| これでテスラオーナーの心が動くとは思えないが |
アメリカのレクサスディーラー、「レクサス・オブ・レイクウェイ」が、テスラオーナーに対して「テスラからレクサスに乗り換えよう」というDMを(テスラオーナーへ)送付していた模様。
これは北米にて展開するレクサスのハイブリッドモデル、すなわちUX、NX、RX、EX」、LS、LCへの乗り換えを促すもので、DMに記載された内容を見るに「地元にちゃんとディーラーがある」「バッテリー切れの心配なし」「パーツがすぐに届く」「レクサスは調査会社であるJDパワーによって、”品質No.1””顧客満足度No.2”ラグジュアリーブランドであることが証明されている」「お持ちのテスラを高く買取る」という文言が並び、半ばテスラをこきおろすような表現を用いていて、さらには「1000ドル」のクーポン付き。※テスラはオンライン販売なのでディーラーがなく、提携工場での修理も待ち時間が長く、当然EVなのでバッテリー切れの心配があり、品質評価も高くない
レクサスはテスラに対抗しうるのか
現在テスラは欧州や北米では「ラグジュアリーカーセグメントにおいて販売ナンバーワン」の座をひた走っていて、おかげでBMW7シリーズやメルセデス・ベンツSクラス、アウディA8、レクサスLSの販売が「サッパリ」だという報道も。
加えてそれらジャーマンスリーの中古車価格が一気に下がってしまったという調査もあり、テスラは完全なるゲームチェンジャーだと言えそう。
テスラのおかげでメルセデス、アウディ、BMWのセダンが売れず。平均でそれらは10%中古価格が下がり、3シリーズは20%、Bクラスは30%下落
ただ、そんな中でテスラに対抗できそうなのが「レクサス」。
というのもレクサスはかなり早い段階からハイブリッドをラインナップに加えていて、よってジャーマンスリーに比較すると「エコ」なイメージがあるわけですね。
しかしぼくが思うに、レクサスの顧客とテスラの購買層がオーバーラップするかというと「それはどうかな」という感じで、というのもテスラの顧客は「新しいもの好き、ガジェット好き、アンチメジャー」な傾向が多少なりともあると考えていて、しかしレクサスのクルマは「伝統的、特に内装はひと世代化ふた世代前といった印象でガジェット感ゼロ、典型的な高級車」といいうイメージ。
よって、テスラを選ぶ人々の多くは、レクサスを「退屈だ」と感じるんじゃないかと思うわけですね。
こういった「比較広告」は米では一般的だが
なお、他社を引き合いに出して自社を有利にする「比較広告」はアメリカでは一般的(欧州でも同じ)。
他社製品の問題をあげつらって「自社製品のほうがいい」とする広告手法は少なくなく、これまでにヒュンダイ/キアが何度かこういった手法を用いたことも。
欧州だと日産が「ポルシェが本当に作りたかったのはこのクルマだ」というステッカーをフェアレディZに貼って街なかを走らせたり(なんとも大胆な・・・)、駐車しているポルシェ911のワイパーに「GT-Rに乗ろう」というビラを挟んだことがあると記憶しています。
ただ、こういった比較広告については、自ら「ライバルに劣っている」と認めるようなもので、自身がすでに比較対象つまり代替的選択肢であることを主張しているようなもの。
聡明な消費者であれば冷静に購買判断ができますし、自らを何かと比較するようなメーカーに対して共感を抱いたり、ロイヤルカスタマー化するといったことはなく、とくにプレミアムセグメントにおいては「比較広告はあまり効力を発揮しない(むしろブランドの格を落とす)とも言われています。
日本においては比較広告が解禁されてしばらく経ちますが、「ライバルを批判」することは商業道徳上(業界、消費者ともに)好まれないのであまり目にすることはなく、せいぜい「これこれのメーカーに乗っている人であれば、高額査定&値引きしますよ」というオファーがあるくらい。※バーガーキングのように、ユーモア混じりのプロモーションは時々見る
VIA:CARSCOOPS