| トヨタは単に、旧来のクラウンの顧客と共倒れになることを恐れ、それらを切り捨てて新しい顧客の獲得に乗り出したのだと思う |
前に進むためには、何かを置いてゆかなければならない
さて、先日はフルモデルチェンジ版の新型トヨタ・クラウンのパテント申請画像が公開となりましたが、今回はそれをもとにロシアのカーメディアが予想レンダリングを作成。
これは先のパテント申請画像をフルカラー化したものですが、それら申請画像にもあったとおりの2トーンカラーが再現されています。
なお、新型クラウンについては7月15日に発表される予定だというので、近日中には実際の姿を見ることができそうですね。
新型クラウンにはまだ謎が多い
新型クラウンは「SUV」とまではゆかずとも車高を上げられたクロスオーバーとなり、いわばシトロンC5 X、そして先日公開された新型プジョー408のように「ハイライダースタイルのクーペ風セダン」。
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つまりはこれから流行るであろう、そしてトレンドに敏感な自動車メーカーが注目しているスタイルをいち早く取り入れたということになりますが、これまでは「すでに市場が確立され、一定の規模がある」セグメントに対して満を持して進出する(そして規模の経済をもって他社製品を駆逐する)というスタイルを取っていたトヨタからするとかなり意外。
要は「他者に先鞭をつける形で」このジャンルに参戦するということになりますが、よりによってクラウンでこの挑戦を行うということになります(クラウンはそのままにしておいて、マークXをハイライダーとして復活させ世界戦略車として売り出したほうが良かったんじゃないかとも思う)。
名称はクラウン・クロス?
なお、新型クラウンの名称については「クラウン・クロス」を名乗る可能性があるといい、たしかに最近「ヤリスクロス」「カローラクロス」といった感じで「クロス」を多用しているトヨタとしては十分に考えられる推測ではありますが、特許申請画像を見るに「クロス」というほどSUV的ではなく、実際にどうなるのかは不明です(市場によって名称を変えるのかも)。
加えて、アメリカ市場向けにも新型クラウンが展開されると言われ、しかしこれが今回発表される新型クラウンなのか、また別のクラウンなのかはわかりませんが、トヨタがもし「クラウン」を一つのサブブランドとして世界中にて展開したいのであれば、仕様地向けにそれぞれ異なるイメージをもたせるのではなく、グローバルにて統一した印象を与えるものと思われ、であれば世界中で同じモデルを販売するのかもしれません(中国向けにはすでに”クラウンクルーガー”としてSUVが販売されているが)。
トヨタはなぜクラウンのイメージ刷新を図るのか
トヨタがなぜクラウンのイメージ刷新を図るのかは今のところわかっておらず(発表時にはなんらかのコメントがあるものと思われる)、クラウンは(国内登録に限っては)セダンとしてもっとも多くの販売を誇るモデルでり、そこであえてリスクを冒す意図については興味のあるところ。
おそらくですが、ぼくが思うに「トヨタはクラウンをワールドワイドで売りたい」ということが前提としてあるのだと思われ、というのも、ガラパゴス化した日本市場で「セダンのトップ」を獲ったとしても台数的には(トヨタ全体の生産規模を考慮すると)全然十分ではないため。
そしてワールドワイドに販売しようと考えた場合、セダンのまま発売したとしても、すでに成功を収めているカムリやレクサスのサルーンと競合するために販売台数を上乗せできず、そこで「セダンではなくクロスオーバー」という新しい提案を行ったのだと思います。
なお、このクロスオーバー化によって従来のクラウンのオーナーを失ってしまう可能性もありますが、たとえ「年間1万台くらいの」国内におけるクラウンの販売規模を失ったとしても、(このボディ形状はトヨタには今のところ存在しないので)新たに世界で獲得できる数十万台のほうが優先されるべきであり、かつ国内市場においても販売がゼロになるわけではなく、これまでの老朽化した客層が勝手に離れてゆき、かわりに”変化に寛容的な”新しいユーザーを獲得することも想定できます。
よってトヨタがクラウンの将来を考えた時、どこかでユーザーを入れ替える必要があり、そしてそれが「今」なのだろう、と考えているわけですね(ニュートンが言ったように、前に進むためには何かを切り捨てねばならない。過去の遺物をひきずったままでは共倒れになり、変化を嫌った旧来の顧客がその責任を取ってくれるわけではない)。
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参照:Koresa