
| 数年前には存在を知らなかった自動車メーカーは「数年後には消えてなくなる」可能性も |
ここまで中国車が躍進したのには様々な要素が絡んでいる
「昔ながらの伝統ある自動車メーカーのクルマ以外は怖くてとても買えない・・・」
そんな自動車市場の常識が、今ヨーロッパでガラガラと崩れ去ろうとしているというのが今回のニュース。
自動車メディア・購買サイト大手の「Carwow」が実施した最新調査により、イギリス人ドライバーの実に2人に1人(49%)が次のクルマとして「中国ブランド」を選択肢に入れているという衝撃の実態が判明し、ほんの3年前には「名前すら聞いたことがなかった」ブランドたちが、なぜこれほどまでに英国市場を席巻し、消費者の心を掴んでいるのか。その裏にある意識の変化と最新動向を紐解きます。
【この記事の要約】
- 購入検討率が49%へ急増:英国の大手自動車売買プラットフォーム「Carwow」の最新調査によると、英国人ドライバーの約半数(49%)が「次の車に中国ブランドを検討する」と回答。2023年前半の24%からわずか3年で倍増。
- ブランド認知度の爆発的上昇:BYD(71%)、JAECOO(69%)、OMODA(57%)、Chery(50%)と、数年前までほぼ無名だった中国メーカーの知名度が急上昇。
- 「エンブレム重視」からの脱却:購入検討の最大の理由は「高いコスパ(42%)」と「お得な値引き(28%)」。「伝統ブランドへのこだわり」を捨て、実用的な装備と先進EV技術を選ぶユーザーが急増。

わずか3年で24%から49%へ!英国で進む「中国車旋風」
Carwowが1,270名のユーザーを対象に行った最新調査によると、「次期愛車候補に中国ブランドを入れている」と答えた割合は49%に達していて、この数字の推移を見ると変化の激しさが一目瞭然です。
- 2023年 上半期:24%
- 2025年 下半期:39%
- 2026年 初頭:35%
- 2026年 現在:49%(過去最高を更新)
また、「リストにある中国ブランドを1つも知らない」と答えた人の割合も、2025年下半期の23%から現在は16%まで減少。中国車の存在は、もはや「一部のマニアックな選択肢」ではなく、英国の街中に当たり前に溶け込むメインストリームとなっています。

認知度ランキング:BYDを筆頭にJAECOOやCheryが猛追
認知度の面でも大きな変化が起きていて、知名度トップのBYD(比亜迪)は今や英国ドライバーの71%に認識されているほど。
| ブランド名 | 現在の認知度 | 1年前〜3年前のデータ |
| BYD(ビーワイディ) | 71% | 英国進出3年で累計10万台達成 |
| JAECOO(ジェイクー) | 69% | 1年前の46%から大幅増 |
| OMODA(オモダ) | 57% | 1年前の42%から着実に伸び |
| Chery(チェリー、奇瑞汽車) | 50% | 1年前の16%から約3倍に急増 |
| XPeng(シャオペン、小鵬汽車) | 20% | 2023年の8%から倍以上 |
特にJAECOOやCheryといったブランドは、わずか1〜2年で知名度を2倍〜3倍に跳ね上げており、新車販売市場での攻勢がそのまま認知度に結びついていることが分かります。※MGやスマートといった、欧州ではおなじみのブランドもいまや「中国車」である

「ブランドの歴史」より「圧倒的なコスパと装備」
なぜ、これほどまでに急速に受け入れられているのか?
購入を検討する理由として最も多かったのが「優れたコストパフォーマンス(42%)」で、続いて「魅力的な値引き(28%)」、「豊富なEVモデルの選択肢(19%)」が挙げられており、Carwowの事業責任者であるベン・カーター(Ben Carter)氏は次のように分析しています。
「当社のプラットフォームで中国ブランドを検討するドライバーが劇的に増えているのは、単に生活費の圧迫や低価格だけが理由ではありません。人々が『クルマに対して求める価値観』そのものがシフトしているのです。買い手は従来の『ブランドエンブレムへの忠誠心』を捨て、魅力的なテクノロジーと優れたコストパフォーマンスを求めています」
実際にCarwow上で最も読まれている試乗レビュー記事のトップ8のうち、BMW iX3(1位)を除く2位から8位まで(7枠)をすべて中国モデルが独占(JAECOO 7、Chery Tiggo 8、BYD Seal、JAECOO 8、OMODA 5、BYD Seal U、Chery Tiggo 7など)し、レビューの閲覧数でも中国車への注目度が群を抜いていることがわかります。
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ちなみにですが、このブログにおいてもBYD シールの試乗記事のアクセスはフェラーリ 849テスタロッサのそれよりも多いので、ここ日本においても中国車への関心が非常に高いことが伺えます。
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英国市場で人気の中国車 代表モデルスペック比較
英国で現在最も注目を集めている中国発の代表的モデル「BYD SEAL(シール)」と「JAECOO 7(ジェイクー7)」の主要スペックをまとめてみると以下の通り。
| 項目 | BYD SEAL(Excellence AWD) | JAECOO 7(PHEV / ガソリン) |
| ボディタイプ | 4ドア エレクトリック・スポーツセダン | 5ドア ラグジュアリーSUV |
| パワートレイン | フル電動(BEV) / 82.5 kWhバッテリー | 1.5L ターボ + プラグインハイブリッド(PHEV) |
| 最高出力 | 530 PS(390 kW) | 347 PS(システム合計) |
| 0-100 km/h 加速 | 3.8 秒 | 約 8.0 秒 |
| 航航続距離(WLTP) | 最大 520 km | EVモード:約 90 km / 総合:1,200 km以上 |
| インテリアの特徴 | 15.6インチ回転式タッチ画面、HUD | 14.8インチ縦型ディスプレイ、オフロードモード |
| 価格帯(英国) | 約45,000ポンド〜(プレミアム競合の7割程度の価格) | 約30,000ポンド〜(同クラス欧州SUVより圧倒的に安価) |
欧州のライバル車であればワンランク上の価格帯になるハイテク装備(回転式大型ディスプレイ、先進運転支援システム、全方向カメラなど)が標準装備されている点が現地ユーザーから高く評価されているのだと分析されています。
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なぜヨーロッパの伝統的メーカー(VW・ステランティス等)は苦戦しているのか?
これまでイギリスを含む欧州市場(とくに普及価格帯)では、フォルクスワーゲン、フォード、ステランティス(プジョー・シトロエン等)、あるいは地元のVauxhall(ボクスホール)といった伝統的ブランドが圧倒的な強さを誇ってきたという歴史があり、しかし現在の市場では以下のような地殻変動が起きていて・・・。
- 価格乖離の拡大:欧州メーカーのEVやハイブリッド車が価格高騰を続ける一方、自国でバッテリーから垂直統合生産を行う中国メーカー(BYDなど)は同じ価格帯で「1サイズ上の車格」と「フルオプション並みの装備」を提供可能
- ソフトウェアとデジタル体験の差:大型モニターのレスポンスやスマホ連携、車内エンタメ機能において、中国勢は若い世代やファミリー層のニーズを的確に捉えている
- 「イギリス伝統ブランド」の裏側:現在イギリスで最も売れている「MG」ブランドも実は中国の上海汽車(SAIC)傘下にあり、「英国風デザイン×中国製パワートレイン」の組み合わせで大成功を収めたMGの存在が、英国人の「中国車に対するアレルギー」を消し去る先陣を切った存在だとも見られている

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【歴史的快挙】MGが欧州・英国で累計100万台を突破した「初の中国ブランド」に。そう、MGは現在中国の会社である
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日本市場にも「中国車の波」は来るのか?
イギリスでこれほどの地殻変動が起きているとなると、気になるのは「日本市場でも同じことが起きるのか?」という点。
日本市場は世界的に見ても「軽自動車の存在」と「トヨタをはじめとする国産ハイブリッド車(HEV)の圧倒的強さ」があり、輸入車のシェア自体が1割未満という特殊な環境で、そのため、英国ほど急激にシェアが跳ね上がる可能性は低いと見られています。
しかし、BYDは日本国内でも「DOLPHIN(ドルフィン)」や「ATTO 3」、「SEAL(シール)」を相次いで投入し、全国にディーラー網を急速に拡大し、さらには軽規格のラッコ(RACCO)も投入済み。

「国産コンパクトカーや軽自動車と同等の価格で、ワンランク上のEVが買える」というコスパの高さに着目するアーリーアダプター層から着実に支持を広げており、日本市場にとっても決して対岸の火事ではない、というわけですね。
現在の日本市場での認識だと「そんなことは起こり得ない」という感じかもしれませんが、かつて日本の主要な産業であった「農業」「家電」においても同様のことが起きていて、よって「自動車業界だけは特別である」」といい切れる理由はないのかも。
そしてこの状況に輪をかけているのが「強烈なインフレ」で、これによって可処分所得(家計)が圧迫され、「数十万円、ときには100万円以上」を節約できる中国車に人々の心が傾くのは「無理もない」のが今の状況であり、とくに「インフレがこれまで緩やかで賃金が上昇せず、しかしこの数年で極端にインフレが進んで生活が苦しくなった」日本だと、一度タガが外れてしまえば、英国以上に中国車が(急激に)勢力を拡大することも十分に考えられるというわけですね。
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結論
「有名ブランドのエンブレムがついているから買う」という時代は終わりを告げようとしています。
イギリスのCarwow調査が示した「49%が中国車を検討する」というデータは、自動車選びの基準が「伝統やネームバリュー」から「合理的なコストパフォーマンスと製品力」へと完全にシフトしたことを物語っていて、かつて日本車や韓国車が欧米市場に参入した際も当初は懐疑的な目で見られましたが、品質と価格で信頼を勝ち取り世界を制したという前例が存在します。
そして今、まさにそれと同じ歴史的瞬間が「中国車」によって再現されようとしており、そしてそのスピードは「以前とは比較にならない」というのがいま現在なのかもしれません。
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参照:Carwow











