| これまでジンが発売してきた腕時計の中ではもっとも欲しいと思えるインパクトの強いモデルが登場 |
ただし、今のところこの腕時計を身につける機会がなさそうなのがちょっと残念
さて、けっこう惹かれつつも一度も購入したことがない腕時計ブランド、Sinn(ジン)。
これはドイツ空軍のパイロット(さらにラリードライバーでもあった)ヘルムート・ジンが「飛行中でも見やすい実用腕時計を作る」という理念のもと設立したブランドで、腕時計業界においては極めて珍しい成り立ちを持っていると考えられます。
ちなみにジンの正式名称は「Sinn Spezialuhren zu Frankfurt am Main」といい、日本語に訳すと「ジン特殊時計会社」なので、社名からしてもその本気ぶりがうかがえようというもの。
ジンはベル&ロスの腕時計を製造していたこともある
そしてこれまでには自身の経験や嗜好を反映したパイロットウォッチ、そしてラリー用の腕時計などを発売していますが、「航空機の計器」にインスパイアされて腕時計を作ろうと考えたベル&ロスの創業者がジンへと提携を持ちかけ、ジンに生産を委託したこともよく知られていますね(ジンのスペースウォッチをベースにした”Bell&Ross by SINN”からスタートしている)。
なお、ジンの腕時計は完全にツールとしての設計が行われており、ジンいわく「使うためだけの時計」。
つまりは見せることやファッション的要素を完全に排除した、いかにも(ライカのような)ドイツ的ブランドということになりますが(ただし日本限定にてAPEやビームスとのコラボモデルも発表しており、これは意外だった)、そのぶん一般人には縁のない超ハイスペックな腕時計となっていて、そこがジンの最大の魅力であると考えています。
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ジンと似たようなポジションとしてはIWC、そしてブライトリングがあるかと思いますが、これらは現在「ファッショナブル」になってしまい、そのぶん価格が高くなっており、しかしこの腕時計活況下においても「日和らず」我が道をゆくジンはマニアにも一目置かされる存在です。
そしてジンの腕時計はその性能に比較して割安つまりコストパフォーマンスが高いことも時筆すべき点ですが、そのぶん中古市場でも適切な評価がなされており、(マイナーなブランドの割に)相場が下がらないことも大きな特徴でもありますね。
ジン ユーロフリーガーIII(356.EURO FLIEGER.Ⅲ)はこんな腕時計
すっかり前置きが長くなったのですが、今回発売されたのが「356.EURO FLIEGER.Ⅲ」。
ちなみに「フリーガー」とはパイロットの意味なので、EUのパイロットウォッチということになりますが、日本国内100本限定、44万円という設定にて受注が開始されています(この価格はかなり良心的だと思う)。
なお、「III」という名称からもわかるとおり、ユーロフリーガーIIIは2000年の「356.EURO FLIEGER」、2007年の「356.EURO FLIEGER.Ⅱ」に続く第三段ですが、初代と二代目にはなかったスモールセコンドを有していることが特徴です。
ストラップはリベット付きカウレザー。
ちなみにこのスモールセコンドの蛍光イエローは、NATO軍が使用するユーロコプター(ジンがオンボードクロックを提供している)の計器にインスパイアされたもので、ブラックライトを当てたときに発光するという実機同様の仕様を持っています。
ちなみにブラックライトを当てない状態での暗所だとこんな感じ(時針と分針、インデックスにはスーパールミノバが塗布されている)。
ケース径は38.5ミリ、厚さは15.5ミリ、風防は強化アクリル製のドーム型、ケース素材そのものはステンレススティール製(サンドブラストとブラシ仕上げが施される)。
ちなみにプロフェッショナルウォッチらしく「誤動作防止」を理由としてりゅうずやプシュボタンは通常のクロノグラフとは「反対側」に装着されています。
ケースバックにはシリアルナンバーが刻印されますが、近年の他ブランドの腕時計のように「レーザー」ではなく、昔ながらのポンチを使用したように見える刻印がなんともジンらしいところですね。
ちなみにムーブメントはSW500、パワーリザーブは48時間と平凡ですが、ジンらしく4,800A/mという耐磁性能を誇ります。
ぼくはいまだジンの腕時計を愛用している人を見たことはありませんが、おそらく実際にそういった人にあったりするとまちがいなく「おっ」と驚くことになるだろう、と考えています。
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参照:Sinn