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19台のみが製造され一時はブルネイ王室の所有下にあったフェラーリF50「量産前試作車」が中古市場に。量産車とは40箇所も相違があるらしい【動画】

2024/01/09

19台のみが製造され一時はブルネイ王室の所有下にあったフェラーリF50「量産前試作車」が中古市場に。量産車とは40箇所も相違があるらしい【動画】

Image:DK Engineering

| プロトタイプながらも現在はフェラーリの認定を受け「公道走行のための登録」が可能に |

つまりフェラーリF50は「349台」の師範スペックの他に19台が存在することになる

さて、19台のみが製造されたF50のプリプロダクションモデル(量産前プロトタイプ)のうちの1台が中古市場に登場。

フェラーリF50はフェラーリ創立50周年記念スーパーカーとして発表され、わずか349台のみが生産されていますが、これは「公道を走るF1」というコンセプトのもとに設計されており、実際にその心臓部たるエンジンは1991年のF1 世界選手権を走ったフェラーリF1マシン、「642」から派生した自然吸気V12です。

ただし公道走行を考慮して「デチューン」されることになり、排気量を4.7リッターにまで拡大して可変長インテークパイプ/可変エキゾーストシステム(6-2-1エキゾースト・マニホールド・レイアウトに加えてバタフライ・バイパス・バルブを装備)を採用し、レブリミットを下げることで(F40の40馬力増しとなる)520馬力(8,500回転で発生)を達成しています。

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フェラーリF50は「オープントップ」を備えることが大きな特徴であった

いかにエンジンが(F1マシン搭載時から)デチューンされていたといえど、F50は「公道を走るF1」だけあって”オープントップを備える”ことが他のライバルとの大きな相違点であり、ルーフの脱着はフェラーリ正規ディーラーでしか行えないものの、いったんルーフを取り外せばF1マシンさながらの爽快なドライビングエクスペリエンス、そして何よりもF1マシン直系のエンジンサウンドを楽しめたわけですね。

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そして今回販売されているフェラーリF50について見てみると、これは上述の通り量産前の先行生産車。

なお、先行して製造された19台のうち6台はブルネイ王室へと販売されたそうですが、今回販売される個体は(ピニンファリーナによって右ハンドル化された他の個体とは異なり)左ハンドルを維持しています。※3〜5台が右ハンドル化されたようだ

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今回の販売に際し、販売元のDKエンジニアリング(英国のフェラーリ・スペシャリスト)は実際に顧客へと納車された「量産車」との相違を解説しており、その違いはなんと「40箇所」もあるのだそう。

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先行生産車と量産版フェラーリF50はこう違う

たとえばフロントのカーゴコンパートメントがなくなっていたり、デュアルファンの中央はブラックではなくゴールドであったり、収納ポケットや工具袋の形状が異なっていたり、フロントフード裏に貼られていた製造番号を示す赤ラベルが存在しなかったり。

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さらにはフロントガラス周囲のベースパネルが光沢のあるコートではなくサテン仕上げとなっているほか、ガラス上部にはルーフを取り付けるためのボルト穴が (1 つだけではなく) 両側に2つ存在。

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さらにはカーボンファイバーの色合いが市販モデルとは異なっており、これは繊維の色の相違というよりは「使用している樹脂の違いにて、時間の経過とともに色味が変化している」と推測されています。

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そのほかサイドミラーやルームミラーにフェラーリの刻印がなかったり、特徴的な樹脂製のエンジンカバーが一体成型ではなくルーバーが内側に組み込まれていたり・・・。

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さらにはエンジンルーム内のラベルのほとんどが「ない」とされています。

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インテリアだとシートの仕様が若干異なっていたり・・・。

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ダッシュボードのステッチ、そして助手席の製造番号を示すプレートも「ナシ」。

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そのほかドアインナーパネルやダッシュボード、サイドシルに用いられるカーボンファイバーの色合いも市販バージョンとは異なり、このプロトタイプのカーボンファイバーには赤い繊維が織り込まれているようにも見えますね。

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さらに市販車との相違はこの範囲にとどまらず、速度警告ステッカーがないほか、「イグニッションがオンにてノーズが自動的に上がるサスペンションリフトシステムが装備されている」とレポートされています(かなり珍しい仕様である)。

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このフェラーリF50”プリプロダクションモデル”は1997 年にポール・オズボーンなる人物によって購入されて英国に持ち込まれ、しかしこの時点では「未登録」。

その後このF50は、1998年7月にカリフォルニア州ニューポートビーチのディック・マルコーニとジョン・マルコーニ兄弟へと売却されることになり、その後マルコーニ美術館内に17年近く保管され、美術館の管理下で500km強を走行し、その間にフェラーリ・テクノロジーズ・カリフォルニアにて燃料タンクを交換するというメンテナンスを受けています。

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2015年になると、このF50はオーストラリアへと輸出され、現地のトニー・デニーズ・ゴスフォード・クラシックカー・ミュージアムに展示され、ここに展示されている間はシドニーのフェラーリ正規ディーラーによって整備および検査が行われ、その後2018年3月にフェラーリのクラシックカー部門、フェラーリ・クラシケにて認定が付与されることに。

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更にその後、英国最大のフェラーリのディーラーグループにて会長を務める人物の手にわたり、2017年に英国で初めて登録されたそうですが、 登録後にはジョー・マカリとH.R. オーウェン・フェラーリの両方を通じて整備がなされ、現時点でも非常に良好な状態を保っている、と紹介されています(現時点での走行距離は1,900km程度なので、市販モデルのF50を含めたとしても、もっとも走行距離が少ない部類だと考えられる)。

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フェラーリF50「プリプロダクションモデル」を紹介する動画はこちら

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参照:Motor1, DK Engineering

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