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米助言会社、グラスルイスが「豊田章男氏の会長就任に反対票を投じるよう」株主へとアドバイス。「トヨタの取締役会は独立性に欠けている」

2023/05/31

トヨタ

| 現在、トヨタはグラスルイスの主張に真っ向から反論しているが |

おそらくは年次総会でも本件が大きな問題として取り上げられることになりそうだ

さて、独立系プロキシーアドバイザリーサービス会社であるグラスルイスが、トヨタ自動車の株主に対して「トヨタの取締役会が十分に独立していない」との懸念から、豊田章男会長の取締役再任に反対する投票を提案することに。

なお、トヨタ自動車の社長は豊田章男氏から佐藤恒治氏へと交代しているものの、その内容を見てみると、佐藤恒治新社長には代表権が付与されず、しかし豊田章男新会長は”社長の座を退いたといえど”代表権のある取締役会長へと就任しています。

つまり、体制が変われど豊田章男氏の影響力は依然として強いと考えるのが妥当です。

ではなぜトヨタの社長が交代したのか?

じゃあなんで社長を交代したのかということについて考えてみると、それは「株主からの批判をかわすため」だとぼくは考えているわけですね。

トヨタは独自の信念をもってハイブリッドカーを中心とした展開を行っていますが、これが「EVに対して積極的ではない」と取られ、環境団体からは激しいバッシングを受け、トヨタの株主からは「他社に遅れを取ってしまう」という指摘を受けています。

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そして、そういった矛先はすべて「トヨタという会社よりは」豊田章男前社長(現会長)個人へと向けられており、これはよくも悪くも、豊田章男氏の発言力と影響力が強かったからだと思われ、そしてこういった状況を鑑み、トヨタを守るという意味で豊田章男氏は「社長から会長へ」退いたんじゃないかというのがぼくの推測です。

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ただ、実際には(上述の通り)豊田章男氏は代表権を継続して保有しており、佐藤恒治新社長も新体制説明会においては豊田章男前社長の意思を引き継ぐ旨の発言を前面に押し出していて、豊田章男前社長がよく口にしていた「クルマ屋」という表現を複数回に渡って使用しています。

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加えて、佐藤恒治新社長ならではの新しい方針が明確に打ち出されたわけでもなく、こういった状況が投資家にとって「何も変わっていない」と映ったと考えても不思議はありません。

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トヨタの取締役会には「独立性が少ない」

そして今回、グラスルイスが指摘しているのは「トヨタの現在の取締役候補者10名のうち、独立性があると考えられるのはわずか3名のみで、これはグラスルイスが推奨する”取締役の少なくとも3分の1が独立している”という条件に満たず、日本のコーポレートガバナンス・コードでも、上場企業では取締役会の独立性を3分の1と定めている」内容に反するということ。

一方でトヨタは、トヨタの主要融資先である三井住友銀行の副頭取を含む4人の候補者について”独立”としているものの、グラスルイスはこれに反論し、この4人は"関係者 "に分類するなど、双方の主義主張は真っ向から対立しているというのが現在の状態だと報じられています。

加えて、グラスルイスは最近の報告書で、「我々の見解では、取締役会は十分な数の独立取締役を擁しておらず、その客観性、独立性、適切な監督を行う能力について深刻な懸念を抱かせます。よって、我々は、豊田章男氏の役員選任に反対票を投票することをお勧めします」と述べており、これはかなり深刻な事態なのかもしれません。

このほか、6月14日に予定されている年次総会においても、トヨタの株主が一部の監査役候補者の選任に反対票を投じるよう提案しているとも報じられており、開催が近づくにつて、この問題がクローズアップされる機会も出てくる可能性がありそうですね。

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参照:Reuters

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