| このパワーでも安定した挙動を示すのには驚かされる |
新型シビック・タイプRではトルクステア、アクセルオフ時の姿勢の乱れはまったく感じない
さて、ホンダ・シビック・タイプR(FL5)は発売以来高い人気を誇っており、多くのアフターパーツメーカーも注目している車種ではありますが、今回ホンダのチューナーとして知られるホンデータ(Hondata、カリフォルニア州トーランス拠点)が新車のシビック・タイプRをシャシーダイナモへと乗せてパワーチェックを行うことに。
このシャシダイでの計測結果によると331.8馬力/487.4Nmを発生しており、これはホンダUSAが公式に発表した319馬力/420Nmよりも「かなり」高い数値となっており、驚くべき結果だと言って良さそうです。
メーカー公称値は「エンジン単体」でのパワーを示す
なお、メーカー公称値による出力は基本的に多くの場合「エンジン単体」で発生するパワー/トルクを指していて、これはどういうことかというと、たとえば日本のJIS規格だと”エンジンに補機類を装着した状態”で計測されたものであり、エンジンにラジエターと冷却水の循環に関する装置、排気管(エキゾーストシステム)、エアクリーナーなどを装着しただけの状態にとどまっていて、そこから先のトランスミッションやドライブシャフト、デフ、ハブ、ホイール等は装着されないままの計測です。
よってこの状態だとトランスミッション以下のドライブトレーンにて発生する「摩擦等によるパワーロス」がなく、しかし実際のクルマではエンジンからの出力がタイヤに届き、(シャシーダイナモの)ローラーを回すまでにはけっこうなパワーが失われてしまいます。
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その「失われるパワー」については、一般論だとFF/MR/FRで10~15%、4WDでは20~25%ほどだとされ、シビック・タイプRはFFなので、メーカー公称値が319馬力だとすれば、そこから10~15%ほど低い287馬力~271馬力くらい出ていれば「まずまず」ということに。
しかしながら今回は331.8馬力という驚愕の数字を叩き出していて、逆算すると(エンジン単体だと)355馬力~375馬力を発生していると考えることも可能です。
シビック・タイプRのパワーチェックはこうやって行う
そこで今回ホンデータが行ったパワーチェックの様子ですが、動画を見るといきなりタイヤとホイールを外し・・・。
何をするのかと思ったらハブをシャシーダイナモへと直結します(このタイプは初めて見た)。
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そしてこの状態にて・・・。
フルスロットルをくれてやるわけですね。
ちなみにですが、ホンデータが以前に計測した先代シビック・タイプRの出力は32.7馬力だったそうで、こちらもカタログ値を軽くクリア。
かつては「トヨタ馬力」と言われとおり、公称値とはかけはなれた(低い)パワーしか出ないクルマも多かったものの、近年のターボエンジン搭載車の多くはカタログ値を超える出力を記録するものも少なくはなく、とくにBMWやマクラーレンはカタログ値よりも「はるかに」高い数値を記録することがほとんどだということもわかっています。
それにしてもFFで(エンジン単体で)350馬力、出力軸で330馬力以上の出力を発生させるというのは一昔前の常識では信じられないことであり(これだけパワーが出ていればまともに走らなかった)、それだけ車体制御技術が進歩したということを意味するのでしょうね(新型シビック・タイプRはこの出力でもまったく挙動に不安を感じずに走ることができる)。
新型シビック・タイプRをシャシダイに載せてパワーチェックを行う動画はこちら
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参照:Hondata