
Image:The RSR Project
| モータースポーツの血統を色濃く継ぐ911がいまここに蘇る |
ポルシェの「レストモッド」は様々な需要に対応する形で細分化
ポルシェにとってモータースポーツは単なるレースではなく、「公道車の開発場」でもあることが知られており、その思想を最も体現するモデルがポルシェ911。
多くの自動車メーカーが「公道仕様車」と「レーシングカー」とを分けて考える中、ポルシェではこの両者の垣根が非常に低く、実際に市販車を競技用へと転用する際の改装が(ほかメーカーに比較して)きわめて小さく、かつパーツの多くも市販車とレーシングカーとで共通しているため、モータースポーツに参戦するプライベーターにとっては「非常にありがたい」存在としてもよく知られています。
そしてこの傾向は「今も昔も」同じままですが、その歴史の中でも1970年代にレース界を席巻した911 Carrera RSRは、今もなお多くのファンを魅了する伝説の存在として高い人気を誇ります。
伝説の名車「911 Carrera RSR」とは?
1973年に登場した911 Carrera RSRは、デイトナ、ル・マン、ニュルブルクリンクなどの国際的な舞台で活躍。
生産台数が極めて少ないため、現存するオリジナル車両は数百万ドル(数億円)で取引されるコレクターズアイテムとなっています。
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「RSRプロジェクト」とは?
そんな希少なRSRを、より手の届く形で現代に再現しようと立ち上げられたのがアメリカ・ニューヨーク州に拠点を置く「RSR Project(RSRプロジェクト)」。
創設者はリチャード・シックマン氏で、彼が最初に自身の911をRSR風にカスタムしたところ、注目を集め、ビジネスとして展開するに至ったのだそう。
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またまたポルシェ911のレストモッドに新星登場。RSRプロジェクトは930世代のみを対象とし、「行き過ぎた芸術性や先進性を求めず」911の持つ壮大な意図を現代に投影
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ベース車両は1973〜1989年製の「Gシリーズ」911
RSRプロジェクトでは、1973年から1989年までに生産された第2世代911(通称:Gシリーズ)をベースに使用していますが、錆や事故歴のない個体のみを採用しており、フルレストアおよび軽量化を含め、納期は12〜18か月、価格は$375,000〜(車両持ち込み)と、決して安くはないレストモッドです。
モダン×クラシックを融合した珠玉のプロジェクト#21
そして今回同社の公式Facebookページで公開されたのが最新の車両である「Project #21」。
この個体は1973年型911カレラRSRのデザインを踏襲しつつ、現代の快適性を追加した1台です。
Image:The RSR Project
主な特徴:
- 外装:シグナルオレンジ(当時のクラシックカラー)
- 内装:プレミアムレザー+千鳥格子柄のファブリック
- オーディオ:ポルシェクラシック仕様のモダンラジオ
- シートヒーター/最新エアコン搭載
パフォーマンスも妥協なし
搭載されるエンジンは3.4L フラット6(空冷)でオリジナルの911RSRよりもパワフルに仕上がっており(オリジナルは2.8〜3.0L、出力300〜310馬力)、これに組み合わせられるトランスミッションは5速マニュアル。
さらには以下のような現代的な装備を持っており、つまりRSRプロジェクトは「911RSRのレプリカを作る」ことが目的ではなく、RSRの精神を現代的に解釈したマシンを提供することを目的としているようですね。
- 15インチBraidホイール+ミシュランTB15タイヤ
- Bilsteinショック+強化ブッシュ入りサスペンション
- 4ピストンキャリパーの最新ブレーキシステム
Image:The RSR Project
「シンガー」だけじゃない。RSR プロジェクトが放つ新たな911の形
ポルシェ911のレストモッドの代名詞といえばシンガー・ヴィークル・デザインですが、RSR プロジェクトは“レーシング由来”の911を重視する点が特徴的。
ただの”レトロ”の再現ではなく、走りの本質まで追求された一台だと言えそうです。
Image:The RSR Project
まとめ:本物のRSRは手が届かなくても、“魂”は今も乗れる
RSR プロジェクトによって現代に甦った911カレラRSR。
クラシックなデザイン、美しい内装、空冷エンジンの鼓動とともに、ガレージに“伝説”を迎えることができる一台で、本物の911カレラRSRが数億円で取引される中、$375,000(現在の為替レートにて約5400万円)からという価格は、ある意味「現実的」と言えるのかもしれません。
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