| ただし現在の日産の状況だと仕方ない |
Cnetが、現在の日産GT-Rの開発責任者(日産GT-Rチーフ・プロダクト・スペシャリスト)である田村宏志氏へインタビューを行った内容を公開。
これは昨年末、まだコロナウイルスが猛威を振るう以前に行われたもので、場所は大黒パーキングエリアにて。
ここに現れた田村宏志氏に対し、GT-Rの過去や現在、未来についてCnetがヒアリングを行っています。
田村宏志氏は2013年に水野和敏氏のあとを継ぐ形でGT-Rの開発責任者に就任。
自らもハードにチューンされたR32 GT-Rを所有しており、そこで培った経験がR35の改良にも生かされている、といいます。
なお、開発責任者に就任する以前から水野和敏氏のもとでGT-R開発にも携わっており、R35GT-R開発時には「時速300km/hで走行していても、助手席の女性と会話ができる」という指標を打ち出したことでも知られます。
GT-Rの今後はどうなる?
今回のインタビューでは次期GT-Rについて具体的な話は出てこなかったものの、「開発が行われていない」のは間違いない模様。
というのも、田村氏は「開発を行っていないので、コストがかからず、GT-Rを安いままにしておけるから」と語っているため。
なお、R35 GT-Rは現在でも第一級の加速/運動性能を誇り、0-100km/h加速は「2.9秒」と最新スーパーカー並み。
一方でその価格は1082万円~とスーパーカーに比較して「かなり安く」、直接のライバルたるポルシェ911ターボの2267万円の半額以下(992世代の911ターボは発売されておらず、ここで示したのは991世代の911ターボの価格)。
R35 GT-R発売時の価格は777万円だった
R35 GT-Rは2007年に登場し、その際の価格は777万円。
登場時にはニュルブルクリンクを「信じられない」タイムで走り、そのために検証動画についても”早送り疑惑”が生じたり、北米のポルシェ法人がそのタイムに異論を唱えたほど。
ただし日産側はその後も改良とともにタイムを更新し続け、その実力が「本物」であることを証明しています。
なお、GT-Rは発表時に「毎年改良を行う」ということを明確にしていて、年度ごとの改良のほか、2010年と2016年にマイナーチェンジを実施。
しかし車体そのものやエンジン、トランスミッションなど主要コンポーネントの根本は大きく変わらずに現在まで継続販売されています。
2010年のマイナーチェンジでは価格が869万円~に引き上げられ、2016年には996万円~となっていますが、ライバルたるポルシェ911ターボだと、2007年の価格は1858万円、2017年には2267万円へ。
この間、911は997から991へとモデルチェンジを行っていて、409万円と22%価格が上昇しています。
一方でGT-Rの場合は、上昇率こそ39%と高いものの上昇幅は305万円に留まることに(911ターボは、最新モデルである992世代にスイッチするにあたり、大きく価格が上昇すると思われる)。
次期GT-Rは2027年まで登場しない?
実際にGT-Rの絶対的な価格が抑えられているのは間違いなく、そしてパフォーマンスに対する割安感が相対的に高くなっているのもまた事実であるものの、やはり気になるのは次期GT-R。
上述の通り「何も開発できない状況」にあるのは間違いなさそうで、日産としては「今はそれどころじゃない」というのも十分に理解できるのが現状ではありますが、日産はGT-Rよりも先にフェアレディZをリニューアルすることにしたようで、先日は新しい「Z」エンブレムを商標登録したことも報道され、さらにプロトタイプを全米のディーラーミーティングにて公開したとも言われていますね。
なお、GT-RよりもフェアレディZを優先した理由は不明ですが、おそらくは「GT-Rと名がつくからには生半可なクルマを出すわけにはゆかず、かつモデルチェンジ後に10年以上生きながらえる必要もあり、しかし現在はそのための「エレクトリック技術が中途半端」といったところなのかもしれません。
現行GT-Rは13歳を迎えるものの、まだまだ第一線で活躍できるのは上述のとおりですが、改めてR35 GT-Rの凄さを思い知らされるとともに、「(発売から)20年はトップを張れる」という田村氏の言葉もハッタリじゃなさそうですね。
次期GT-R(R36)は2027年まで登場しないだろうという報道。日産「現行GT-Rのプラットフォームは20年改良なしでも通用する」
VIA: CNet Roadshow