| おそらくは多くのプレミアムカーメーカーも同じ課題を抱えていると思う |
エレクトリック時代では、各自動車メーカーが「自動車本来の性能以外」に存在意義を見つけ、クルマに与えねばならない
さて、ケーニグセグCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏がトップギアのポッドキャストに出演し、「ピュアエレクトリック時代のハイパーカーには、その価格を正当化できるだけの存在意義が必要」と語ることに。
それと同時に、ケーニグセグもピュアエレクトリックハイパーカーを販売する計画があるものの、それは大きなチャレンジになるだろうとも述べ、その難しさに言及しています。
ピュアエレクトリックハイパーカーの何が難しいのか?
そこで同氏の意図する「難しさ」についてですが、これはけして技術面ではなく「存在意義」を指しているもよう。
どういうことかというと、テスラ・モデルSプラッド、ポルシェ・タイカン・ターボSなどはある意味でハイパーカーに近い領域に加速性能が達しており、ケーニグセグも「世界最高出力のエレクトリックモーター」の開発に取り組んでいるものの、ガソリン車における「ハイパフォーマンスサルーンとハイパーカー」に比較して、ピュアエレクトリックモデルにおける「ハイパフォーマンスサルーンとハイパーカー」の性能差は大きくなく、かつピュアエレクトリックカーに占める重量のうち大半を「バッテリーとモーター」が占めており、そしてそれらを驚異的なレベルで軽量化することは不可能であり、車体重量も「(ガソリン車の場合に比較して)大きく差が出ない」と言われています。
ガソリン車の場合、いかに出力が高いといえどセダンとハイパーカーとの差は大きく、とくに重量差、そしてそれに起因するビークルダイナミクスには大きな差がありますが、ピュアエレクトリックモデルだと重量差が大きくはなく、かつバッテリーやモーターの搭載位置が似通ってくることになり、動力性能についても差が小さくなるわけですね。
こういった状況において、エレクトリックサルーンとエレクトリックハイパーカーの「最大の差」は、(一般的に)エレクトリックハイパーカーのほうが「カッコいい」というだけにとどまってしまい、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は「ただカッコいいというだけで、テスラやポルシェの10倍もの価格を顧客に請求することは私にはできない」とも。
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ちなみにですが、現在発売されているエレクトリックハイパーカーというとリマック・ネヴェーラとピニンファリーナ・バッティスタが存在し、しかし加速性能だけで見ればテスラ・モデルSプラッドとそう変わらず、しかし価格は「数十倍」。
実際にネヴェーラ、バッティスタを見ていないのでナントモではありますが、それらがモデルSプラッドの数十倍の価値があるのかどうかと聞かれると、ぼくはうまく答えることができないかもしれません(差があると言い切りたいが、その根拠に確信が持てない)。
だが安心して欲しい
ただ、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は「エレクトリック時代のハイパーカーにも存在意義を持たせ、ハイパフォーマンス・エレクトリックサルーンと明確な差別化を設け、その価格差を納得させることができるだけのアイデアがあるといい、今のところ詳細については言及されていないものの、どういった方法でそれを実現するのかには期待がかかります。
なお、おそらくは同じポッドキャストかと思いますが、トップギアはフェラーリとも同じ論点について話し合っており、その際にフェラーリは「フェラーリならではのファン・トゥ・ドライブを実現することが可能であり、むしろエレクトリック時代になったほうがフェラーリの素晴らしさが際立つ」、とも。
フェラーリもおそらくは「ピュアエレクトリック時代に突入すれば、差別化を行うことが難しくなるだろう」と考えており、しかしそこに苦労している多くの自動車メーカーを尻目に、差別化の方法を知っている自社の優位性が高くなるだろうと自負しているものと思われます(そして間違いなく、その優位性を発揮できるものと思われる)。
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