| Lynk & CoのTCRバージョンはけっこうカッコイイ |
ボルボのレーシングチーム、「CYAN RACING(シアン・レーシング)」より2019年から中国のLynk&Co 03TCR(World Touring Car)がレースに出走することが決定。
とはいっても何のことかわかりにくいので説明しておくと、シアン・レーシングはもともと1996年に設立されたフラッシュ・レーシングがその母体で、後にポールスター・レーシングチームと改名し、更にその後これがボルボに売却されて現在の「シアン・レーシング」へと名称が変わっています(つまりシアン・レーシングはボルボのチーム)。
なぜボルボチームから中国車がエントリー?
そこで当然のごとく「なぜボルボのレーシングチームから中国車がレースに出るのか」ということになりますが、現在ボルボは中国・吉利汽車傘下にあり、そしてLynk&Coは吉利汽車の一つのブランド。
シアン・レーシングはボルボのもの、そしてボルボは吉利自動車のもの、というわけですね。
現実問題としてボルボXC40とLynk&CoのSUVは共同開発されており、その多くを共有しているとされますが、今回はそのレーシングチームまで「吉利色」が濃くなった、ということになりそう。
なお吉利汽車のCEO、李書福氏は個人でメルセデス・ベンツの筆頭株主に躍り出るほどの資産の持ち主で、今回もそのLynk & Co 03TCRのレーシングドライバーとしてイヴァン・ミュラー選手を獲得。
同選手はWTCC(ヨーロッパツーリング選手権)にて4度のチャンピオンを獲得しており、これはWTCC史上「最多記録」となっています。
つまりは獲得に相当な費用を要したと思われるものの、「勝つためには手段を選ばない」吉利汽車らしい選択だといえそう。
吉利汽車は現在「ボルボ」「ロータス」ほかいくつかの企業を買収して参加に収めていますが、最近だとロータス上層部を「吉利関係者」へと入れ替えたばかりです。
加えてシアン・レーシングがスウェーデンGT選手権に参戦するクルマもボルボからロータスへとスイッチさせるなど、「ボルボ、ロータス、吉利」の結びつきは非常に密接なものとなっています。
ちなみに吉利汽車はロータスの価値を最大限利用すべく「ハンドリング・バイ・ロータス」をボルボに設定したり、他メーカーにも「販売」するのではという噂もあり、これも時間の問題なのかもしれません。
さらにボルボは今後その生産を中国へと移管させてゆく方向ですが、中国生産についても大きな自信を見せており、ボルボ内部もすっかり「吉利色」が濃くなっていると考えて良さそうですね。