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パガーニ・ウトピアのMT比率がさらに上昇し70%へ。「MT導入は簡単なことではありませんでした。このパワーを受け止められるパーツがなく、結局はすべて自社で開発しました」

パガーニ・ウトピアのMT比率がさらに上昇し70%へ。「MT導入は簡単なことではありませんでした。このパワーを受け止められるパーツがなく、結局はすべて自社で開発しました」

Image:Pagani

| コレクター向けのトップエンドマーケットでは「MT」人気が再燃している |

今後、「MT」というだけで高い注目を浴びることとなりそうだ

さて、近年のスーパーカーそしてスポーツカーで復活しつつあるトレンドが「マニュアル・トランスミッション」。

2000年代はじめ頃には「効率に勝る」ロボタイズドクラッチやデュアルクラッチが一気に普及し、これにあわせてマニュアル・トランスミッションを廃止した自動車メーカーも少なくはなく、さらにその後環境に関する規制が厳しくなったことからMTではこれに対応できず、やはりMTを廃止する自動車メーカーが続出したというのが直近の状況です。

ただしその一方、この数年で「ガソリン車禁止」の動きが広まることとなり、ここで顕著になったのが「もうガソリン車に乗れない」という風潮で、これはイコール「MTの絶滅」を意味します。

そこでマニュアル・トランスミッションを持つシンプルなスポーツカー(ケータハムなど)に注目が集まる一方、いくつかのスポーツカーメーカー(ポルシェやトヨタなど)はマニュアル・トランスミッションを投入したり、またほかの自動車メーカー(アストンマーティンやBMWなど)は特別限定モデルにMTを設定したりというのがいまの自動車市場で、つまりMTは現在「非常に特別な存在」として消費者に受け止められ、そして自動車メーカーもこれを神格化しようとしているわけですね。

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パガーニ・ウトピアのMT比率はさらに上昇

そして今回報じられているのが「パガーニ・ウトピアの顧客がマニュアル・トランスミッションを選択する比率が70%に上昇した」という事実。

ウトピアには(先代の)ウアイラになかった特徴の一つとしてMTが用意されており、パガーニのコマーシャル ディレクター、ハンネス・ザノン氏はモントレー・カーウィークにて行われたウトピア・ロードスター発表の場で「現時点では、顧客の70%以上がマニュアルギアボックスを選んでいます」とコメントしています。

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つまりパガーニは「効率性を重視して」ウアイラではATを採用したものの、ウトピアでは直近の市場の変化を敏感に感じ取ってMTを導入し、そしてそれが成功したのだとも考えられますが、実際のところこのマニュアル・トランスミッションの導入は「容易ではなかった」といい、その理由は「V12ツインターボエンジンのトルクに耐えうる強靭なトランスミッションを開発する必要があったから」。

「マニュアル・ギアボックスの開発は困難でした。市場では手に入らない特定の部品を開発する必要があったからです。それだけのパワーに耐え、しかも適切なフィーリングを実現できるギアボックスとクラッチを開発する必要がありました。これは操作しやすく、運転しやすいものでなければなりませんが、そのため、独自のクラッチを開発する必要があり、パガーニ社内でクラッチの開発を開始しなければならなかったのです。そして、私たちがそのようなことをしたのはこれが初めてです。」

パガーニ コマーシャル ディレクター ハンネス・ザノン

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Pagani

ウトピアのトランスミッションはドッグレッグ1速を採用しており、1速は下向きで左(リバースのすぐ下)に位置し、クラッチは215mm のトリプル ディスクユニット構成を持つのだそう。

「クラッチは頑強に設計されているため、それほどストレスがかかっていません。ほとんどのお客様は、クラッチを交換するまでの間隔が非常に長くなると想定しています。通常、クラッチは20,000~25,000kmで交換するというサイクルで、それでもこれはかなりアグレッシブな運転をした場合です。」

現在、ケーニグセグ(CC850)やNULUハイパーカーにおいてもマニュアル・トランスミッションが採用されるなどトップマーケットではMT人気となっていますが、一方でその下のスポーツカーではMTをラインアップすることが難しく、それは上述のエミッションや騒音のコントロールという観点、そして「絶対(販売)数が少ないのでコストがかかる」という観点から。※加えてハイブリッド車とMTとの組み合わせは極めて難しく、この組み合わせを実現させるためのコスト注入はビジネス的に許容できないものと思われる

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スーパーカーやハイパーカーであれば、いかにコストが高くてもその価格を車両に転嫁することが可能ですが、一般的な市場においてはそうもゆかず、よって(現在MT搭載モデルを4車種提供している)BMWは「10年以内にMTを全廃する」とも述べていて、自動車市場全体で見るとマニュアル・トランスミッションの減少傾向に歯止めをかけることは難しいのかもしれませんね。

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