| マニュアル・トランスミッションがないという理由でウアイラを買わなかった顧客もいるようだ |
エンジンはメルセデスAMG製V12ツインターボを継続
さて、現在パガーニは「ウアイラ」1車種のみを販売していますが、ウアイラもほぼ「生産終了」状態だと思われ(通常モデルはすでに予定生産台数に達したと報じられている)、となると気になるのがウアイラの後継モデル。
これまでにもチョコチョコと噂は出てきているものの、今回はパガーニ創業者、オラチオ・パガーニ氏がカーメディアに対してメルセデスAMG製の6.0リッター・ツインターボV12を搭載し、新しいシーケンシャル・ギアボックスまたはマニュアル・トランスミッションが選択可能だと語っています。
新型パガーニのコードネームはC10
なお、パガーニが創業された後に発売されたのは「ゾンダ(1999年)」で、その後に発売されたのが後継モデルの「ウアイラ(2011年)」。
両者ともメルセデスAMG製のV12エンジンを車体ミッドに搭載するのは同じですが、ゾンダは自然吸気、ウアイラではツインターボという差があり、トランスミッションについてもゾンダでは6速マニュアルが用意されたものの、ウアイラでは7速シーケンシャルしか選べなかったという差異も。
そしてこの「トランスミッションの差」は意外に大きかったようで、今回オラチオ・パガーニ氏は「マニュアルを用意しなかったためにウアイラを買わなかったお客様もいます。私の顧客は、運転中に感情を感じたいと思っているのです」とコメントしています。※そのためか、ゾンダが公式に生産終了した後も、顧客の要望でゾンダがいくつか生産された
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これが「ウアイラ後継モデルにはマニュアル・トランスミッションを用意する」理由なのだと思われますが、このほか、この新型車はコードネームC10と呼ばれていること、正式名称も決定済みではあるもののまだ名称を公表する予定はないということについても言及。
パガーニ「C10」は900馬力以内
出力面だと、このC10についてはウアイラに比較して30〜40馬力程度の向上にとどまるといい、これはやはり「環境規制」のためなのかもしれません。
おおよそ900馬力以内にとどまり、続々登場するエレクトリックハイパーカーには及ばない数字ではあるものの、その一方でオラチオ・パガーニ氏は「車体重量を削る」ことに開発の重点を置いているといい、これについては「ゴードン・マレー・オートモーティブのT.50を見てください。650馬力しかないのに完売しています(完売したのか・・・)。非常に軽量で、マニュアルギアボックスを持ち、V12エンジンで非常に高い回転数を発揮します。ドライバーを興奮させるのに、2,000馬力は必要ないのです」ともコメント。
くわえて、オラチオ・パガーニ氏は、「普通の人でもハイパワーな電気自動車を運転すると、都市の真ん中で信号から信号へと加速し、怪物のようなスピードに達することができます。ただ、トルクベクタリングについては、車重が1,500kgを超えると、グリップ限界管理が非常にシビアになります。どんなに電子機器を搭載しても、物理法則には逆らえないのです」と述べており、つまりは「加速を楽しむ」クルマではなく、「そのクルマの性能を引き出せる人が、運転を楽しめる」クルマを作ろうとしているのだと思われます。
今しかできないかガソリン車、そしてマニュアル・トランスミッションに固執するのも「アリ」だと思う
そしておそらく、このウアイラ後継モデルの「次」はどうやっても(サーキット走行モデル以外)ピュアエレクトリックモデルしか発売できない世の中になっていると思いますが、だからこそ「最後の最後まで」エレクトリックハイパーカーでは実現できない「(ガソリンエンジンはもちろん)マニュアル・トランスミッション」「軽量」というところにこだわるのかもしれません。
これがビジネス的に正しいのかどうかはその会社の性質によるのだと思われるものの、パガーニのように、実用車ではなくコレクターズカーを販売するメーカーにとっては「最良の判断」なのでしょうね。
もちろんパガーニも電動パワートレインに興味を持っているようですが、まだビジネスケースとして成立するかどうかはわからないといい、たしかに今パガーニがピュアエレクトリックカーを発売しても、顧客にとってもそれを選ぶ理由は「無い」のかもしれません(この分野では、いくつか先行するメーカーがあり、パガーニが優位性を発揮できない)。
いずれはパガーニにもエレクトリック化せねばならない時代がやってくる
なお、今のところパガーニは内燃機関に満足しており、C10に搭載されるであろうツインターボV12は、2026年までは電動化しなくても規制要件を満たすと述べていますが、「いつかハイブリッドに切り替えなければならない日が来ることになり、その準備はできている」とも。
パガーニによれば、このC10は280台から300台が生産されることになり、その発表は2022年になるとのことなので、この新型車の正式名称や外観を知るにはもう少し待たねばなりません。
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参照:Quattroruote