
| ランドクルーザーは「高価ではあるが、売るときも高い」
トヨタ・ランドクルーザーはなぜ価値が落ちにくいのか?
ランドクルーザーは、世界中のオフロード愛好家や実用重視のユーザーから高く評価されており、ケリー・ブルーブックの統計によればランドクルーザーの3年後の平均下落率は約26%。
これはジープ・ラングラー(30%)やレクサスGS(29%)よりも優れる数値であり、つまりランドクルーザーは「最も値落ちしにくい部類でもある」というわけですね。
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登場10年のトヨタ・ランクルが最新のSUVより売れているナゾ。なぜランクルは世界で愛されるのか?
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グローバルで評価される「絶対的な信頼性」
そこでなぜランドクルーザーの価値が下がりにくいのかを考えてみると、おおよそは以下に集約されるかと思われます。
- 軍用車をルーツに持つタフネス車
- 耐久性と信頼性に優れた設計
- 過酷な環境でも走破できる圧倒的なオフロード性能
- 高品質なトヨタ基準による長寿命
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祝!ランクルが累計販売1000万台を達成。トヨタ「お客様が1,000万通りの道を走り、クルマを鍛えた轍の上にランクルが存在している」
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軍用車両から始まった歴史ある系譜
トヨタ ランドクルーザーは、70年以上の歴史を持つという世界中で愛される本格SUVで、その歴史は、過酷な環境下での使用を前提とした「信頼性・耐久性・悪路走破性」を追求し続けるトヨタの哲学が凝縮されています。
ランドクルーザーの起源と初期
- 1951年:トヨタ ジープBJ型誕生 ランドクルーザーの原点は、1951年に警察予備隊(現在の陸上自衛隊)からの要請で開発された「トヨタ ジープBJ型」。
小型トラックの車体に大型トラック用の3.4リッター直列6気筒エンジンを搭載したこの試作車は高い悪路走破性を誇ることになり、警察予備隊での採用にこそ至らなかったものの、その性能が評価され、官公庁や一般向けに量産が開始されています - 1954年:「ランドクルーザー」へ改名 「ジープ」の商標を保有していたウィリス・オーバーランド社からの指摘を受け、1954年6月に「ランドクルーザー」に正式名称が変更。
この名前は、「陸(Land)」の「巡洋艦(Cruiser)」という意味が込められており、英国ローバー社の「ランドローバー」に対抗する意気込みも含まれていたと言われています(現在、トヨタの公式サイトからこの記述はなくなっている)。
シリーズの多様化と進化
ランドクルーザーは、時代とともに多様なニーズに応えるため、大きく3つのシリーズに派生し、それぞれ独自の進化を遂げています。
- ヘビーデューティー系(70系など)
- 20系(1955年~1960年): BJ型からフルモデルチェンジし海外市場にも進出。
- 40系(1960年~1984年): 24年間にわたり販売された超ロングセラーモデルで、ランドクルーザーの国際的な評価を確立した世代であり、ガソリンエンジンに加えディーゼルエンジンも採用されています。
- 70系(1984年~現在): 業務用途や過酷な環境での使用を主眼に置いたヘビーデューティーモデル。日本では2004年に一度販売を終了したものの、その根強い人気から2014年に期間限定にて復活し、2023年には継続販売モデルとして再々販されています。
- ライトデューティー/プラド系(70系ワゴン、90系プラド、120系プラド、150系プラド、250系など)
- 70系ワゴン(1985年): ヘビーデューティーの70系から派生し、より乗用車的な快適性を追求したモデル。
- プラド系: 時代のニーズに合わせ、より乗用車に近い快適性や内外装デザインを取り入れることで街乗りにも適したSUVとして進化してきたシリーズ。特に近年ではその役割が「生活と実用を支える」という原点に回帰し、最新の250系はランドクルーザーの中核モデルと位置付けられています。
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トヨタ・ランドクルーザーの誕生から現在までの「歴史」はこうなっている!TOYOTA BJとしての誕生から全世界170カ国、累計1,040万台を販売するまで
| トヨタ・ランドクルーザーはもともとGHQの要望によって誕生したTOYOTA BJがベースとなっていた | そして今、ランドクルーザーの歴史は新たなる境地を切り開く さて、トヨタは新型ランドクルーザ ...
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- ステーションワゴン系(50系、60系、80系、100系、200系、300系)
- 50系(1967年~1980年): レジャー需要の高まりに応え、ステーションワゴンとして開発
- 60系(1980年~1989年): 高級志向のSUVの先駆けとなり、快適性と静粛性を兼ね備える
- 80系(1989年~1998年): パワフルなディーゼルターボエンジンを搭載し、人気を博すことに
- 100系(1998年~2007年): 走破性と快適性をさらに向上させたモデル
- 200系(2007年~2021年): プラットフォームを一新し、耐久性、衝突安全性、剛性が向上
- 300系(2021年~現在): 14年ぶりのフルモデルチェンジによってプラットフォームからパワートレインまですべてを刷新。ランドクルーザーの哲学である信頼性、耐久性、悪路走破性を継承しつつ、疲労を軽減する快適な走行性能も追求され、フラッグシップモデルとして位置づけられる
開発思想
ランドクルーザーの開発では「どこへでも行き、生きて帰ってこられる相棒」という思想が根底にあり、世界中の過酷な環境で人々の命や生活を支える存在として徹底した信頼性、耐久性、悪路走破性が追求されてきたという歴史も。
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ランドクルーザーの定義「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」は本当だった。崖から転落しながらもオーナーは無事、自走してトヨタ工場と入ってゆく姿が目撃される
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開発者は実際に世界各地を訪れてユーザーのニーズを把握し、テストを重ねることでその性能を高めてきたそうですが、ランドクルーザーは単なる移動手段としてだけでなく、人々の生活や仕事を支え、時には(ほかの車両では入ることができない僻地にも分け入り)命を救うクルマとして、世界中で独自の地位を築いてきたわけですね。
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象徴的なV8と“タフ”なメカニズム
名機「3UR-FE」V8は“200,000マイルクラブ”常連
ランドクルーザーの「頑丈さ」はすでに述べたとおりですが、そのパワートレーンにも定評があり、特に米国市場向けに採用された5.7L V8「3UR-FE」は、トヨタ史上最も信頼性の高いエンジンのひとつとして知られています。
このエンジンは容易に「20万マイル(約32万キロ)」の走行距離をカバーすると言われていますが、この距離を遥かに超える個体も普通に報告されており、こういった信頼性も人気の理由なのだと思われます。
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さらには車体全体が消耗しにくいボディオンフレーム構造、それに比して(トヨタのたゆまぬ改良によって獲得した)乗用車ライクな運転フィールや安定感、近年のモデルでは高級車然とした乗り心地など評価すべき点が多数存在。
つまりは「日常使いもでき、しかし悪路を走れば他を寄せ付けず、かつ高い耐久性を誇る」というところがランドクルーザーの価値を「落ちにくく」している要因なのだと思われます。
ちなみにドバイのサファリツアーではランドクルーザーが使用されることが多く、その理由を聞いてみたところ、走行性能のみではなく「メンテナンスや修理が容易だから」。
ドバイのきめ細かな砂は車両のどこまでにも入り込み、室内だけではなくドライブトレーン内部、サスペンションなどの可動部にまで侵入することがあり、しかしランドクルーザーは他のオフローダー、たとえばランドローバー・ディフェンダー、日産・パトロール、メルセデス・ベンツGクラスに比較しても「あらゆる部分に砂が入りにくく、壊れにくい」のだそう。
よってメンテナンスが「楽」であり「壊れにくい」ため、たとえ高価であってもランクルを使用したほうが結局は安上がりなのだ、という話を聞いています。
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結論:「高いけれど、それだけの価値がある」
ランドクルーザーの価格は決して安くはありませんが、それ以上に「壊れずに走り続ける」という圧倒的な安心感があり、「高いけれど、結局それ以上の価値を返してくれる」──これがランドクルーザーが選ばれ続ける理由だということになりそうですね。
そしてこの高い人気は「(誇れるものではありませんが)圧倒的な盗難率」によっても立証されており、これだけ盗まれるということはつまり「それだけの需要がある」のだと考えてよいかと思います。
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