
| 電動化の波の中で、ランボルギーニはV型エンジンを守り続ける |
ランボルギーニはいち早く「全ラインアップをPHEV化」したものの、EVの投入には伸長な姿勢を示している
ランボルギーニが電動コンセプトカー「Lanzador(ランザドール)」を発表してから早くも2年が経過。
当初は2028年に市販化が予定されていたものの、その発売が2029年へと1年延期されたことが明らかになっていますが、今回改めてランボルギーニが「これまで通り」――つまり、電動化を進める一方、ガソリンエンジンを中心にした開発を続け、内燃機関にこだわり続ける姿勢についても言及しています。
Image:Lamborghini
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ランボルギーニは「初のEV」、ランザドールの発売を1年後ろ倒しとして2029年へ。その理由は「市場がまだ成熟しておらず、消費者の理解が得られないであろう」ため
| しかしながら、この1-2年で大きく事情が変わる可能性があり、逆に「前倒し」となる可能性も | いずれにせよ、技術的には「問題なく」計画に従い発売できる段階にあるようだ さて、ランボルギーニが「初の ...
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「内燃エンジンはまだ終わらない」——ランボルギーニCTOが語る未来
ランボルギーニのチーフ・テクニカル・オフィサーであるルーベン・モール氏は、オーストラリアの自動車誌CarExpertによるインタビューにて、「可能な限り長く内燃エンジンを残す」と明言。
以下のように語り、ランボルギーニの技術陣がICE(内燃機関)を進化させる意志を強く持っていることを示し、エンジン音、振動、加速感――それらは、単なる移動手段ではない“感情の体験”であるという哲学を強調しています。
「内燃エンジンには、まだ多くの可能性が残されていると信じている。我々はまだ“燃焼の未来”を語るアイデアを持っている」
合成燃料(e-fuel)は救世主になるのか?
いまのところこの「アイデア」が何なのかはわからないものの、このままの流れだと欧州では2035年にはCO2ニュートラルではない内燃機関を搭載する新車の販売ができなくなるため、ランボルギーニは将来的に「合成燃料(e-fuel)が鍵を握る」と考えている可能性も否定できません。
欧州を拠点とする同社は、すでにe-fuel(合成燃料)が内燃機関の存続にとって重要であると繰り返し主張していますが、合成燃料によって内燃機関を維持する以外に欧州では内燃機関搭載車(新車)の販売ができなくなり、事実上、ランボルギーニが内燃機関を維持しようとするならば、この合成燃料に頼る以外の道はなくなります。
「電動パワートレインでは得られない“感情の高まり”がある。それこそが、ランボルギーニを感情の頂点に導く」
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ランボルギーニが合成燃料の使用にて2035年以降も内燃機関を残す方向性へとシフト。一方で完全電動パワートレーンは日常使いできるのみに搭載か
| 現在、自動車メーカーは「法規制」の間で揺れており、単独では方針の決定をできない状態にある | この規制をどう捉えるかによって、今後の各自動車メーカーの対応は大きく変わりそうだ さて、ランボルギーニ ...
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テメラリオとレヴエルト:ハイブリッド化と性能の両立
厳しさを増す排ガス規制に対応するため、ランボルギーニも「ハイブリッド化」を迫られている状況であり、事実として現在のラインアップ(テメラリオ、レヴエルト、ウルスSE)についてはすべてプラグインハイブリッド。
ただしレヴエルトとテメラリオに積まれるV12とV8エンジンは、これまでのユニット、グループ内(ポルシェやベントレーなど)ブランドの持つユニットとは関連性がなく、完全自社設計による新しいもので、この時点で「コストを投じて新型エンジンを開発した」ということは、やはりこれらのエンジンを(すぐに終わらせるつもりはなく)今後長きにわたり存続させようということなのかもしれません。
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もはやスーパーカーにとってハイブリッドは「エンジンの一部」。ランボルギーニがそのV8エンジンについて解説、いかにして「量産車唯一の1万回転超え」エンジンが誕生したか
Image:Lamborghini | ハイブリッドシステムによって「ロードカーのエンジンがレーシングカーにより近づいた」のは皮肉な事実である | ただし世間一般では「ハイブリッドシステムは余分なもの ...
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今後の課題:欧州規制とカーボンニュートラル
ランボルギーニは2050年までにカーボンニュートラル化を目指すと公言していますが、実際にEUが2035年以降のガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止した場合、内燃機関の継続は極めて困難に(法整備や流通体制はランボルギーニの努力ではどうにもならない)。
よって、上述のe-fuelの量産体制が整わない限り、欧州でのICE存続は現実的ではなくなってしまい、合成燃料についても「今後どうなるのか」はちょっと気になるところ。
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BMWのCEOがEUの合成燃料認可に対する姿勢を批判。「表面上だけでこれを認めたにすぎず、実用化のために何も行っていないため、このままでは内燃機関が滅ぶだろう」
| BMWは例外的に「EVの販売を伸ばしている」自動車メーカーではあるが、それでもガソリン車の存続を強く支持している | トヨタ同様、マルチパワートレーン戦略を採用する企業のひとつでもある さて、現在 ...
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現時点では合成燃料の生産量は非常に限られ、かつ高額であるため、これを(いかに富裕層が乗るスーパーカー向けといえど)自動車用燃料として使用するのは現実的ではないという話も聞かれ、またある筋からは「欧州が2035年に内燃機関搭載車の販売を禁止するのは現実的ではなく、これを撤回するであろう」という意見も出ていて、もしこれが撤回されればランボルギーニ含むスポーツカーメーカーにとっては「活路」が開けるということになりますね。
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合成燃料(Eフューエル)製造メーカー「合成燃料が一般向けの自動車用として提供されるのはずいぶん先です。まずは航空機や船舶など、内燃機関の代替がない業界からです」
| もしかすると生きているうちには合成燃料が普及する未来はやってこないのかもしれない | まだまだ各業界や政府の「合成燃料に対する意識」が低く、補助や投資が進まないようだ さて、一時期に比べるとちょっ ...
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まとめ:感情を刺激する「音」と「魂」はまだ生きている
フェラーリがEVの発表に踏み切るなか、ランボルギーニはEVの発表を遅らせており、かつ「電動化の質」にこだわる姿勢を見せています。
そして同社の「V8やV12の鼓動を守りながらも、新たな技術との共存を模索する姿勢」は、多くのファンにとって希望の光となるのかもしれませんね。
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参照:CarExpert