
Image:SAIC Design
| このサイバーXをデザインしたのはブガッティ・ヴェイロンのデザイナー |
数年以内にこのサイバーXの発売が予定されており、リトラクタブルヘッドライトの実現には期待がかかる
2025年の上海モーターショーにて、MGが新たな電動SUV「CyberX(サイバーエックス)」を世界初公開。※MGは現在上海汽車傘下の中国企業である
このモデルは、MGの次世代「Cyberシリーズ」の一員であり、すでに発表されている電動ロードスター「Cyberster(サイバースター)」に続く存在です。
なお、このサイバースターはもともとゲームの中に登場する車両として考案されたものの、発売の要望が多数集まったために実際に発売に至ったというクルマですが、これは世界中にて大きな話題を集めることになり、MGの評価を一変させたスポーツカーでもありますね。
ときどき、「たった1台の」クルマがその自動車メーカーの未来を大きく変えることがあり、最近だとヒョンデの「アイオニック5」、そしてそのもととなった(ポーニークーペへのオマージュでもある)45EVコンセプトが記憶にあたらしいところです。
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MG サイバーXもまた「実際に市販」
今回披露された「サイバーX」はコンセプトカーではあるものの、すでに市販化に向けた開発が進んでいることも明らかにされ、このサイバーXは短いオーバーハングとミニマルな面構成が特徴的なボクシーなフォルムを持つSUV。
ランドクルーザー300系を彷彿とさせるウィンドウ周りのデザインがアウトドア志向を強調しますが、特筆すべきはボンネット上に配置されたポップアップ式ヘッドライトで、これはボディ全幅にわたるLEDストリップとともに個性的なフロントフェイスを演出しています。
加えてボクシーなホイールアーチ、オフロードタイヤ、大きな最低地上高も相まって、タフなSUVらしい存在感、そして「サイバー」の名にふさわしい未来的な雰囲気を放っており、いざ発売されるとなれば高い人気を誇ることになりそうですね。
Image:SAIC Design
このデザインを手がけたのは、ブガッティ・ヴェイロンやVWルポ、シュコダ・オクタビアなどで知られるデザイナー、ヨーゼフ・カバン氏。
同氏はフォルクスワーゲングループにて手腕をふるった敏腕デザイナーではありますが、VWブランドのEV、IDシリーズのエントリーモデルをデザインした際に「フォルクスワーゲングループの役員から反感を買ってしまい」その後閑職に追いやられたのち、現在のSAIC(上海汽車)へと移籍した人物です(ただ、SAICはフォルクスワーゲンとの合弁会社を展開しているので、フォルクスワーゲンとSAICとの間でなんらかのやり取りがあり、そのうえでトレードされたのかもしれない)。
そんなヨーゼフ・カバン氏ですが、彼は今回その才能をいかんなく発揮することになり、サイバースターとはまったく異なるアプローチでこのサイバーXをデザイン。
実車の発表の際には壇上に登場し、「MGブランドの多様性を表現した」と語っていますが、興味深いのは「ポップアップライトはフェラーリ・テスタロッサへのオマージュ」と述べていることで、「あえて」ここに盛り込んだということになりますね。※必要性という見地だと、このポップアップ(リトラクタブル)ヘッドライトは不要であり、しかしテスタロッサを意識して意図的に組み込んでいる
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サイズ感とライバルのポジショニング
サイバーXは全長4.3mとけっこう短く、ヨーロッパ市場ではサブコンパクトSUVセグメントの上限に位置づけら、サイズ感としてはMGの既存モデルであるZSや新型ES5と似ているものの、サイバーXは明確にキャラクターが異なるため、MGによれが「共存も可能」。
なお、内装については現在のところ非公開で、しかしスマートフォンメーカーのOppoと共同でコネクティビティ技術を開発中との情報も。
上海ショーに展示された車両はウィンドウが黒く遮られており、実際には走行可能なプロトタイプではなく、スタティックモデル(展示用の模型)である可能性が高そうです。
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市販モデルとプラットフォーム
MGは詳細なスペックをまだ明かしていませんが、サイバーXはSAIC(上汽集団)の新開発EV専用アーキテクチャ「E3プラットフォーム」を初採用する可能性が高いと報じられていて、このプラットフォームは、バッテリーパックを車体構造の一部として組み込む「セル・トゥ・ボディ」構造を採用し、剛性向上と軽量化を実現しているのだそう。
市販モデルは中国だけでなく、欧州やオーストラリア市場への展開も計画されていると報じられ、具体的な発売時期はまだ発表されていませんが、中国現地のメディアでは今後数年以内の登場が見込まれている、という記載も見られます。
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参照:SAIC DESIGN, CARSCOOPS, CarNewsChina