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フェラーリ360には1台のみ「バルケッタ」が存在する。当時のCEOの結婚祝いとして製造された特別な一台がエンツォ・フェラーリ博物館に展示中

フェラーリ360には1台のみ「バルケッタ」が存在する。当時のCEOの結婚祝いとして製造された特別な一台がエンツォ・フェラーリ博物館に展示中

Image:Ferrari

| 個人的に贈呈されたワンオフモデルではあるが、現在はフェラーリの所蔵となっているようだ |

現在のフェラーリは「法人」としての性格が強くなりすぎ、二度とこういったモデルが作られることはないだろう

さて、現在ムゼオ・エンツォ・フェラーリ(エンツォ・フェラーリ博物館)では”ワンオフフェラーリ展”を2025年2月まで開催しており、しかし定期的に展示内容を入れ替えています。

そして今回新しく展示物として紹介されているのがこの「フェラーリ360バルケッタ」。

フェラーリ360にはクーペそしてオープンモデルが存在しますが、この「バルケッタ」はカタログモデルとしては存在せず、完全なるワンオフモデルとして製作がなされています。

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フェラーリ360バルケッタはこんなクルマ

このフェラーリ360バルケッタが作られた経緯はちょっとドラマティックなもので、それは「当時(2000年)、フェラーリCEOであったルカ・ディ・モンテゼーモロ氏の結婚祝いとして、フェラーリの親会社であったフィアットの総帥、ジャンニ・アニエッリ氏が特別に作らせて贈呈した」から。

もちろんこのバルケッタ化に際しては多大なるコストがかかったと考えられ、それでもこうやって製作したあたり、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏、そしてジャンニ・アニエッリ氏との関係性の深さを伺えます。

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Ferrari

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ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏はエンツォ・フェラーリの誘いによって1973年にスクーデリア・フェラーリのマネージャーに就任するところからフェラーリとの蜜月が始まり、その後1977年位はフェラーリの役員へ、さらに1991年にはフェラーリの社長の座に就くなどトントン拍子に出世を重ね(2010年にはフェラーリ会長へ、そして2014年には会長を退任している)、在任中にはフェラーリにとって大きな転機となるF355、「市販車初の」アルミボディを持つ360モデナをリリースしたほか、品質や快適性を引き上げることでフェラーリの顧客層を拡大し、同社の成長に大きく貢献した人物です。

フェラーリの歴代CEOの中ではもっとも大きく業績に貢献した一人だとも考えられ、そのぶんジャンニ・アニエッリ氏からの信頼も厚かったのでしょうね。

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Ferrari

この360バルケッタはホディカラーにシルバー、シートにはホワイトのファブリックという珍しい仕様を持っていて、この「シルバー」についてはジャンニ・アニエッリ氏が自身のお気に入りのカラーとして選択した可能性が高く(同氏は自身のイニシャル、AGを銀の元素記号になぞらえ、いくつかシルバーのワンオフモデルを製作させている。自身のために作らせたテスタロッサ・スパイダーも有名である)、さらにボディにはブラックとレッドのラインが入るというこれまた珍しい仕上げがなされており、あらゆる面において特別なのがこのフェラーリ360バルケッタということになりそうですね。

参考までに、この360バルケッタの試作段階ではもっと低く直線的なフロントスクリーンが装着されていたようではあるものの、最終的には”ダブルドーム”形状へと落ち着いたのだと考えられます。

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Ferrari

そしてもうひとつ参考までに、「バルケッタ」というのはイタリア車特有の呼称で、バルケッタ=小舟の意味の通り、シンプルなオープンカーを指しており(同名のフィアットのクルマも存在するが、イタリア車はボディ形状や特徴をそのまま車名に採用する例が少なくない。アルファロメオ・スパイダーやマセラティ・クアトロポルテ/ビトゥルボなど)、英語で言う「スパイダー」「スピードスター」に近いという印象を持っています。

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参照:Ferrari(Facebook)

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