| 実際は走行できないものの、どんな限定フェラーリよりも価格が高そうだ |
フェラーリが488ピスタの「風洞実験用」模型をコレクター向けにカスタムしたと発表。
風洞実験に使用するスケールモデルのボディ上に「スピードを可視化」することを目的とし、あたかも実験中の状態(コンピューターによる解析を行っている状態)を再現したかのようなグラフィックをペイントしています。
名付けてこのフェラーリ488ピスタは「スピード・フォルム」
今回、フェラーリはこのプロジェクトを「スピード・フォルム」と命名。
フェラーリによると「フェラーリのコレクターに向けた、魅力的でユニークな究極の限定モデル」、そして「風洞実験のモデル、コンピューター・グラフィックによるエア・フローの解析結果、ペインターが手で描いた空気の流れをすべて融合させる一つのプロジェクト」と表現しています。
ある意味では、これまでに送り出されたどんな実車のカスタムペイントよりも手が込んでおり、その価値は(コストも)計り知れない、という感じですね。
フェラーリ488ピスタ「スピード・フォルム」のプロジェクト開始は4年前
なお、このプロジェクトがスタートしたのは4年前。
風洞にてフェラーリ488ピスタのエアフローを解析し、それをCFD(数値流体力学)ソフトにて可視化したことから今回のアイデアが生まれたとのことですが、このプロジェクトを実現させるために風洞のエキスパート、スケールモデル製作テクニシャン、そして特殊ペインターが一つ旗のもとに集結し、この「エアフローの可視化」を物理的に表現するという手法について実験を開始しています。
このスケールモデルは実際に風洞実験に使用したモデルの「再利用」ではなく、別途風洞事件用モデルを今回のプロジェクトのために作成したもの。
アルミ製パネルの上にカーボンファイバーを貼ってあるそうです。
こうやって見ると、各パーツがボルト留めされていることがわかりますが、ドアミラーの「抵抗の大きさ」も視覚的に理解できます。
ドアミラー本体の空気抵抗もさることながら、ステー部分がエアの流れを乱しているようですね。
ボディ表面上には速度ベクトルを可視化
なお、「空気の流れ」だけではなく、フェラーリは速度ベクトルの可視化についてもチャレンジ。
「線積分畳み込み(LIC)法による速度場の可視化」を行ったといい、488ピスタのスケールモデル表面付上に、速度ベクトル場を”数学的手法”によって再現しています。
カラーは「空気の速度」を表現しており、フェラーリによれば青い部分は「速度ゼロ(おそらくは実際の解析結果にアレンジが加えられているものと思われる)」。
ちなみに風洞実験用のソフトは8つあり、この「スピード・フォルム」はそれらの測定結果を組み合わせて表現しているようですね。
この塗装はとんでもなく難易度が高そうです。
もうどう見ても、モニタ上にて示された解析画像を見ているとしか思えないという印象。
ラインの精度は1/1000メートル
さらにここからが大変な作業となり、ペインターは空気圧の上に「空気の流れ」をペイントしてゆきます。
一本一本マスキングして塗ることになるのだと思われますが、その精度は1/1000の誤差に収まる、とのこと。
細部を見ると、各々のラインが立体的に交差している部分もあるようですね。
こちらはまだ「圧」がペイントされていない状態に「流れ」を示した状態。
こうやって試行錯誤を行いつつ本番へと移ることになりますが、そうとうな時間がかかっていることも容易に想像できます。
こちらはボディ裏面。
フルフラットどころか、シームレスな構造を持つことがわかります。
ここにエアの流れを示すとこう。
風洞実験用モデルのサイズは「2メートル」
なお、画像ではわかりにくいものの、風洞実験用のモデルカーの全長は2メートルほどで、実車の40〜50%なのだそう。
ちなみにこの「スピード・フォルム」は1台のみの生産にとどまらないようですが、フェラーリによれば「個別の認証が与えられたモデルや究極の限定モデルに含まれるフェラーリをコレクションしたいと思う顧客のみ」を対象としおり、つまりは「ワンオフモデルを発注できるVIP顧客、もしくはモンツァSP1/SP2といった究極限定モデルを手中にできる人のみ」がこれを注文できるということになりそうです。
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