| 現時点ではすべてが推測の域を出ない |
ホンダはすでにマイナーチェンジ版となる新型シビック・タイプRを発表していますが、こちらの変更内容は「極めて限定的」。
外観だとバンパー内部のグリル形状が変更されたくらいで、機能面だと「サーキットでの走行性能を高めるためにエンジンの冷却性能とブレーキ性能を向上させ、”走る、曲がる、止まる”という基本性能向上を中心に改良を施した」とコメントされています。
さらには「タイプRリミテッド」を限定ながら追加するなど、ますますサーキット志向を強めているのがシビック・タイプRの最近の傾向。
そしてそんな中で目撃されたのが「フルモデルチェンジ版」となる新型シビック・タイプRです。
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”タイプR”はモデルライフが短い
もう次期タイプR登場?と思ってしまいますが、シビック・タイプRのベースとなる10代目シビックは2015年に登場しており、そしてこれまでのシビックのモデルライフは4年〜7年。
よってこのベースモデルがそろそろモデルチェンジするであろうことを考えると、新型シビック・タイプRもこれとあわせて開発されているのは不思議ではない、ということになりそうです。
なお、ホンダの通例として、シビック・タイプRは「シビック発表後、数年経ってから登場する」ので、(マイナーチェンジにせよ、フルモデルチェンジにせよ)次の新型シビックが登場するまでの期間がかなり短く、「タイプRが登場すると、そろそろ新型シビックの声が聞こえてくる」という感じ。
現行タイプRは、シビックのフルモデルチェンジ(2015年)の2年後(2017年)に登場していますが、ベースのシビックそのものが2020年にフェイスリフトを迎えており、さらに日本ではタイプRの発売が遅れたため、国内発売開始からわずか2年ほどで「新型シビック(2020年モデル)」の話が聞かれるようになっています。
そして日本では2020年後半にフェイスリフト版のシビック・タイプRが発売されることになりますが、このまま順当に行けば、ベースモデルのシビックは2022年あたりにフルモデルチェンジを迎えるものと思われ、となるとじき発売される新型シビック・タイプRの寿命も「あと2年くらい」なのかもしれません(その方が希少性が出ていいかもしれない)。
10代目シビックから「事情が変わった」
現行シビックは初代から数えて10代目にあたりますが、これまでのシビックと変わったのは「世界で基本構造が統一された」こと。
シビックは世界戦略車であり、これまでも世界中で生産されていたものの、生産する国が、それぞれのマーケットにあわせて独自に設計・生産することが多く、しかしホンダはこれを「無駄」と判断し、ボディ形状こそ市場によって使い分け、生産地もこれまでどおり分散させるものの、設計を共有することでコストを下げたわけですね。
ちなみにシビック・セダンは埼玉製作所寄居工場、ハッチバックとタイプRは英国スウィンドン工場、クーペは米国工場にて生産されていると言われます。
11代目シビックはどうなる?
そこで気になるのが11代目シビック。
ホンダは「売れども売れども儲からない」体質だとされ、その理由は「仕様地向けに様々なモデルが存在し、開発コストが高い」からだと指摘されています。
その改善策の一つが10代目シビックのように「世界中で設計を統一する」ということですが、おそらくは11代目でもこれは継続されそう。
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ただ、ちょっと気になるのは「日本でシビックセダンの販売が終了されること」と「英国スウィンドン工場が2021年に閉鎖されること」。
日本でシビックセダンの販売が終了するのは当然「販売不振」が理由ですが、もし次期シビックが日本で販売されないのであれば、輸出を考えた際にコストの高い日本で生産する理由はなく、新型シビックセダンの生産は海外へと移されそう。
そしてシビック・ハッチバックとシビック・タイプRを生産する英国工場は「新型シビック」登場時には存在していないということになるので、これらもまた別工場に移管されるということになりそうです。
なお、ホンダの生産拠点一覧を見るに、欧州だと英国以外には4輪を生産できる工場はなく(もしかすると英国の設備をEU加盟国の工場へと移すかもしれない)、あと4輪を生産できるのはアメリカはじめメキシコやブラジル、アルゼンチン、ナイジェリア、トルコ、中国、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムくらい。
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https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/49923747693/in/dateposted-public/-
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今回目撃されたプロトタイプを見ると、シートの他パネルによる偽装が分厚く、その真の姿を知るのはかなり困難。
ただ、ヘッドライトや、リアウイングのステー(ボディと一体化したフィンのような形状)、リアウイングそのものの形状を見るに、かなり完成に近い状態だとも考えられます。※リアワイパーまで装着されている
ボディ形状は現行同様に「セダン」を継続するようですが、これも現行タイプR同様にブリスターフェンダーが確認可能。
気になるのはテールパイプが「1本」、かつ細いことで、これはもしかすると「エンジンをダウンサイジングし、そのぶんをハイブリッドで補う」ということなのかもしれません(フロントバンパーの開口部が小さいこともハイブリッド化を思わせる)。
今の段階では全てが推測の域を出ませんが、追ってこれらの情報も明らかになってゆくのでしょうね。
Photo VIA:Motor1