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このクルマの存在は知らなかったな。デ・トマソ・グアラが競売に登場、「最後の」アレハンドロ・デ・トマソが手掛けたスポーツカー【動画】

2023/07/10

このクルマの存在は知らなかったな。デ・トマソ・グアラが競売に登場、「最後の」アレハンドロ・デ・トマソが手掛けたスポーツカー【動画】

| デ・トマソが倒産してしまったことは今でも残念でならない |

現代にデ・トマソが蘇るものの、かつてのデ・トマソとはやや雰囲気が異なるようだ

さて、こんなクルマが存在するとは全く知らなかった「デ・トマソ・グアラ」がオークションに登場。

「デ・トマソ」というとパンテーラをすぐに思い浮かべますが、このグアラのルーツは1990年代はじめに開催されようとしたワンメイク・シリーズ、「グラントロフェオ・モノマルカ・バルケッタ・マセラティ」のために製作された一連のマセラティ・バルケッタ・レーシングカーにあるのだそう。

当時、マセラティのオーナーでもあったアレハンドロ・デ・トマソは、レーシングカー、そしてロードカーのプロトタイプを製作しますが、その後フィアットがマセラティを買収することにより、この「マセラティのワンメイクレース」プロジェクトが終了することに。

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そこでデ・トマソはこのプロトタイプを活かす方法を考え、マセラティのV6エンジンからBMWのV8エンジンに変更するためにシャシーを延長し、結果として誕生したのがこの「グアラ」。

アレハンドロ・デ・トマソが直接関与したクルマとして1994年から2004年にかけて約52台が生産され、その大半はクーペボディ、数台はコンバーチブルのスパイダーボディ、そしてわずか10台がこのバルケッタ仕様として工場から送り出されています。※2004年のデ・トマソの(倒産による)精算まで製造されていたらしい

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デ・トマソ・グアラは現代のスーパーカーだと言っても十分に通用しそうだ

このグアラの画像を見るに、非常に美しく、かつ未来的な雰囲気を持っていて(ジウジアーロ・アズテックやランボルギーニ・アトンのような雰囲気がある)、このクルマの名が知られていないのが不思議なくらい。

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グアラのデザインそのものは、もともとのマセラティ・バルケッタ・ストラダーレのプロトタイプ(シンセシスデザインのカルロ・ガイノが担当、1991年製作)をベースにしているそうですが、「グアラ」として手直しされて1993年のジュネーブ・モーターショーにて発表され、上述のとおりクーペ、スパイダー、バルケッタのバリエーションが用意されています。

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今回売りに出されているグアラは10台のみが生産されたバルケッタのうちの「5台目」だとされ、パンテーラ・パーツUSAのオーナーであるスティーブ・ウィルキンソンがエンジンなしの状態にて新車で購入し、その後4.6リッター・フォードV8(300馬力くらいを発生するようだ)を搭載することとなったもよう。

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2023年になると現在のオーナー(エキゾチックカーディーラー)の手にわたり、そこで今回の売却となっていますが、現時点で終了まで4日程度を残して10万ドルにまで上昇しています(現在の為替レートで約1450万円)。

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ボディワークはコンポジット(複合素材)、そしてインテリアはレッドというイタリアンな仕様を持っており、ボディ下部に入ったホワイトのストライプがなんともオシャレ。

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そのほかの装備としてはポップアップヘッドライト、サイドマーカーランプ、デュアルドアマウントミラー、ロック式フューエルドア、ルーバー式テールライトといったところがアナウンスされています。

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リアフェンダーには車体デザインにマッチしたデザインを持つイタリアンフラッグ。

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こういった「本来、クルマに備わるべきパーツ」を隠すのは一時のイタリア車によく見られる傾向で、ドアノブや給油口、ランプ類を「隠す」ようにデザインされていることが多いようですね。

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ちなみにこのウィンドスクリーンは2023年に(この車両を購入した)ディーラーが取り付けたもの。

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機能的な部分としてはアルミニウム製バックボーンシャシー、6速マニュアルトランスミッション、リミテッドスリップディファレンシャル、ダブルウィッシュボーンサスペンション、ブレンボ製ディスクブレーキ、マルケジーニホイール(18インチ)、ロールバーといった特徴を持っています。

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それにしても美しいことこの上ないクルマであり、こういったクルマを作る会社が消え去ったというのは悲しい限りでもありますね。

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デ・トマソ・グアラのインテリアはこうなっている

そしてこのデ・トマソ・グアラのインテリアは(エクステリアに負けず劣らず)個性的。

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ダッシュボードはすんごい形状を持っていますが、これは「フロントスクリーンなし」の状態において、ここにエアを流すことを目的として(この造形が)考えられたのでしょうね。

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ルームミラーは「タルガ・フローリオ」スタイルを持っており、しかし他部分にマッチしないカーボンファイバー製なので、これも「後付け」されたパーツなのだと思われます。

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ちなみにドアミラーはこう。

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メーターはMoTeC製のレース用デジタルメーター、ステアリングホイールはMOMO製。

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ちなみにメーター周りもカーボンファイバー製。

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シフトゲートはスリットが刻まれるアルミ製で、CNC加工によって作られており、「De Tomaso」「Guara」の文字が彫られています(これはかなり気分がアガる仕様である)。

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ダッシュボード脇にはキルスイッチ。

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意外やシートは「フルバケット」ではなく、リクライニング可能なスポーツシート(実際にはほぼリクライニング不可能ですが)。

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このグアラ・バルケッタは現在、ニューヨーク州ベッドフォード・ヒルズにて保管されており、出品物には車両のほか、ファクトリーブック、ファクトリードキュメント、ビルドレコード、ニューハンプシャー州登録証が付属する、とのこと。

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このデ・トマソ・グアラを紹介する動画はこちら

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参照:Bring A Trailer

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