| もともとは通常のマクラーレンF1。納車後に「LMスペック」へとマクラーレンがじきじきにカスタム |
先日、オークションにかけられる予定だと紹介したマクラーレンF1"HDF"。
これは”通常の”マクラーレンF1として生産されたクルマを、マクラーレンが後に「LM」スペックへとアップグレードさせたものです。
なお、マクラーレンF1 LMは、1995年にマクラーレンF1 GTR(レーシング課)がル・マンでの優勝を飾った際に「優勝記念」として5台のみが製造された「F1のハイパフォーマンスバージョン」ですが、それとは別に「後にLMと同じスペックへとコンバートされた個体」が2台のみ存在し、今回はそのうちの1台。
そしてこの「HDF」とは「High Down Force(ハイダウンフォース)」の略で、フロントスポイラー、リアウイング等、新たに装着されたエアロパーツによって発生する強力なダウンフォースを意味します。
マクラーレンF1 LMはまず売りに出されることはない
そして「最初からLMだった、5台の」マクラーレンF1 LMのうち3台はブルネイのスルタンのコレクションに収蔵され、残る2台はアメリカ人コレクターの個人コレクションとして管理されていると報じられており、つまりこの5台は「売りに出される可能性が限りなく低い」ということに。
よって現在「市場に出回る可能性がある」のは後にコンバートされた2台の「F1 HDFのみ」で、実際に今回とは別の一台は数年前に約16億円で落札済み。
そして今回はなんと約21億円(19,805,000ドル)というとんでもない額で落札されることとなりますが、この価格は「マクラーレンとして過去最高」。
ただ、驚かされるのは「英国車」というくくりだと史上落札額には届かなかったということで、「英国車最高の落札価格」の記録ホルダーは2017年のアストンマーティンDBR1、そしてその額はなんと邦貨換算で約25億円。
通常のマクラーレンF1でも20億円近い価格を記録
マクラーレンF1は1991年に発売され、その際の新車価格は約1億円。
ただしその後価格をどんどん上げ、とくにここ数年の上昇ぶりは「異常」ともいえるレベルに達しています。
実際のところ、1950年代や1960年代のスポーツカー、ル・マンでの優勝経験があるクルマ(フェラーリ250GTOや、アストンマーティンDBR1など)であればともかく、1990年代以降に発売されたクルマだとほかにこういった相場を形成している例はなく、それだけマクラーレンF1は「特別」だということですね。