| アストンマーティンのクルマに魅力を感じる人は多く、しかし「リセール」がネックで購入をためらう? |
さて、いつもお世話になっている八光さんがアストンマーティンについて「3年後の残価70%を保証」キャンペーンを実施したところ、間を置かずに対象車種が完売した模様。
対象となる車種は今回6台のみで、「DB11 V8クーペ」3台、「ヴァンテージ」3台ですが、これが即売り切れてしまったということになります。
この「残価」については、一般にブランド価値をモロに反映したものであり、3年後の残価だとモデルによっても異なるものの、フェラーリでは70~75%、ランボルギーニでは70~65%、ポルシェやアストンマーティン、アウディ、マクラーレンで50%くらい(ぼくの知る範囲では、35%というブランドもある)。※最近は、残価をかなりフレキシブルに設定できる例も多いので、これらの数字はあくまでも目安
残価設定ローンは強い味方
そしてこの残価設定ローンですが、手元資金が少ない場合には心強い味方となり、というのも3000万円のクルマを残価設定ローンで購入し、その残価が70%だとすると、残価の2100万円を差し引いた金額つまり900万円を(月々のローンで割って)支払えばクルマに乗れるため。
正確には、分割手数料や諸経費は「残価」算出の対象にならないので、毎月のローンは「車両本体価格から残価を差し引いた額」ではありませんが、とにかく「クルマを、月々の負担を小さくして」乗れるのは間違いない、ということです。※オプションについては、残価に含めるブランドとそうでないブランドがある
そう考えると、同じ車両本体価格であっても、残価率の高いクルマほど「毎月の負担が小さい」ということになり、残価率の最も高いフェラーリこそが「もっとも毎月の支払いが小さい」スーパーカーということになりますね。
やはりリセールは重要
ちなみに今回のプランを見てみると、DB11クーペでは毎月287,600円~292,700円、ヴァンテージだと261,000円~265,500円で購入が可能。
走行距離の制限、車両保険の加入義務といった制限もあるようですが、これまで販売苦戦が伝えられたアストンマーティンについて、「残価率が引き上げられたことで購入を即座に決断する人がいる」というのは紛れもない事実であり、ぼくがアストンマーティンに惹かれながらも、なかなか購入できなかった理由もまた「リセール」。
つまりは「リセールバリューを高くする」ことで新車販売が促進されるのは間違いないとも考えられますが、リセールバリューを高く維持=中古価格を維持するというのは非常に難しいわけですね。
その一つの理由としては、メーカーやディーラー直系ではない中古車販売店に車両が流れると、その販売店は「売る」ことこそが仕事であり「価格維持」は考慮しないので、売れなければ”売れる価格にまで”販売価格を下げることに(体力があれば、一定のところから下げずに売れるまで待ち、利益を確保する場合も)。※これは販売店からすると当然の理論であり、まっとうな手法
こういった状況を解決するには、メーカー/ディーラー直系の中古車販売網を整備し、「高値買取」によってほかにクルマを流れないようする必要があり、しかしこれはメーカーやディーラーにとってかなりな負担になるものと思われます。
ブランド価値を向上させるには「お金」と「時間」がかかる
そのほか、そもそも値段を高く付けても「客がついてこなければ」意味はなく、顧客に「高くても買ってもらうようにする」にはブランド価値を向上させる必要があり、それについても様々な投資が必要に。
フェラーリの場合は「F1で勝つ」ことがブランド価値を向上させる(主な)手法であり、ここで得た勝利がブランドバリューを積み上げてゆくわけですね。
アストンマーティンの場合はそれが「007映画」ということになりそうですが、そのブランドのバックボーンやクルマの性質によってブランド価値を上げてゆく手法は様々で、しかし「お金がかかる」「時間もかかる」というのは共通しているところ。
よって、高いブランド価値は一朝一夕に構築できるわけではなく、だからこそ「ブランドの売買」が行われたり(新規にブランドを立ち上げ、市場浸透させるには時間とお金がかかる)、時間とお金を投じて成功してきたブランドは「その見返りを得る」ことができるのだ、とも思います。
話をアストンマーティンに戻すと、「リセールが良ければ買う」という人が存在するのは間違いなく、つまりはクルマそのものは魅力的で、しかし販売を阻害する要素が「リセール問題」。
よって、アストンマーティンがこれを解決できれば、新車販売も大きく伸ばすことができるかもしれませんね。