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| パガーニ・ウトピアの重量はケーニグセグCC850より100kgも軽く仕上がっている |
V12ツインターボエンジンを積んでいることを考慮すると驚くべき軽さである
さて、パガーニはつい先日「ウトピア・ロードスター」を発表したところですが、このウトピア・ロードスターの重量はクーペ版のウトピアとまったく同じ1,280kgです。
これは非常に珍しいことで、実際のところフェラーリ、そしてマクラーレン、ランボルギーニにおいてもオープン版のほうが重量が重くなっており、これは「切り取った屋根の分を補強する」ための当然の結果でもありますね。
パガーニはどうやって「クーペと同じ重量のオープンモデル」を実現したのか?
さらにオープン化に際しては「格納式ルーフを収めるための折りたたみ機構」、電動の場合はそれを動かすためのエレクトリックモーターの追加が必要となり、どうしても重量が重くなってしまいます。
参考までに、カーボンファイバー製モノコックシャシーを採用するマクラーレンは「シャシー剛性が高いのでオープン化しても補強は必要がない」とコメントしているものの、この「折りたたみ機構」の追加のために数十キロが追加されることに。
そこで今回、パガーニCEO、オラチオ・パガーニ氏は(息子のクリストファーの通訳を通じ)「目標は、ルーフのないクーペと同じくらい頑丈な車を作ることでした。そして、このクルマはルーフがないにもかかわらず、クーペとまったく同じ剛性を持っています」とコメント。
パガーニはほぼ40年間、カーボンファイバー含む複合材料に取り組んでおり、多くの人がオラチオ・パガーニ氏をこの材料のパイオニアと見なしています。
カーボンファイバーへの執着は、オラチオ・パガーニ氏がまだランボルギーニに在籍していた頃に始まり、実際にカウンタック25thアニバーサリーには(オラチオ・パガーニ氏の進言によって)複合素材が取り入れられ、そして同氏はさらなるカーボンファイバーの可能性を探求するためにランボルギーニを辞して自らの会社を興したわけですね。
この新しいウトピア ロードスターは、その高い専門技術性の証でもあり、非常に高度なカーボンモノコックシャーシが、ウトピアの強靭な車体のみならず豪華な曲線を支えているわけですが、独自の開発によるカーボチタンとカーボトライアックスのブレンドが剛性を保ち、ロールバーはシートのすぐ後ろのルーフ構造にシームレスに統合されています。
フロントとリアのチューブラーサブフレームにはクロムモリブデン鋼が使用され、その結果、ウトピアは、ウアイラを含むこれまでのどの公道走行可能なパガーニよりも10.5% 剛性が高くなることに。
ACT THREE, SCENE TWO: PAGANI UTOPIA ROADSTER
— Pagani Automobili (@PaganiAuto) July 30, 2024
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そしてこの構造に起因し、ウトピアの場合はルーフを切り落とすことになんら問題はなく、オープン化に際しては「剛性を高めるために溶接スポットが少し追加されたのみ」。
ちなみにウトピア・ロードスターでは軽量なカーボンファイバールーフまたは布製トップを選ぶことができ、どちらも手動で取り外す必要があり(つまり開閉機構は存在しない)、「どちらも車内に収まらない」。※ウアイラ・ロードスターではかろうじてソフトトップが車内に収まったが、ウトピア・ロードスターではそれも諦めたようだ
「ハードトップは非常に軽量で、シャーシに構造上の利点をもたらしません。なぜなら、前述したように、ルーフなしの剛性こそが私たちが本当に気にしていたものだからです。つまり、ルーフは非常に軽量で、巧みに設計されたデザインですが、まあ、トランクにスペースがないため、出発当日は家に置いていかなければなりません。」
パガーニはひとつひとつのパーツを「グラム単位で」軽量化している
なお、パガーニはクーペ、ロードスターともにウトピアの軽量性を実現するために、すべてのパーツを極めて軽量に設計しているといい、「実際には、カーボン ファイバーだけでなく、車内に見られるすべての機械加工部品 (数百個))が、可能な限り軽量になるように設計されています。なぜなら、”1280kg”は、クルマのすべてのコンポーネントのあちこちにあるグラム単位の軽量化の結果だからです」とコメント。※ウトピアはケーニグセグCC850よりも100kg以上軽い
たとえばステアリングホイールは1 つの巨大なアルミニウムの塊から削り出され、完成までに5軸フライス盤によって加工を施し28時間もの時間がかかります。
した。最終製品は、すべての部品を含めてわずか2.4kgしかなく、ドアハンドル、ルーフラッチ、マニュアルギアボックスのシフターや露出したリンケージまでが軽量な金属から削り出されることに。
「1998 年に会社が設立されたとき、ゾンダは完全に自社で設計およびエンジニアリングされていました。エンジンとギアボックスは外部のサプライヤーから提供されていましたが、設計とエンジニアリングのほとんどは、非常に少人数のグループで実行できるものでした。
私たちにとって、会社の進化とは知識とノウハウへの投資です。ゾンダの時代に年間20~25台を製造していた小さなメーカーから、徐々に10~15台づつ増やし、今では年産50~55台にまで成長した会社に進化したのです。私たちにとって、会社の進化とは知識とノウハウへの投資です。
もう 1 つの重要な側面は安全性です。我々のハイパーカーは、当然のことながら、これだけのパワーを備えているため、非常に危険でもあります。そのため、たとえばウトピア・ロードスターは、クーペと同様に、認証に関する厳しい規制を遵守しようと努め、安全性などに関し、世界レベルのすべてのテストをクリアしました。安全性の面では、信じてください、これは驚くべき努力であり、このクルマはそれを実現しています。」
ちなみにですが、ウトピア・ロードスター / ウトピア・クーペ最大級のトピックは「マニュアル・トランスミッションの採用」ですが、これについても相当な苦労があったもよう(既存のクラッチではパワーを吸収できないどころか、扱いにくく乗り心地が悪くなってしまうようだ)。
「(オープン化とともに)多くの顧客が尋ねてきたもう1つの側面は、マニュアル・ギアボックスです。マニュアル・ギアボックスは100年以上も使われてきたので簡単なもののように思えますが、852馬力のクルマでの採用は非常に困難です。よって私たちは新しいクラッチを開発する必要があったのです。それを設計、作成、構築しました。私たちはすでにさまざまなクルマで約10万キロを走行していますが、もちろん同じクラッチのまま(交換していないまま)です。ですから、これは驚くべき取り組みであり、クルマが直感的で運転しやすく、怖くなく、不快感を与えないことも注目に値します。」
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参照:Motor1