| 1972年に「カナード」を装着していたのは驚きそのもの |
サウジアラビアの王族が所有していた”ユニークな”ランボルギーニ・ミウラSVが、ロンドンのエキゾチックカーディーラー、Joe Macari Performance Carsにて販売中。
このミウラSVは1972年、当の王族のオーダーによって生産されていますが、「特別仕様」にて製造され、フロントバンパーにはカナードが装着されています(この仕様のミウラは2台存在するらしい。1972年の時点でこのカナードはかなり斬新であったと思う)。
さらには96台のみが生産されたという「スプリットサンプ(エンジンとギアボックスのオイルを共有していない)システム」を持つミウラだそう。
どうやって発見されたのかは明かされていない
その後ずっと王族の倉庫内にて保管(というかダンボールと一緒に放置)されていたそうですが、2005年にアメリカのインポーターがこれを発見し、その後アメリカへと輸入したと言われます。
なお、中東の王族は単純にコレクションのためにこういったスーパーカーを購入する事が多く、未走行のまま放置しておく例も多数。
おそらくは「まだ発見されていない」レアなクルマが多数眠っているのだと思われますが、王族自身も「自分たちがどんなクルマを持っているのか把握していない」「買ったはいいけどその後存在を忘れてしまった」という状況がデフォルトなのかもしれませんね。
そしてこのミウラは米国へと運ばれた後に2年かけてレストアが行われたそうですが、再現されたボディカラーは、珍しいメタリックグレーもしくはグリーンのようなカラー「グリージョ・ファンタティスコ・メタリッツァート」。
その後このミウラは2011年に欧州へと輸出され、そこからずっと(今回このミウラを販売している)マカリ・クラシックスの所有権下にある、とのこと。
なお、走行距離は5,759kmと非常に少なく、マカリ・クラシックスいわく「地球上でもっとも走行距離の少ないミウラ」だそう。
バンパーインサート、グリル、「Lamborghini」「Miura」「SV」エンブレムがブラックで統一され、非常に渋い仕様を持っていますね。
そしてインテリアはさらに「ユニーク」で、おそらくはボディカラーとマッチさせたと思われるグレーレザーに「オレンジ」が組み合わされます。
カーペットはちょっとトーンの明るいグレー。
ミウラにおいて、こういった「ツートンカラー」は非常に珍しい、と思います。
なお、このインテリアは「もともとこうだったカラーをレストアで再現した」のか、それともレストアの際に現代っぽい要素を盛り込んだのかは謎。
トランスミッションはもちろん5速マニュアル。
ランボルギーニというと「V12」で、しかしミウラのみ「エンジン横置き」。
ランボルギーニがよく用いる「LPなんとか」というのは「エンジン後方縦置き(longitudinal posteriore(ロンギチューディナル・ポステリオーレ)」をイタリア語にて表わしたものですが、ミウラはエンジン「縦置き」ではないので、Lのない「P400」という表記がなされています。
今回の例にもれず、中東の王族は様々な自動車メーカー、そしてカロッツェリアに「特注」スーパーカーを作らせているものの、いずれも日本や欧米では考えられないような仕様/カラーリングを持っており、これもやはり「土地柄」なのかもしれませんね。
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