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フェラーリがF430のレプリカを購入した中古車店に「3.3億円の支払いと1年の実刑」を求める→ただしレプリカが「似ていなかった」ことでフェラーリが敗訴

フェラーリがF430のレプリカを購入した中古車店に「3.3億円の支払いと1年の実刑」を求める→ただしレプリカが「似ていなかった」ことでフェラーリが敗訴

| さらに裁判所は「その主張はあまりに行き過ぎ」だとも判断している |

フェラーリはこの判決を不服としているが、「レプリカの販売だけではなく購入も危険」という認識を広く周知させることになったものと思われる

さて、フェラーリは自社の権利を侵害するものに対しては強い態度で臨み、ときには訴訟も辞さないことで知られていますが、今回は「ちょっとした珍事」が報じられていて、それは「フェラーリが、F430のレプリカを購入したスペインの中古車販売店に対して刑事じ責任を追求し訴訟を起こすものの、敗訴してしまった」というケース。

レプリカを巡る訴訟にてフェラーリが敗訴するというのはかなり珍しい例だと思われます。

なぜフェラーリは「敗訴」したのか?

そこで今回の訴訟の経緯を見てみると、まずはくだんのスペインの中古車販売店が「レプリカのフェラーリF430」を購入するところから始まります。

このF430のレプリカはフォード・クーガーをベースに製作されたもので、中古車ディーラーはもちろんレプリカと知りながらこのクルマを購入したわけですね。

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そしてその12日後にこのレプリカは現地警察によって押収されることとなっていますが、この経緯や罪状は不明です(商標権の侵害を理由に警察がレプリカを押収するというのは考えにくい)。

その後、この一件がフェラーリの知るところとなってしまい、フェラーリはこの中古車ディーラーに対して210万ユーロ(現在の為替レートにて3億3400万円)の損害金、さらに所有者には1年の実刑判決を求めることに。

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しかしながらア・コルーニャ第3刑事裁判所はこのフェラーリの訴えを退けるという意外な判断を下したわけですが、その意図は「以下に掲げる理由から、フェラーリの求める内容は行き過ぎである」というもの。

フェラーリの請求はこういった理由で「不釣り合い」である

  • 中古車ディーラーはこのレプリカを購入しただけである
  • 中古車ディーラーはレプリカを製造したわけではない
  • 中古車ディーラーはこのレプリカを業務用として使用しており、販売して利益を得ようとする意図はない
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さらに裁判所が述べたのは「エンジンの搭載位置も異なり(レプリカはフロントにエンジンがある)、フェラーリのエンブレムも粗悪な模倣レベルにとどまる」ということで、幸か不幸か「あまりにも本物のフェラーリに似ていない」ことにより、このフェラーリのレプリカは「勝訴を勝ち取った」ということになりますね。

現地の弁護士、マリア・ムイノ・ゴンザレス氏は「知的財産権に関する事件が刑事手続きにまで発展するのはかなり異例なこと」だとも現地メディアに対して語っており、やはり今回のフェラーリの主張はちょっと”行き過ぎ”だったのかもしれません。※ただ、レプリカを買うだけでも罪に問われる可能性があるということが幅広く知られるようになり、それはそれで一つの抑止力となる

一方、フェラーリはこの判決を不服としており、もしかするとフェラーリは控訴を考えているのかもしれませんね。

フェラーリはそのブランド価値を侵害するものを許さない

なお、フェラーリはそのブランド価値を毀損するもの、模倣に対しては非常に強い態度を取ることで知られ、エンツォ・フェラーリ存命中にはエンツォ自らケーニッヒに対して(そのクルマからフェラーリのエンブレムをすべて外せという)書簡を送ったという話もあり・・・。

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訴訟になったとは報じられていないものの、かの「ブレッドバン」も(当時)エンツォ・フェラーリを怒らせたといい、とにかくエンツォ・フェラーリの時代から「その美しさを汚すもの」に対しては断固許すまじ、というスタンスであったようですね。

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参照:Periodismo Del Motor, rtvenoticias(Instagram)

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