
| 他社がEV目標を後退させる中、BMWは「最初から約束していない」 |
内燃エンジンは「未来のビジネスを支える基盤」
テスラが電気自動車(EV)の販売目標を修正し、「完全EVブランド」への移行を計画していたフォルクスワーゲンやポールスター、ベントレーなどが相次ぎその計画を見直す中、BMWは一貫して内燃エンジン(ICE)を完全にはやめない方針を貫いています。
同社CEOのオリバー・ツィプセ氏は繰り返し「EVへの移行は強制すべきではなく、消費者が選択できるようにすべき」と主張し、高額なEV価格と未整備な充電インフラ等を背景に「消費者にとっての現実的な選択肢」である内燃機関搭載車をの提供を続けるという姿勢を保ち続けてきたわけですね。
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BMWは現在も年間120万基ものガソリンエンジンを製造中
BMWのエンジンを生産するオーストリア・シュタイア工場では年間約120万基のエンジンを出荷しており、工場長のクラウス・フォン・モルトケ氏は「内燃エンジンは我々の基盤であり、未来のビジネスを支える存在」とコメント。
実際のところ、BMWは「とうに内燃機関の開発を終了させた自動車メーカーも存在する中で」現在も3気筒から8気筒までのガソリン / ディーゼルエンジンをEuro 7排出ガス規制に対応する形で継続し開発しており、ガソリンのみならず、ディーゼルエンジンにも引き続き力を入れていることがよく知られています。
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ディーゼルエンジンもまだ終わらない──HVO100燃料がもたらす環境改善
特に注目すべきは、HVO100(加水分解植物油)と呼ばれる代替ディーゼル燃料の採用で、BMWは既にドイツで生産される一部ディーゼル車にHVO100を満タンにして出荷しており、そのCO₂排出削減効果は最大で(通常のディーゼル燃料の使用に比較して)90%にものぼるのだそう。
加えて、HVO100は低温始動性に優れ、微生物による汚染リスクも低いため、信頼性の高い代替燃料として注目されているようですね。
Steyr工場ではEV向けモーターの量産準備も同時進行
一方でBMWはICEだけに注力しているわけではなく、シュタイヤ工場ではEV向けの第6世代となるエレクトリックモーターのプレ生産が進行中で、今年9月に開催されるIAAモビリティショーで発表予定の新型「iX3」に搭載される予定である、ともアナウンスがなされています。この新しいiX3は、ハンガリー・デブレツェン工場で年内に量産開始となる
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BMWが描く“ICEとEVの共存”ビジョン
BMWは2030年までにEVとICEの販売比率を50:50にする目標を掲げていますが、これはけして「無謀」な数値ではなく、2024年通年ではEVが全体販売の17.4%を占め、2025年第1四半期には19%に達しており、そしてここからEVの普及がより加速する可能性を考慮すれば「十分に達成可能な目標数値」。
なお、現在新しく内燃機関を開発しているBMWにとっての懸念は「2035年に施行される内燃機関搭載車の(新車)販売禁止」ですが、これについてクラウス・フォン・モルトケ氏は「それを予測するのは我々の仕事ではない。全てのシナリオに備えることが我々の仕事だ」と語るなど冷静な視点を保っていて、これは「2035年の内燃機関販売禁止措置が覆るかもしれない」と考えるポルシェともある意味では似たポジションです。
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いずれにせよ、現在の自動車業界の方向性を定めたり、「どんなクルマを作れるのか」を決めるのはもはや自動車メーカーではなく政治家というのが現在の状況となっていますが、BMWのように「どんな規制が施行されようとも、対応できる」ように複数の選択肢を持ち、来たるべき時に備えるのがいまの自動車メーカーの正しいあり方なのかもしれません。
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