| 新型シボレー・コルベットはC7の雰囲気を継続? |
最近にわかに情報が出てきている、新型コルベット(C8世代)の関連情報。
今回は実際に走行する動画が公開されています。
なお、C8世代のコルベットはミドシップ化されることが明らかになっており、そのサブネームは「ZORA(ゾラ/ゾーラ)」となる模様。
というのも米国の特許庁にあたる機関にシボレーが「ZORA」を登録しているためですが、このZORAは初代コルベットの主任エンジニアであった「Zora Arkus-Duntov(ゾラ・アンカス・ダントフ)」氏に由来。
同氏はコルベットのパフォーマンスアップに心血を注ぎ、1964年の時点でミドシップコルベットの試作車「XP-819」を作成(XPはエクスペリメンタルの略で、テスト用の車両によく用いられるコードネーム)しています。
しかしながら市販化には至らず、しかし現代にそれを蘇らせるにあたり、「ZORA」の名を用いるのはごく自然な流れだと言えそうですが、1964年の「ミドシップコルベット」の存在を記憶し、かつこの決断を行ったシボレーには喝采を送りたいところ。※コルベットのハイパフォーマンスモデル、「Z06」「ZR1」の「Z」も同氏の名前から
フロントからコルベットらしさを失うことはできない
エンジンが前から後ろに移動するというのは大きな変化で、となると車体のデザインも大きく変わるのは必至。
当然ながらフロントはコンパクトに、リアはマスが大きくなりますが、これまでのコルベットの一つの特徴は「大きく張り出したフロントフェンダー含むフロントセクション」。
アメリカ人は、そのモデルと車体デザインとを「連動」させて記憶しているようで、たとえばカマロはやっぱりあのデザインで、ダッジ・チャレンジャーはやっぱりあのデザインでないと、ということですね。
これまでもカマロは様々なデザインを採用しており、大きくイメージを変えた時期もありましたが、やはり「レトロ」っぽいデザインに戻してから大きなヒットを記録していて、つまり「このクルマはこのデザインでなければならない」という認識が市場にあるのだと思われます。
そこで新型コルベット「ZORA(ゾーラ/ゾラ)」ですが、フロントにエンジンがないので、フロントはコンパクトに低くデザインできるはず。
https://intensive911.com/?p=123469
にもかかわらず、これまでのスパイフォトを見る限り、フロントのデザインはC7世代までのコルベットの印象を残した「力強い」もので、ここはコルベットが抜け出すことができないジレンマなのかもしれません。
たとえばポルシェ911について、現代のライティング技術であれば「カエル顔」の必要性はなく、もっとフロントフェンダーを低く抑えたほうが空力的に有利なはずですが、カエル顔でないと市場が「911だと」認識してくれず、よってセールス(ブランディング)上の理由でカエル顔になっているのと同様だと思われます。
https://intensive911.com/?p=105046
とくに今回のC8世代コルベットにおいて、「コルベット史上最大の変化」であるミドシップ化を成功させるにあたり、コルベットのアイデンティティを捨てるわけには行かず、スムーズにセールス的・イメージ的にミドシップへの移行を完了させるには「C7のイメージを残す必要がある」ということに。※コルベットに限らず、段階的かつ緩やかに新モデルへ移行するためか、アメ車の「モデル末期」におけるデザインは「モデルチェンジ版」と似た雰囲気を持たせ、”予告”的意味合いを取ることが多い
そういったこともあってC8世代のミドシップコルベットについては、「C7世代のフロント」と「ミドシップ化したために大きくなったリア」を持つことになりますが、ここを最終的にどうまとめるのかは興味のあるところ。
現時点で新型コルベットのスペックは不明ではあるものの、現行コルベットに積まれる6.2リッターLT1 V8(507馬力)のパワーアップ版、5.5リッターV8の自然吸気(600馬力)とターボ版(800馬力)、さらに200馬力を発生するエレクトリックモーターとの組み合わせというウワサも。
現行のC7世代コルベットでも世界最高峰のパフォーマンスを誇っていることを考えると、ミドシップ版C8世代コルベットはランボルギーニ、フェラーリ、マクラーレンといったミドシップスーパースポーツをつくるメーカーにとって「無視できない」存在となりそうです。
それでは動画を見てみよう
こちらが短いながらもフロント、サイド、リアの様子が分かる動画、「2020 Mid-Engine Corvette (Zora) Spied!」。