
Image:Denza(BYD)
| 今でこそ「格下」に見られる中国車ではあるが、そのうち無視できない存在となるのかも |
「自動車業界の常識」を持たないのが中国の自動車メーカーだけに、その「発想」が斬新である
さて、先般よりプロトタイプが目撃され話題になっていた中国のEV大手BYDのプレミアムブランド「Denza(腾势 / デンツァ)」の新型スポーツカー、「デンツァ Z」が正式発表。
この2ドアクーペは、サイズ感や後席のあるレイアウトからポルシェ911を強く意識したモデルと見られており、その斬新な装備とデザインをもって電動スポーツカー市場に新風を巻き起こす存在だと見られています。
なお、現時点では「中国車」というと格下に見られる傾向があるものの、いくつかの既存自動車メーカーはがすでに「中国車をベンチマーク」としていることからもわかるとおり、中国車はもはや無視できない存在となりつつあることを認識する必要があるのかもしれません。
Image:Denza(BYD)
デンツァZはステア・バイ・ワイヤ&格納式ステアリングで未来を体現
Denza Zの最大の特徴は、「ステア・バイ・ワイヤ(Steer-by-Wire)」技術の採用。
これは、ステアリングホイールと前輪の間の機械的な接続を排除し、完全に電子制御で操舵を行うという先進技術で、つい先日はメルセデス・ベンツがこの技術の採用を発表したばかり。
Image:Denza(BYD)
これにより、なんとステアリングホイールを(不要時に)ダッシュボード下へ収納できるという大胆なギミックの装備が可能になっていて、この機構は”走り”を重視するエンスージアストにとってはやや受け入れ難いかもしれませんが、車内を移動式オフィスとして使うような層にとっては大きな魅力となるのかも。
実際のところ、今現在この機能は「バカにされる」であろうものの、実際に消費者が求める機能である可能性も否定できず、よってこれが受け入れられるとわかれば日米欧の自動車メーカーもこの機能をこぞって「真似る」ことになる可能性もありそうです。
Image:Denza(BYD)
デンツァZのデザインはランボルギーニやロータスにインスパイア
このデンツァZ、見た目では911を意識しつつ、しかしランボルギーニやロータスの要素を取り入れたアグレッシブなスタイリングが特徴です。
低く構えたフロントバンパー、大型ディフューザー、巨大リアウイングなど、まさにスーパースポーツ然とした迫力を醸し出すことに。
公開された情報からは、フロントにダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用していることが確認されており、加えてマグネット流体(磁性流体)ショックアブソーバーも搭載。
Image:Denza(BYD)
路面状況に応じて10ミリ秒以内に減衰力を変化させることができ、優れた乗り心地と走行性能の両立が期待されています(BYDはこの技術に定評がある)。
なお、パワートレインについてはまだ詳細が明かされていませんが、兄弟モデルである「Denza Z9 GT」との技術共有が想定されていて、このZ9 GTの最上位仕様では最大出力952馬力(710kW)を発揮するトリプルモーター構成が採用されていることを鑑みるに、デンツァZでも同様の出力を持つパワートレーンが与えられると考えて良さそうですね。
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デンツァは欧州市場へ本格進出、プレミアムブランドを狙う
Denzaは現在、欧州市場への本格進出を進めており、メルセデス・ベンツをはじめとする欧州プレミアム勢に対抗するブランドとしての地位を築こうとしているところ。
実際、Denzaはもともとメルセデス・ベンツとBYDの合弁ブランドとして誕生したものの、そこからメルセデス・ベンツが資本を引き上げることで現在はBYD単独のブランドとして再スタートを切っており、BYDの幹部であるステラ・リー氏がつい最近、英国カーメディアのインタビューに対し「Denzaの新型車は、競合製品の10倍優れている」という強気なコメントを発したのも記憶に新しいところです。※それだけ自社の製品に自信を持っている
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Image:Denza(BYD)
話をこのデンツァZに戻すと、ポルシェ911に真っ向から挑むだけでなく、未来的なインテリアやハイテク装備を通じて「次世代EVスポーツカー」の新基準を打ち立てようとしていることも伺え、今後の(バリエーション投入含む)展開がますます楽しみな1台もありますね。
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参照:Denza(Weibo)