| いつ見ても、エンジンルームに水を掛ける様子は心臓によろしくない |
それにしても、この希少なフェラーリのオーナーが「日常的にこれに乗っている」ことに驚かされる
さて、フェラーリコレクターとして知られるジェームズ・グリッケンハウス氏が所有するワンオフモデル「フェラーリP4/5」。
これはフェラーリが直接カスタムしたものではなく、フェラーリのデザインを(当時)担当していたピニンファリーナの手によるもので、ベースは400台のみが生産された「エンツォ・フェラーリ」。
このフェラーリP4/5は、ジェームズ・グリッケンハウス氏がピニンファリーナに製作を依頼することで実現したプロジェクトですが、なんと同氏は「もう一台」このレーシングバージョンをピニンファリーナへと発注しています(そちらのベースはエンツォフェラーリではなく430スクーデリア)。
フェラーリは「この存在を知らなかった」
なお、ピニンファリーナは長らくフェラーリのデザインを担当してきたことで知られ、しかしフェラーリとの契約内容は「屈辱的」なものだったといい、いわば(支払われる報酬を含めて)フェラーリの隷属的な扱いを受けていた模様。
それでもピニンファリーナがフェラーリとの契約を解除したがらなかったのは「フェラーリのデザインを行っている」という肩書が非常に強力であり、そのためフェラーリのカスタムを依頼する例があとを絶たなかったからだといいます。
ピニンファリーナの顧客リストの中にはブルネイ王室も名を連ねますが、もちろんこのジェームズ・グリッケンハウス氏もその一人であり、このフェラーリP4/5のみでも約4億5000万円にて販売されていることを考えると、ピニンファリーナがフェラーリの威光をありがたがったことも理解できますね。
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ただ、このフェラーリP4/5について、フェラーリは「(制作されることについて)何も知らなかった」といい、ピニンファリーナがフェラーリに黙ってこのクルマを作ったというのはかなり意外。
というのもフェラーリP4/5のデザインイメージはフェラーリP3/4だとされ、このP3/4はフェラーリが1960年代後半に製作したレーシングカー(後に412Pと呼ばれる)だからであり、このデザインをピニンファリーナが「フェラーリに黙って」使用したということになるため。
下の画像がフェラーリP3/4(412P)ですが、これと比較すると、フェラーリP4/5はこの特徴をよく捉えており、うまく現代風に解釈しているようにも思います。
なお、このフェラーリP4/5について興味深いのは、リアフェンダーとルーフ(キャノピー)との境界線。
これは2013年発表のラ・フェラーリとの類似性が見られ、P4/5ではその7年前にこのデザインを再現していたということになりますが、ラ・フェラーリはピニンファリーナではなくフェラーリの「内製」デザインだとされ、しかし同様のデザインを持つところはちょっと「謎」でもあります。
ジェームズ・グリッケンハウスとは
そしてこういった大金を支払えるジェームズ・グリッケンハウス氏について、同氏は様々な肩書をもつものの、もっとも有名なのは「映画監督」として。
そして最近では「スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス」を主宰し、バハ1000に出場するためのスーパーオフローダーや、SCG003やSCG005といったスーパーカーを発売しており、さらにはル・マン24時間レースに出場するためのハイパーカーも公開しています。
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なお、ジェームズ・グリッケンハウス氏はピニンファリーナに思い入れがあるのか、ちょっと前にはピニンファリーナのコンセプトカー「モデューロ(車高が93センチしかない)」を購入してレストアしたことも。
クルマ好きがこうじて自ら自動車メーカーを立ち上げたり、レストアを行ったりという行動力には驚かされますね。
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フェラーリP4/5はこうやって洗う
そして今回、アメリカのカーディティーリングショップ、AMMOがこのフェラーリP4/5のディティーリングを依頼されたわけですが、まずはスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス氏の元を訪れてこのフェラーリP4/5を引き取ることに。
なお、驚くべきことに、同氏はこの「世界に一台」しかないフェラーリP4/5を普通に乗っていたようですね。
エキゾーストパイプは上方にも2本突き出ていますが・・・。
下からも2本。
フェラーリの跳ね馬(プランシングホース)は立体ではなくペイント仕上げ。
まずはフォーム(泡)を吹き付け・・・。
洗車開始。
ホイールもしっかり洗います。
エンジンルームにもフォームや水をバンバンかけていて、その勢いは見ているこちらがちょっと心配になるほど(AMMOは経験上「大丈夫」だと理解しているのだと思われるが、やっぱり心配)。
シートもスチーム洗浄。
ダッシュボードとフロントウインドウの隙間に手が入らない!
この苦悶の表情がすべてを物語っているようですね。
そのあとは傷んだ塗装を徹底的に磨き上げます。
塗装されている部分であれば車体裏側であってもしっかりポリッシュ。
世界に一台しかないフェラーリP4/5を磨き上げる動画はこちら
参照:AMMO NYC