| こんなクルマが存在していたとはまったく知らなかった |
1969年に製造されたワンオフモデル、ランチア・フルヴィア1600HFコンペティツィオーネが中古市場に登場。
ランチアは1963年から1976年までフルヴィアを販売していますが、ラインアップは「セダン」「クーペ」そして2シーターの「スポルト」。
しかしこれらは今回販売されているフルヴィア1600HFコンペティツィオーネとは似ても似つかないスタイルを持っており、「通常版フルヴィア」を知る人にとっては、このフルヴィア1600HFコンペティツィオーネが「フルヴィア」の名を持つことが信じられないほどだと思われます。
そのスタイルはデ・トマソ・パンテーラっぽい
正直ぼくはこのクルマの存在をまったく知らず、一見して思ったのが「デ・トマソ・パンテーラっぽい」。
それもそのはずで、このフルヴィア1600HFコンペティツィオーネはアレハンドロ・デ・トマソが直接手掛けたもので、これをエサに「ランチアをフォードに買収させようと」目論んだ模様。
というのも、フォードは映画「フォードVSフェラーリ」で描かれたようにスポーツカーの必要性を感じており、それをチャンスだと考えたのがアレハンドロ・デ・トマソで、ランチアをフォードが買収するための「橋渡し」をすることでアメリカ進出を目指したのだと思われます。
この段階で当時のフォードCEOであったリー・アイアコッカとアレハンドロ・デ・トマソとのパイプが出来上がったのだと思われますが、実際にランチアを買収したのはフィアットという結果に。
これによって計画が狂ったアレハンドロ・デ・トマソがリー・アイアコッカと組んで立ち上げたプロジェクトが「パンテーラ」だとされているので、このフルヴィア1600HFコンペティツィオーネがパンテーラに似ているのも当然なのかもしれません。
このフルヴィア1600HFコンペティツィオーネは、通常版フルヴィアのシャシーをベースとしているものの、そのボディワークは「全く新しく」、リトラクタブルヘッドライトにはじまるウェッジシェイプを持っており、リアウイングはリトラクタブル、しかも角度調整式(当時としては画期的だったと思われる)。
ウインドウの一部は樹脂製へと置き換えられており(サイドウインドウはスライド式)、室内にはロールバーも。
搭載されるエンジンは1.6リッターV4ですが、その搭載位置は30ミリ下げられ、これによって重心とロールセンターを適正化してハンドリング性能を向上させています。
サスペンションはソリッドアクスルからダブルウィッシュボーンへと変更され、1970年のル・マン24時間レース参戦を視野に入れて「大型ガソリンタンク」すら装備されているようですね。
この車両はつい最近大幅なレストアを受けたとのことで、提示されている販売価格は144,000ドル(約1500万円)。
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参照:RM Sotheby's