| これだけ偽物の品質が上がっているということは、そのぶん「需要が大きい」のか |
さて、これまでにもロレックスやオメガの「レプリカ」と本物との比較を紹介してきた腕時計ユーチューバーJenni Elle氏ですが、今回はパテックフィリップ ノーチラス(5711)の偽物と本物との比較を動画にて公開。
そしてこの比較においては、あまりの精巧さに「非常に衝撃を受けた」と語っています。
こういったレプリカのクオリティは年々進歩しており、ますます本物との見分けがつきにくくなっているものの、その最新事情を見てみましょう。
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もはや素人が真贋を見分けるのは難しい
まずは二つ並んだパテックフィリップ・ノーチラスの本物とスーパーコピー。
ちなみに本物のパテックフィリップ・ノーチラスの相場は850万円くらい、このコピーの価格は500ユーロ(=60万円くらい)なので、14倍くらいの開きがある、ということになります。
この時点でどちらが本物であるか判断するのは難しく、本物のオーナーであっても判別は難しいのかも。
今回の動画では「ダイヤル」「ケース」「ケースやブレスのフィニッシュ」「針」「インデックスの形状や仕上げ」「文字」「ムーブメント」について比較を行なっていますが、もっともわかりやすい差異は「文字盤のカラー」だそう。
文字盤の「色味」が若干違う
両者の文字盤は微妙なグラデーションがついた「サンバースト」ですが、本物の方は青みの中にもほんのり「グリーン」が見られ、しかし偽物の方は単調な色合いとなっているようですね。
ただ、様々な角度をつけて比較しないと判別できるものではなく、このあたりも「スーパーコピー恐るべし」といったところです。
ケースの品質に差がある
そして次はケースですが、まず偽物(右)はブラシ仕上げが繊細ではなく、「やや(使用されているブラシが)太い」。
加えてエッジ部分(ポリッシュとブラシ仕上げとの境界)がややラフだと述べています。
そのほか気付くのは、リュウズ付近のブラシ仕上げやエッジも偽物ではやや粗く、しかしこれは拡大してみないとわからないところでもありますね。
そのほかケースに関してだと、偽物は本物よりも「厚い」そうで、この辺りは技術的限界なのかも。
なお、パテックフィリップはぼくの知る限りでは「もっとも文字盤と針とのクリアランスが小さい」腕時計で、一瞬「針は文字盤の上に描かれているのでは」というほど文字盤に近い高さに、そして張り付くように取り付けられています。
もちろんこれは技術力をそのままあらわす部分でもあり、このクリアランスが小さければ小さいほど「高い技術力を持っている」とも考えています。
ケースやブレスレットの仕上げはこう違う
そして次はケースやブレスレットの仕上げ。
エッジ部分について、本物のポリッシュ部分は太く滑らかでエレガントな雰囲気を持っていますが、コピー(下)は細く、やや波打っているような印象も。
さらにブラシ仕上げが粗目なのは上述の通りではあるものの、ベゼルの平面部分と側面との境界についても本物は「滑らか」、偽物(右)は波打っているように見えますね。
針の仕上げはこう違う
そして次は針の仕上げ。
本物は表面、側面ともに滑らかですが、偽物(下)は表面と側面ともに粗く、とくに側面はシートメタルから撃ち抜いたのちにちゃんと処理されていないということがわかります。※それでも、ここまで拡大しないとわからない
インデックスの処理はこう違う
インデックス(アワーマーカー)については、本物と偽物との比較において「かなり差が小さい」部分だとしており、強いて違いを挙げるとするならば、本物のエッジは丸められており、コピー(右)では「より角張っている」。
なお、角を滑らかにするのは結構高度な技術が要求されるようで、これについてはセイコーが相当に高いレベルに達しているようです(ぼくは「丸くする方が簡単なんじゃないの」と考えていたものの、実際はそうではないらしい)。
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文字盤上の文字はこう違う
そして次は「文字」。
文字盤上の「PATEK PHILIPPE」文字にもにじみはなく、フォントは極めて正確。
ただし2020年モデルのノーチラスと比較すると「E」のフォントがやや異なる(右がフェイク)ようですが、このフォントはノーチラスの2007年モデルに近いと述べており、この偽物は2007年近あたりの本物を参考にしたのかも(腕時計メーカーはかなり頻繁に仕様を変更するが、コピー防止の観点から見るとそれも納得できる)。
加えて、文字盤表面の仕上げについて、偽物はやや表面が凸凹しているようですね。
そのほか、デイト表示については本物(左」のほうが文字がくっきりしており、偽物はそのディスクのテクスチャが粗く、文字もやや雑。
しかしこれらも実際に、複数の本物と並べてみないと、そして拡大してみないとわからない部分なのだと思います。
ムーブメントの仕上げはこう違う
そして最後はムーブメント。
こうやって離れてみると両者同じように見えますが・・・。
拡大してみると明確な相違が。
PTEK PHILIPPEの文字も精度が全く異なるようで、あらためてパテックフィリップの技術力の高さが伺えます。
こうやって本物と偽物とを並べるとけっこう差があるように思えますが、プロが真贋並べて比較してはじめて明らかになるものでもあり、素人にはとうてい判断できないレベルなのだと思われます。
このクオリティのスーパーコピーを5万円の実売価格で実現するとは、まさに「恐るべし中国」ですね。
VIA:Jenni Elle