| ヒュンダイはとにかく「引き抜き」で会社を成長させてきた |
ヒュンダイの高級車ブランド、「ジェネシス」が北米市場において過去最高の販売台数を記録。
この台数は21,233台で、実に2018年の10,311台の倍ということになります。
現在ジェネシスは「G70」「G80」「G90」3種のラインアップを持ちますが、いずれもセダン。
G70はBMWでいえば3シリーズ、G80は5シリーズ、G90は7シリーズあたりがライバルとなります。
なお、レクサスだとISだけで14,920台、GSは3,378台、LSは5,528台を販売しているので、ジェネシスの21,233台は「まだまだ」ではありますが、レクサスの場合はジェネシスとは逆に(これらの車種について)35~48%ほど販売を落としており、しかしジェネシスは「ブランド立ち上げからわずか3年で」ここまで来たというのは侮れない部分でもありますね。
ジェネシスG70は多少なりともライバルのシェアを食った?
なお、今回の成長の源となったのは主にG70。
こちらは発売された2018年には409台の販売にとどまるものの2019年には11,901台を販売しています。
BMW 3シリーズの販売台数が不明ではあるものの、メルセデス・ベンツCクラスの2019年販売台数が49,153であったことを考えると、これより「上(BMW 3シリーズはこのセグメントでもっとも売れている)」なのは間違いなさそう。
いかにG70が売れたとてBMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスを超えることはなさそうですが、レクサスの落ち込み、そしてCクラスの販売も18.6%落ちていることを考えると、多少なりともG70がそのシェアを食っているとも考えられます。
ジェネシスG70はキア・スティンガーと同じプラットフォームを採用し、ベースはFR。
エンジンは255PSの2リッター直4ターボ、370PSの3.3リッターV6ターボを揃え、駆動方式は4WDも用意しています。
BMWを意識してか、最高速度は「紳士協定」の250km/hを超える270km/h、そして0-100km/h加速は4.7秒(BMW 340位xDriveよりも速い)。
ルックスはワイドで低く、ウエッジシェイプとリアフェンダーを強調したデザインを持ち、なかなかにスタイリッシュ。
これが「ヒュンダイ(ジェネシス)」ではなくどこか欧州の自動車ブランドから発売されていれば、けっこうなヒットとなったかもしれません。
なお、ジェネシスG80は2018年の7,662台に比較して7,094台、ジェネシスG90は2018年の2,240台に比較して2,238台を販売。
それぞれ減少してはいるものの、レクサスや他ブランドの落ち込みに比較すると「下げ幅が小さく」、それらに比較するとまだ新鮮さを保っていることがその理由なのでしょうね。。
ジェネシスはランボルギーニ出身者で固められる
なお、ヒュンダイは「ジェネシス」を立ち上げるにあたり、ランボルギーニはじめフォルクスワーゲングループから大量の人材をヘッドハント済み。
まずはランボルギーニ副社長であったマンフレッド・フィッツジェラルド氏(現ジェネシス責任者)を獲得し、その後はムルシエラゴやガヤルドをデザインしたルク・ドンカーヴォルケ氏を引き抜き(現ヒュンダイのデザイン部門責任者)、さらにベントレーの内装デザインチーム、ブガッティ・シロンのデザイナー、ランボルギーニ・アヴェンタドールのデザイナーもスカウトしています。
これによってジェネシスはそのエクステリアをよりアグレッシブに、そしてインテリアをよりエレガントにということなのだと思われますが、ここへきてその成果が徐々に現れ始めているということなのかもしれませんね。
衝撃度MAX!アヴェンタドールのデザイナーがヒュンダイへと移り、ヒュンダイはランボルギーニやベントレー出身者で固められることに
一方でヒュンダイのハイパフォーマンスカー部門「N」はBMW M部門の出身者で構成されていますが、ヒュンダイ/ジェネシスは自社で人員を育成するよりも「外部からの引き抜きによってスピーディーに競争力を高める方法を採用したということになり、このあたりは日本の自動車メーカーとは全く異なる手法を採用している、ということになります(日本の自動車メーカーは自社での育成にこだわっている)。
現在は韓国と北米のみの販売にとどまるG70ですが、今後は欧州での展開も狙っていて、かつSUVとして「GV70」「GV80」投入も予定されており、今後ジェネシスは日本や欧州のプレミアムカーメーカーへと真っ向から挑むことになりそうですね。