| 見たところダメージは小さくはなく、相当な修理費用を覚悟する必要がありそうだ |
この機会にフェラーリにて修理を行い、フェラーリの「お墨付き」をもらってほしいものだ
さて、先週末は「ル・マン・クラシック」が4年ぶりに開催され(本来は隔年での開催だが、前回はコロナウイルスの影響にて延期)大きな盛り上がりを見せたようですが、そこではメーカーによる魅力的なニューモデルの展示があったり、めったに見ることができない限定モデルやクラシックカーが集まったこともあって多くのファンを喜ばせています。
ただ、やはりこういったイベントにアクシデントはつきものであり、ワンオフそして製作には数億円のコストが掛かったと言われるフェラーリ250GT SWB「ブレッドバン」がクラッシュを喫することに。
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フェラーリ250SWB「ブレッドバン」とは?
このフェラーリ250SWBブレッドバンについては説明が必要かと思われ、ここで簡単に紹介しておくと、このフェラーリ250GT SWBブレッドバンは1962年誕生しています。
その背景としては、当時ジョヴァンニ・ヴォルピ伯爵がフェラーリに250GTOを買いに行ったところ、エンツォ・フェラーリが「お前には250GTOは売らん」と無下に断ったことに端を発していて、そこで同伯爵は250GT SWBをベースとし、打倒250GTOを掲げ、「よりパワフルなV12エンジンと、より軽量でエアロダイナミクスに優れたボディ」を用いることでそれを実現しようとしたクルマ。
実際に1962年のル・マン24時間レースに出場し、一時はル・マンに参戦したすべての250GTOを上回る速さを見せるもののドライブシャフトの破損によってあえなくリタイヤすることとなっています。
ただ、その特異なルックス、そして一瞬といえども見せたその速さから注目を集め、ブレッドバン(パン屋のバン)、フランスのマスコミからは「ラ・カミオネット(小さなトラック)」と呼ばれて大きな話題に。
参考までに、マスコミが命名したとされるネーミングには「ゴジラ(R32 スカイラインGT-R)」、「イエローバード(ルーフCTR)」などがあり、ファンの呼称が一般化したものだと「デイトナ(フェラーリ365GBT/4)」などがあって、このブレッドバン同様に、そういった通名のほうで知られるクルマも多く存在するようですね。
もうひとつ参考までに、当時「美しくない」という理由にてエンツォ・フェラーリの激しい怒りを買ったそうですが、のちにフェラーリはこれを「認知」しており、2012年にはフェラーリ博物館に(ベースモデルの250GT SWBとともに)展示されたとも報じられています(ぼくが行ったときには展示されていなかったので、引き上げられてしまっていたようだ)。
なお、動画を見る限りだと、「ブレッドバン」なる名称の由来は、そのバン(ワゴン)風の形状よりも、オーブンのドアを思わせるリアウインドウにあるのかもしれません。
そして今回クラッシュしたのはフェラーリ博物館に展示されたクルマなのかどうか不明ではあるものの、このクルマは1台しか存在せず、そしてレプリカだとも紹介されていないので、「本物」のブレッドバンがクラッシュしたと考えていいのかも(フェラーリ博物館への展示物は、これを所有する個人オーナーから借り受けたものであったと考えるのが妥当)。
そしてこの姿が撮影された30分後にはこういった感じで激しくクラッシュ。
ただし幸いなのは31歳のオーストリア人ドライバー、ルーカス・ハルサ選手に怪我がなかったことで、しかしフェラーリ250SWBブレッドバンのほうは大規模な補修が必要となりそうですね。
おそらくはサーキットでの出来事であり、価値の算出が難しいクラシックカーなので保険にて修理費用を担保することは難しそうではありますが、こういったイベントには専用の保険があるのかもしれません(オーガナイザーが用意しているのかも)。
フェラーリ250SWBブレッドバンには「オマージュ」モデルも存在する
ちなみにこのフェラーリ250SWBにはオマージュモデルが存在し、かつての250GT SWBではなく、フェラーリ550マラネロをベースに製作された現代版が存在します。
こちらはコーチビルダー「ニールス・ヴァン・ロジ・デザイン」によって企画・製造されたもので、もちろん初代ブレッドバン同様にフェラーリ「非公認」の個体です。
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希少なフェラーリ250SWBブレッドバンがクラッシュする様子を収めた動画はこちら
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