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【試乗:ルノー・メガーヌR.S.】これほど簡単に、速く走れるクルマはほかにない。まさに完全無欠のホットハッチ

2018/09/15

| 待望のルノー・メガーヌR.S.に試乗してきた |

さて、発売を心待ちにしていたルノー・メガーヌR.S.に試乗。
メガーヌR.S.はルノーきってのホットハッチということになり、先代においては「ニュルブルクリンクFF王者」だったことも。

新型メガーヌR.S.については、本国においてさらなるホットバージョン「トロフィー」が追加されるなどニュルブルクリンク最速ポジション奪還の用意が整いつつあるようですね。

ぼくは先代ルノー・メガーヌR.S.には2度試乗していますが、後期モデルの感触が非常に良く、そのため中古車を常々探していたことも。
しかしながら、良さそうな個体が見つからないまま現在に至っており、それだけに今回の新型メガーヌR.S.には大きな期待をかけています。

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ルノー・メガーヌR.S.はこんな車

メガーヌR.S.は「メガーヌ」をベースにルノーのモータースポーツ部門、「ルノースポール(Renault Sport)」が一からチューンした車。
ただしベースモデルを「ちょっと」チューンした程度ではなく、ルノースポーツがモータースポーツへの参加を前提にシャシーそのものから見直しており、「メガーヌ」と名はつくものの、走りに関しては基本的に通常のメガーヌとは異なるクルマ、と考えた方が良さそう。

つまりメガーヌR.S.は、メガーヌの「スポーティーバージョン」ではなく、ルノーのモータースポーツ部門が放つ「サラブレッド」ということですね。

まずはここでスペックを見て見ましょう。

ボディサイズ:全長4410ミリ、全幅1875ミリ、全高1435ミリ
エンジン:2リッター4気筒
出力:279馬力
トランスミッション:6速AT(6EDC)
駆動方式:FF
重量:1480kg
価格:440万円

ルノー・メガーヌR.S.の外観を見てみよう

メガーヌR.S.の外観については先日見てきた様子を紹介したとおりですが、とにかくワイドなフェンダーが特徴。
特にフロントのワイドさは特筆モノです。

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そしてF1スタイルのフロントスポイラー、

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深く大きなリアディフューザーなど、一見してその機能やパフォーマンスを想像できる装備を持っています。

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なお、外装をざっと撮影してみた動画はこちら。

ルノー・メガーヌR.S.のインテリアを見てみよう

メガーヌR.S.の内装についても、外装同様にスパルタンそのもの。
ブラック一色の張り材にレッドのステッチ、カーボン風のクロスなどモータースポーツをイメージさせるデザインが採用されています。

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なおシート素材はアルカンタラ。
形状は「バケット」で、市販車においてこれだけ深いサポートを持つシートはかなり珍しく、見るからに「本気度」が感じられますね。

シートも車体の一部であり、車体と同時に設計がなされるべきだとルノー・スポールは考えており、実際にシートに腰を下ろし、左手を伸ばせばそこにシフトノブ、右足を伸ばせばそこにアクセルペダルがある、といった感じ。

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ルノー・メガーヌのインテリアを撮影してみた動画はこちら。

ルノー・メガーヌR.S.で走ってみよう

さて、さっそく試乗開始。
スマートキーなのでそのまま車内に乗り込み、ブレーキペダルを踏んでステアリングコラム左にあるトターターボタンを押すと、重低音とともにエンジンスタート。

エンジンの振動は非常に低いレベルに抑えられており、心地よい音だけが伝わってくるようです。
アイドリング時のサウンドもけっこう大きく、そとから聞く音はどんな感じかな?と思って窓を開けてみると、車の外は意外に静か。

つまり、車の中を中心にナイスなサウンドを届けているということになりますが、これは新型メルセデス・ベンツCLSも同じで(こちらは擬似サウンドですが)、騒音に配慮しながらもドライバーエクスペリエンスを高める一つの手法だと思われ、今後こういったスポーツカーが増えてきそう(外に向けて大きな音を出すのは、もはや社会的に許されなくなってきている)。

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シフトレバーをDレンジに入れて車をスタートさせて気づくのは、電気式パーキングブレーキの「解除」が自然であること。
ブレーキが外れる「カクっ」という感触がなく、パーキングブレーキがかかった状態からでもすっとクルマが発進します。

ぼくはこういった細かいところが気になるタイプで、異音やショック、不安定な動作には比較的ナーバスですが、メガーヌR.S.にはそういった「気になる部分」がなく、相当にルノーが配慮を行ってきたであろうことがわかりますね(ベースとなる”メガーヌ”が、ゴルフに対して優位性を築こうと、各部の質感を上げてきたためかもしれない)。

メガーヌR.S.の加速はどう?

メガーヌR.S.のエンジンは1.8リッター・ツインスクロールターボ。
出力は279馬力、そして最大出力は6000回転で発生するため、かなりフレキシビリティの高いエンジンだと言えますね。

トランスミッションはメガーヌGTの7速ではなく「6速(6EDC)」。
これはまさにエンジンのパワーバンドが広いということを示すことになり、実際に走ってみても「どこからでもパワーがついてくる」印象です。

変速ショックが極めて小さく、「オート」で走ってみると、変速したという感覚もないままにシフトアップを行い、「今何速に入っているか」がわからなくなるほど。
しかし、どの速度域からどのように踏んでも即座に鋭い加速を見せ、つまり状況に応じてトランスミッションが電光石火のシフトダウンを行って必要なパワーとトルクを取り出しているようで、ここまで優秀な制御を行うエンジンとトランスミッションは珍しい、と思います。

とりあえずアクセルだけ踏んでいれば必要な加速が得られ、ここまで優れた制御を行うのであれば、もうパドルによるシフトチェンジを行わず、クルマ任せにしておいた方が速く走れるのは間違いなさそう。

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メガーヌR.S.のハンドリングは?

メガーヌR.S.におけるハンドリング上の特徴は(ぼく的に)2つ。
ひとつは4輪操舵「4コントロール」、もうひとつは「4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(4HCC)」。

前者は説明不要だと思いますが、実際に体感するとけっこう驚く部分があり、たとえば展開時などは「一車線ぶん」少ない回転半径を持つ、というイメージ。
高速走行時だと「曲がる」というよりは、ミズスマシのように「滑って」車線変更を行うという印象があって、これは何度体験しても驚かされますね。

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特筆すべきは4HCCで、これはルノースポールらしく「モタースポーツ(ラリー)由来」の技術。
メインダンパーの中にセカンダリーダンパーがあり、メインダンパーが縮みきってしまうとセカンダリーダンパーが減衰力を発生させ、車体の傾きを抑制するもの。

このせいもあってか、メガーヌR.S.は非常に柔らかい初期のアタリを持ち、そして路面に張り付くような伸び側を備えながらも「踏ん張る」印象があります。

さらにハイパワーFFならではのトルクステアを抑制するサスペンションジオメトリ、電制デフ(R.S.デフ)との連携もあり、正気言うと「とんでもない」レベルのポテンシャルを持っているクルマです。

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メガーヌR.S.のブレーキは?

メガーヌR.S.のフロントに採用されるのはブレンボ製ブレーキ(アルピーヌの軽量ブレーキが採用されなかったのは残念だが、効きに不満はない)。

リアはTRW製ですが、これらの「効き」は強力無比。
効き始めは柔らかく、奥まで踏んでゆくとしっかり効くタイプで、街乗りにおいても非常に扱いやすい特性を持っています。

さらにハイパフォーマンスブレーキにありがちな、「停止直前」のカクッという感覚も無く、このあたりは振動や路面からの衝撃同様、ベースとなるメガーヌの美点をそのまま引き継いだ、という印象。

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実際のところどう?ルノー・メガーヌR.S.

正直言うと「想像をはるかに超えたいいクルマ」。
何がそんなにいいかというと、パフォーマンスはもちろんですが、そのパフォーマンスを純粋に楽しめること。

先代メガーヌRSではトランスミッションがMTのみ、しかし今回は「ATのみ(今のところ)」。
これの意味するところは、「変速はクルマ任せでOK」ということになろうかと思いますが、そのほか上で触れたように、振動やショック、雑音などが一切ドライバーに伝わらず、感覚的には「ゲームの中でプレイしているような」イメージ。

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つまりコントローラーの操作と画面にだけ集中すればOKといった意味で、メガーヌR.S.においてはシートに座り、ステアリングホイールを握り、アクセルを踏み、ブレーキを踏めば「思い通りに走る」ということ。
雑味をドライバーに伝えて純粋に運転に集中させてくれるということで、運転中は「シート」の存在すら忘れてしまうほどクルマとの一体感を得ることができる稀有な一台ですね。

さらには「メガーヌ」という、量販ファミリーカーをベースに持つことで「基本部分に存分にコストをかけた」使い勝手や乗り心地の良いプラットフォームを使用することができ、これも大きなメリットの一つ。

日常での使用をなにひとつ犠牲にすることなく(このクルマで乗り心地や使い勝手に文句はまず出そうにない)、しかしパフォーマンスは世界最高レベル(なんといってもルノー・スポールの設計)。

ホンダ・シビック・タイプRなど、ファミリーカーーベースのスポーツカーはいくつかありますが、ベースモデルの性質を殺さず、その恩恵を受けている(もしくはいいところを活かしている)のはメガーヌR.S.だけじゃなかろうかと考えたり。

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シビック・タイプRの話が出たついでですが、おそらく絶対的な速さはシビック・タイプRのほうが上。
ただ、シビック・タイプRが「操作を楽しむ」タイプのクルマだとすれば、メガーヌR.S.は「運転を楽しむ」クルマ。

好みの差はあれど、両者の違いはかなり大きく、手練れのドライバーが運転すればシビック・タイプRのほうが速そうですが、ぼく程度のレベルであれば、間違いなくメガーヌR.S.のほうがいいタイムを出せそう。※これだけ楽して、何も気にせずに速く速く走れるクルマはほかにない

そのほか、ドライブモード「R.S.モード」による性格の変化も大きく、”スポーツ”へといれた時のサウンドそしてアクセルレスポンスの変化も気分を盛り上げてくれます。
他に変更されるのは4コントロールのレスポンス、パワーステアリングの制御だそうですが、足回りの変更はナシ。

ただ、そのサウンドの変化に伴い「なんとなく足回りが引き締まったような気がする」のは面白いところで、人間の感覚はけっこう曖昧だと思うとともに、ルノー・スポールは「それ(人間の感覚を錯覚させる)すら考慮に入れたのかもしれない」と思ったり。

とにかく「気になるところが見当たらない」クルマで、あえてそういった部分を指摘するならば、この「地味なセンターコンソール」。

シンプルではあるものの、アウディやメルセデス・ベンツに比較するとさすがに見劣りするかもしれません(しかしクルマの楽しさを一切阻害するものではない)。

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新型ルノー・メガーヌR.S.を試乗したのはルノー箕面

新型メガーヌR.S.に試乗させていただいたのはルノー箕面さん。
ずいぶん前からのお付き合いですが、いつも良くしていただき、この場を借りてお礼申し上げます。

ルノー箕面
箕面市西宿2丁目2-12

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