアル8」がそのルーツで、ボディのデザインはピニンファリーナ。
モンディアル3.2は1985年のフランクフルトモーターショーにて発表され、それまでのモデルに対してボディカラー同色バンパーの装着によって洗練された外観となったことが大きな特徴。
チューブラーフレームに90度3.2リッターV8エンジン(欧州仕様で270BHP)を搭載し、トランスミッションは5速マニュアル、駆動輪は後輪のみ。
ボディサイズは全長4535ミリ、全幅1795ミリ、全高1235ミリ、車体重量は1410kgというスペックを持っています。
4座ということで人気が高いほうではありませんが、ここ最近になって再評価の機運が高まっているモデルでもありますね。
参照:Ferrari